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2012年3月 2日 (金)

甲府共立病院を訪ねて:民医連急性期病院のあり方・・・ひるがえって中小病院のあり方のヒント=地域連携のハブ病院に

少し古い話になるが、2月18日に山梨民医連の学術運動交流集会に呼ばれて健康権そのほかについて話した。

そのあと、センター病院である甲府協立病院を数年後輩になる加賀美先生夫妻に案内してもらった。

実は30年前に1年だけこの病院で消化器の専門研修をした。その時加賀美君は初期研修医だった。

もちろん、建物はリニューアルされてまったく別のものになっているが病院の雰囲気はほとんど変わっていない。構成する人間が総入れ替えされたわけではないのでこれは当然である。そして30年間雰囲気が変わらないのは、それだけ組織が強固であるということだろう。

その中で新しい変化として僕が注目したのは、総合診療病棟があることである。

後で資料を送ってもらったところによると

「一般内科医・家庭医・後期研修医・一部の専門医がチームとなって救急外来と一つの病棟を持ち、教育に責任を持って担当している」

「初期・後期の医師研修を行いながら、救急から入院、入院から地域へのシームレスな医療連携を担っている」

とある。ここでは総合診療とは、医師の早期教育と地域連携のことなのだ。

僕は5,6年前に病院地域連携室間のネットワークづくりを思いついて以来、ずっと地域連携室機能の重要性をあちこちで力説してきた。

地域連携室のネットワークが地域内の病院や診療所をあたかも一つの医療機関のように接着していけば、「地域医療の民主的形成」にそのままつながるのである。

ずっと以前に莇(あざみ)民医連名誉会長が唱えながら時期尚早だったため使われなくなった概念がいまこそ蘇えろうとしているのだ。

しかし、地域連携室の機能が患者さんのスムーズな受け入れと逆紹介だけにとどまらず、実際の診療機能を備えていたらどうだろう。その影響力はきわめて大きくなる。

その実現がこの総合診療病棟(+救急外来)である気がした。地域連携室は、総合診療病棟(+救急外来)の部分的な機能になっているのだろう。

言ってみれば、専門科の集合である病院のなかに、中小病院を一つ入れ子にしたようなものであり、それが、病院全体と地域医療、とくに地域内の他の中小病院と診療所を結ぶ触手のようなものになっている。同時に、院内の各専門科と地域医療をつなぐ経路、あるいは援助者としても働いている。

総合診療病棟そのものが実質的な中小病院なので、中小病院が連合して総合医を育てる後期研修プログラムを作るという呼びかけも実りやすかったようだ。

いわば地域医療のハブである。

民主的地域医療形成を目指す装置としての、地域連携室の次の飛躍が総合診療病棟だといえよう。

ひるがえって考えれば、中小病院そのものである僕がいる病院は病院全体を総合診療科にして、地域のハブ病院になるという意識を持たなければならないだろう。

こうして、地域連携から民主的地域医療形成へ、という発展の方向を構想すると、民医連の大型急性期病院と、中小病院の共通基盤が見えてくる。

さて、僕が研修をしていた時ついてきた当時1歳の次男も今回一緒に連れて行った。2歳だった長男が、アパートのベランダから富士山が見えたことを鮮明に覚えているのに、次男は何も記憶がないようだった。しかし、いま消化器科の外部研修先を探しているということから山梨民医連の消化器科の先生たちに大歓迎されて、生まれて初めてというような二日酔いをして、帰路はほとんど口をきく気力もないまま勤め先のある名古屋で新幹線を降りていった。

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