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2012年5月23日 (水)

医療安全チームSTEPPSの教材について・・・SBARとCUSの実例・・・CUSは新しい。気がかりを「心配」「不安」「危険、中止」と3段階に

全日本民医連の医療安全委員長をしている東京健生病院の根岸先生から、彼が作成中のチームSTEPPSの教材の資料を貰った。

英語のドラマ仕立ての動画に、根岸先生自身が字幕を付けているものである。

ところがUSBで貰った資料の再生が僕の使うボロパソコンでは難しく、字幕部分が上手く並べられない。結局、動画を繰り返し見て英語の台詞を聴きこんで、何とか再現したのだが相当時間がかかった。

根岸先生自身が同じことやってしまえば、数分でできるものを3時間くらいはかけてしまった。

そういう労作なので、本来は他人の作物とは承知しながら、自分のブログにアップすることにした。

根岸先生から抗議が来れば取り消す予定である。

患者 エディ・トーマス ERをよく受診する患者。 息切れ、足関節周囲の腫れ、下顎の痛みを訴えている。 「胸に象が座っているような感じ」 ハル・アダムス(正看護師)がいつもとは違うエディの様子に気づいた。

月曜 午後 3時15分

ハル: ルシンダ、スミス先生を呼んでくるまで手伝ってくれないか。エディが新しい胸痛を訴えているんだ。 血圧は90/60、脈拍は110、顔面蒼白で冷や汗をかいている。 ペグが酸素を開始して12誘導をとっている。 心筋梗塞だと思う。モニターを付けて点滴を開始しておいてくれ。スミス先生を呼んで2分で戻る.

ルシンダ: かわいそうなエディ。他に痛みはないの?

ハル: ないよ。少し彼に聞いてみてくれ。

月曜午後3時25分

ハル: スミス先生、6号室のエディ・トーマスですが・・・・。

スミス医師: ちょっと待って 電話だ。

ハル: エディ・トーマス、56歳男性でうっ血性心不全で何度も来院されています。

スミス医師: (電話を続ける)ラシックスを40mg静注して酸素開始。それをやったらすぐに診察に行く。部屋を開けておいてくれ。

ハルスミス先生、不安なんです!

スミス医師:後で電話する。 それでハルどうしたんだ

ハル: エディはいつもの心不全ではありません。胸骨後面から下顎にかけての締め付けられるような感じがあり、蒼白で冷や汗をかいています。血圧は90/65、脈拍は110です。 酸素を開始して12誘導をとっています。私は心筋梗塞と考えます。すぐに診察していただけますか?

スミス医師君の言うとおりだとすると心筋梗塞だな。すぐに行こう。8号室だったかな?OK6号室か。よし行こう。 

月曜3時45分

ペグ: 心電図です。 スミス医師:ふむ。急性心筋梗塞だね。 よし、みんな集まってくれ。 これから行うことを確認しよう

スミス医師: カテ室への入室準備を急ごう。

ハル: 確認します。

スミス医師: よし、とりかかろう。

カレン: 酸素4Lを鼻カニューラで開始、小児用アスピリンを2錠投与しました。血圧が低いのでニトログリセンの使用は控えています。モニターに装着しました。

スミス医師: いい判断だ。ニトロは待機。血液データの結果は?

カレン: 現在測定中です。15分で結果が出ます。

スミス医師:患者に)胸痛があるそうだね。 この痛みはいつもの心不全とは違う よ。 心臓発作だと思う。これから多くのことを行うけれど、後で必ず説明するからね。

月曜午後4時30分

ハル: 胸のレントゲンです。それから心カテチームからあと5分で入室可能と連絡がありました。3番にマーチン先生から電話です。

スミス医師:(患者に)また後で。

スミス医師:やぁボブ。

マーチン医師: ハイ、ボス。僕にダイエットをさせるつもりかい? 食事しようとする度にERから新たな患者だ。

スミス医師: いや、君に忙しく働いてもらっているだけだよ。今回はハルが見つけた患者なんだ。

マーチン医師:それで?

スミス医師: 患者はエディ・トーマス、56歳男性、ウイルス性心筋症の既往があり、うっ血性心不全で何度も来院している。痛みの性状は「引き裂かれるような」痛みで、今日、前壁の急性心筋梗塞を発症し早期の心源性ショックを呈している。

今回と以前の心電図は用意してある。

既往にはウイルス性心筋症があるが冠動脈疾患はない。大動脈解離はないと思う。

アスピリンとヘパリンを投与しインテグリリンを開始した。血圧が低いのでβブロッカーとニトロは待機、血液データは結果待ちだ。

マーチン医師:Ok ボス。 頻回の心不全の既往のある患者の新しい胸痛、心電図では前壁の急性心筋梗塞の所見、アスピリン投与済みでニトロは待機、検査結果待ちだね。 あとはこちらで引き受ける。

月曜6時45分

スミス医師: ハル、今日はよかったよ。 コミュニケーションは正確ですぐに必要な治療に結びつけることができた。 グッジョブ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下は振り返りのため、各シーンをもう一度分析的にみることになる。

◎どこが良かったでしょうか?

① Hand Off  (アメフト用語で「ボールを渡す」 )看護師から医師に問題を手渡すには

[CUS 」・・・2012年8月12日、岡山協立病院の安全管理者佐藤さんの指摘で、誤りを訂正します

気にかかる事柄を

Concerned  「気になる」

Uncomfortable  「不安です」

a Safety  issue「安全上の問題発生です、中止してください」 

のどの段階の問題だと思っているのかをはっきり表現する方法

(ハルが「先生、不安なんです!!」と叫ぶ場面参照)

「SBAR 」  

Situation 状況 (患者の状態)  

Background 背景 (臨床経過)   

Assessment 評価(何が問題か)   

Recommendation 提言(どうしたいのか)

を組み合わせて報告するとよい。

ハル: スミス先生、6号室のエディ・トーマスですが・・・・。

スミス医師:ちょっと待って。

ハル: エディ・トーマス、56歳男性でうっ血性心不全で何度も来院されています。

スミス医師: (電話)ラシックスを40mg静注して酸素開始。それをやったらすぐに診察に行く。部屋を開けておいてくれ。

ハル:スミス先生、心配なんです!スミス医師:後で電話する。それでハルどうしたんだ 。

ハル: エディはいつもの心不全ではありません。胸骨後面から下顎にかけての締め付けられるような感じがあり、蒼白で冷や汗をかいています。血圧は90/65、脈拍は110です。酸素を開始して12誘導をとっています。私は心筋梗塞と考えます。すぐに診察していただけますか?

スミス医師: 君の言うとおりだとすると心筋梗塞だな。すぐに行こう。8号室だったかな? OK 6号室か。よし行こう。

② Huddle 集まって議論する ことも大事

ペグ: 心電図です。

スミス医師: ふむ。急性心筋梗塞だね。 よし、みんな集まってくれ。 これから行うことを確認しよう

カレン: 酸素4Lを鼻カニューラで開始、小児用アスピリンを2錠投与しました。血圧が低いのでニトログリセンの使用は控えています。モニターに装着しました。

スミス医師: いい判断だ。ニトロは待機。血液データの結果は? カレン:現在測定中です。15分で結果が出ます。

スミス医師:カテ室への入室準備を急ごう。

ハル: 確認します。

スミス医師: よし、とりかかろう。

エスミス医師:(患者に)エディ、胸痛があるそうだね。 この痛みはいつもの心不全とは違うよ。 心臓発作だと思う。これから多くのことを行うけれど、後で必ず説明するからね。

③医師から医師へのHand Off   (ボールを渡す) は、“I PASS THE BATON  バトンを渡したよ“ という宣言が大事

ハル: 胸のレントゲンです。それから心カテチームからあと5分で入室可能と連絡がありました。3番にマーチン先生から電話です。

スミス医師: また後で。

マーチン医師:僕にダイエットをさせるつもりかい? 食事しようとする度にERから新たな患者だ。

スミス医師: いや、君に忙しく働いてもらっているだけだよ。今回はハルが見つけた患者なんだ。

マーチン医師: それで?

スミス医師: 痛みの性状は「引き裂かれるような」痛みで、既往にはウイルス性心筋症があるが冠動脈疾患はない。大動脈解離はないと思う。 アスピリンとヘパリンを投与しインテグリリンを開始した。血圧が低いのでβブロッカーとニトロは待機、血液データは結果待ちだ。 スミス医師: 私はもうすぐ勤務終了なので、何か聞きたいことがあったらハルに聞いて欲しい。

マーチン医師: 頻回の心不全の既往のある患者の新しい胸痛、心電図では前壁の急性心筋梗塞の所見、アスピリン投与済みでニトロは待機、検査結果待ちだね。 あとはこちらで引き受ける。

④ Positive Feedback  褒める  ことも重要

スミス医師:ハル、今日はよかったよ。 コミュニケーションは正確ですぐに必要な治療に結びつけることができた。 グッジョブ!

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コメント

野田先生、こんにちは。
先生の和訳はすばらしいですね。
参考になりました。

説明の部分のCUSのSが私の認識と違っています。

S:Safe Issue (安全の問題です。中断してください)
ではないでしょうか?

岡山 佐藤

投稿: | 2012年8月 9日 (木) 09時10分

佐藤さん、ありがとうございました。反対の方向に訳していました。
ご指摘を受けて、ブログの文章を変えておきます。

投稿: 野田浩夫 | 2012年8月13日 (月) 16時56分

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