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2012年8月 4日 (土)

雑誌「月刊 保団連」2012年6月号 岡崎祐司(佛教大学) 「人としての尊厳が守られる<地域包括ケア>をめざして」

月刊保団連 6月号の上記論文はきわめて示唆に富むものだったので、メモを作っておくことにした。

◯地域包括ケアのこれまでの経過
2006・6医療構造改革法
2009と2010「地域包括ケア研究会報告」
2012・2・17 「社会保障と税の一体改革」大綱
この流れは病院の在院日数短縮と在宅療養増加が目的。

◯その中で、医療は医療計画に「在宅医療の達成目標」の明記を求めることにより
<疾病ごとの医療機関連携強化+疾病ごとの患者数コントロール
→病院在院日数短縮
+在宅医療>
という病院医療と在宅医療に両極化した構想がはっきりした。
(*この中に社会疫学がつまみ食いされ、疾病ごとの罹患率、死亡率の地域格差の解消が求められる。
また専門医の地域必要数も上から決められようとしている)

◯一方、介護保険は地域包括ケアの構築が謳われ「居宅生活の限界点を高める」ことがめざされる。
その手段は24時間対応巡回訪問サービスと小規模多機能型サービスのみ。
これが悪いというのでなく、それだけでは圧倒的にサービスが不足するということが重要。
加えて購買力に依存するサービス付き高齢者住宅・自立支援目標設定強制マネジメントの強調。
このままでは高齢者と家族の負担をさらに強めるだけである。
介護の社会化に逆行、介護の自己責任化の進行としか言いようがない。

◯「地域包括ケア研究会路線」の本質は、
介護療養病床の廃止、特養の解体、サ高住、定期巡回随時訪問看護・介護 である。

加えて近隣住民の互助による介護保険生活援助機能削減の補完が推進される。

これらは結局家族に介護力がないのに容赦なく在宅を強制するものである。

◯では、住民本位にはどういう地域包括ケアが展望されるのか?

1:平等なQOL向上の保障を実現する「平等と権利の地域包括ケア」である。

2:住宅保障、居住福祉を重視する。
人権としての「居住基準」を定めるべきである。
すなわち、家賃補助や住宅手当など。

3:施設ケア
24時間対応 、食事、入浴、排泄ケアを外付けにしないで、内在化している施設ケアが必要。

高齢者だけでなく、障がい者も視野に入れること。

特養、老健、療養病床、小規模多機能施設の充実が最も重要。

在宅が最良とする神話を改める必要性。

家族介護の困難を出現させた背景は、高度経済成長による過密と過疎の進行、その後の新自由主義政策の進行による家族、コミュニティ、地域の崩壊であることを見据えて、いまできる現実的な方向を探れば、施設重視という道しかない。

4:在宅ケアは施設ケアよりコストが大きく、ただちに主流とすべきではない。施設ケアと同じ水準がどうすれば可能かを探求するべき段階にある。

5:家族援助の専門職配置が急がれる。それはケア・マネージャーに負わせることはできない。新たな専門職を配して、ケアマネと連携させなければ、現在すでに重すぎる家族の負担軽減は不可能である。

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