健康の社会的決定要因SDH の日常診療への活用
まず、目の前の患者さんがなぜ病気にかかったかの大きな背景を捉える枠組みとして有効である。
次に、この患者さんが、病気を治す、あるいは病気と共存して生活していく、あるいは可能な限り穏やかで充実した終末期を過ごすうえでの資源を探すうえに役立つ。
死に臨んだこの人をこの世界につなぎとめている健康さというものは何かが推測できるからである。
前者は、健康の剥奪要因、後者は健康増進要因の意味合いである。どちらにしても同じ要因の不利の克服と、積極的部分の活用の2側面がある。
どちらかと言えば、後者の方が役立つような気がする。
マクロな一国や地域の人口全体の健康へのアプローチにおいても、ミクロな個人診療においても、双方を一つの視点で貫いて指針とできる点がSDHの画期的な特長だろう。
もちろん具体的な用い方は、一方は国や地方の政策全体のアセスメントや立案、片方はケア方針の方向付けと相当違うことは当然である。
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