« 7.6前後 会議ー 首相官邸前デモに参加ー会議ー会議ー健康の社会的決定要因SDHのなかに「適切な緩和ケアサービスの存在」を加えれば、SDHがQOL判定の具体的項目としては十分になる、と気づく | トップページ | ジョセフ・スティグリッツ、アマルティア・セン、ジャン・ポール・フィトゥーシ「Mis-Measuring Our Lives 誤って生活を測定しないために」 »

2012年7月 9日 (月)

総合診療医を大量に養成するためには・・・山口県総合医療センター

今日は、山口県総合医療センターに出向いた。元の県立中央病院である。

訪問先は総合診療部。名称から想像されるものとは違って、実態は、山口県内のへき地診療に勤務している自治医大卒業生の支援センターであり、総合医療センター内での診療機構ではない。

したがって、その部屋も外来フロアーにはなく、地下2階にひっそりある。

責任者のH医師も自治医科大学出身で、センター内では外科医師として仕事をしている。今年から赴任しているN医師も同席してくれたが、彼もへき地医療に熱意を燃やす自治医大出身者である。

訪問した目的は、家庭医療専門医後期研修での相互協力関係を作るためだった。

今年から僕の勤める病院で初めて家庭医療専門医の後期研修プログラムにMという研修医が一人入り、プログラムが動き始めた。これが山口県でも初のことと思っていたが、総合医療センターにも家庭医療後期研修のプログラムができたという話が入ってきた。

そこで、とりあえず訪問しておこうということになったのだが・・・・。

実は昨年もここを訪問している。ここから話を始めないと、今回の訪問の本当の意味は説明できない。

そのころ僕は広く特に中小病院の参加を募って「山口県総合診療研究会」を作り、その会が母体となる家庭医療専門医後期研修プログラムを実現しよう、そのために僕の病院にあるプログラムを土台にしてもらいたいという趣旨のことを説明して歩いていた。

医療センター総合診療部のH医師他、多くの病院長や県の担当者の賛同を得たのだが、大手病院である総合医療センターの院長が反対し、肝心の山口大学病院の総合診療部教授が賛同しなかったため、結成直前で駄目になった。県の担当者は経済的に援助できるかもしれないと言ってくれていたのにである。

その背景は、医師の後期研修3年目は全員山口大学病院の専門科目に集合させるという大学側の強引な方針にあった。総合医療センターでさえそれには逆らえず、病院独自の専門養成後期研修プログラムを持とうとしない。後期研修は大学で、というのが浸透している。

ところが、そうやって僕の計画がつぶれると同時に、別の場所では県の仲立ちで山口大学と山口県総合医療センターの間で「大学を核にした総合医養成プロジェクト」の協定が結ばれていたのである。

(あえて言えば、県で何かのプロジェクトを持つ、その場に僕も呼ぶと県の担当者は言っていたが、実際はなしのつぶてだった。)

その後、そのプロジェクトの実質となる、へき地医療に従事する家庭医療専門医のための後期研修プログラムが総合医療センターに作られた。

それが今回の訪問で僕が知った事実だった。

へき地医療を担う医師養成という名目には大学側も反対できなかったわけである。

これまで大学に遠慮して後期研修が存在しなかった総合医療センターに、相当限定した目的であっても、独自に後期研修プログラムが一つ誕生した理由はH医師のへき地医療に向ける熱意だったと思えるが、僕の無鉄砲な働きかけが少しは反映しているといえなくもない。

そのプログラムに応募する自治医大卒の初期研修修了医が現れ、僕の病院のM医師の二人が奇しくも同時に山口県初の家庭医専門医をめざす後期研修医となった。

何とか、今ある二つのプログラムが協力し合って、細分化された専門医養成ばかりに傾いている医師養成を改め、医師の半分くらいは訓練された総合医という時代を作らなければならない。そういう戦略を持ってこそ、医師過疎県である、山口県に医師が残り、あるいは集まるという状態が生まれてくる、という展望を遠慮がちに語り合って帰った。

この手のことはとてもデリケートで、そのように語らねばならないのだが、上手く書けているかな?

|

« 7.6前後 会議ー 首相官邸前デモに参加ー会議ー会議ー健康の社会的決定要因SDHのなかに「適切な緩和ケアサービスの存在」を加えれば、SDHがQOL判定の具体的項目としては十分になる、と気づく | トップページ | ジョセフ・スティグリッツ、アマルティア・セン、ジャン・ポール・フィトゥーシ「Mis-Measuring Our Lives 誤って生活を測定しないために」 »

コメント

とてもデリケートで、めちゃめちゃ配慮されて書けていますよ〜(笑)!
僕は、本質を喝破する超辛口の野田節も大好きですけどね!!

投稿: george | 2012年7月13日 (金) 06時34分

拙文に目を留めて頂いてありがとうございます。僕自身はどんなときにもdecentに書いているつもりですが、その基準が低いのでしょうね。

投稿: 野田浩夫 | 2012年7月13日 (金) 18時27分

>僕自身はどんなときにもdecentに書いているつもりですが

いやいや、野田先生の文章はとてもdecentだし、人情味にもあふれています。それでいて切れ味が本当に鋭いので、読むたびにいつも脱帽です!

投稿: george | 2012年7月14日 (土) 16時28分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 総合診療医を大量に養成するためには・・・山口県総合医療センター:

« 7.6前後 会議ー 首相官邸前デモに参加ー会議ー会議ー健康の社会的決定要因SDHのなかに「適切な緩和ケアサービスの存在」を加えれば、SDHがQOL判定の具体的項目としては十分になる、と気づく | トップページ | ジョセフ・スティグリッツ、アマルティア・セン、ジャン・ポール・フィトゥーシ「Mis-Measuring Our Lives 誤って生活を測定しないために」 »