写真集:ピエルパオロ・ミッティカ「原発事故20年 チェルノブイリの現在」柏書房2011・・・タルコフスキーの映画に似ている
1986年4月26日のチェルノブイリ原発事故から約20年目の2005年10月7日に、IAEA(国際原子力機関)は「原子力の平和利用と核兵器削減への貢献」を理由にノーベル平和賞を受賞した。
ノーベル賞受賞直前の2005年9月7日に、IAEAがWHOを従えてウイーンで開いたチェルノブイリ・フォーラムが、事故関連死をわずかに4000人とする劇的な過小評価をやってみせたことと併せ考えれば、世界の支配層の言説がいかに虚偽に満ちているか分かるというものである。本当は25年間で100万人以上の関連死が推測されているのである。
その虚偽は福島原発事故にまっすぐ結びついている。
著者は1971年生まれのイタリア人歯科医師でアマチュア写真家。
2007年に英語版が刊行されたこの一冊の写真集が、それだけでその虚偽をひっくり返す力があるとは思えないが、アンドレイ・タルコフスキーの映画を思わせる静謐な画面をじっと眺めていると、ここから見えてくるものを大事にしないで何を信じるのかと思えてくる。
苦情:画面から立ち上る薬品臭が強く咽喉が痛くなった。
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