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2012年3月30日 (金)

3月の医療生協理事会挨拶 原稿・・・対抗運動の架け橋としての民医連、医療生協

毎月月末にある医療生協の理事会で情勢報告を兼ねたあいさつをすることにしている。1か月間の会議や読書の総括になるので、結構負担になる。しかし、あとで読むと役に立つことは多々ある。

先月に続いて今月分もここにアップしておくことにする。

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2012.3.31 理事会挨拶 

 3月も今日で終わりです。

3月は東日本大震災から1年目の月で、社会全体で、精神科の医師がいう「記念日現象」が起こり、人々の気持ちも落ち着かなくなったのではないかと思います。私たちの周辺でも日野秀逸先生の講演会、小出裕章先生の講演会など多彩な行事が積み重なりました。こういう時は体調を崩しやすいものですから、どうか静かな気持ちで4月を迎えられて、お体を大事になさっていただきたいと思います。

とはいっても、消費税増税が閣議決定されようとしています。TPPの交渉も始まって、TPP問題とはまさに日本の経済主権と社会保障主権をアメリカに奪われてしまうかどうかの問題だということがはっきりしてきました。また小野田診療所リニューアルもより本格的な段階に入り、あまり静かにもできないという情勢でもあります。

日野先生の講演を振り返りますと、いままさに福祉の理念が覆されようとしているということが痛感されます。

福祉の援助が必要な状態に陥るのは、当人の心がけが悪いためだ、「福祉給付を行っても福祉依存的な人を増やすだけで社会全体にとっては良くない、自立の手段として上手くいかなければ早めに福祉を切った方がよい」とする考え方がいよいよ強くなっています。

 そのなかで2025年完成を目指す「地域包括ケア」の考え方には大きな問題があります。自助+互助を社会保障に入れ込んでいるのも驚きですが、もっとも目を引くのは「共助」概念の創出です。(別紙)

医療保険や介護保険などの社会保険を「共助」とし、19世紀の社会保険スタート時に戻っています。したがって「負担なければ利用なし」が原則となり、国や自治体の責任は放棄されるわけですが、なんとこれを「新しい公共」と呼んで、何か時代がかわったかのような演出をしています。

しかし、東日本大震災の被災者のことを考えればこれがいかにごまかしかわかります。誰が福祉給付をされて福祉依存になったでしょうか。みんな元の生活や仕事を取り戻そうとして必死になっています。また介護保険や医療保険を「負担なくして利用なし」の原則を貫くことはできず、保険料も自己負担も猶予・免除しなければ被災者の生活は成り立たなかったではありませんか。

東日本大震災の被災者と、それ以外の人は違うと考える人もいるかも知れませんが、決してそうではありません。地震・津波・原発事故で家族や家や仕事を失う人と、めちゃくちゃな派遣切り、リストラで職場や家や家族を失う人の間に本質的な違いはありません。

この、本質的な違いはない、「自己責任とは関係のない災害が日常的にあふれているのだ」ということを、新入職員はじめ若い人にぜひ伝えたいと考えています。

さて、野田内閣は冒頭にも申し上げたように、消費税引き上げやTPP加入、原発再稼働、普天間の辺野古移設を実行するための内閣です。彼らは、「議論の時は終わった」、と考えています。何が何でもやる、「命を懸けてやる」と言っています。そういう性格の内閣です。

これに反対する勢力も広がっています。

渡辺 治さんによると、そこには、いわゆる保守・革新を超えた4つの対抗運動のグループがあるとされています。

ひとつは農協、医師会を先頭にした既成の大組織です。特にTPP反対ではオールジャパンの反対運動になりました。

あと三つは、組織という組織を持たない運動です。

ひとつは、戦争を身近に知っている年齢層の9条の会型の運動です。大江健三郎氏や澤地久江さんがその代表です。

もう一つは、平和憲法は生まれるずっと以前からあって、いわば空気のようなものであるため、9条の会にはあまり参加してこなかった若者の層です。彼らの特徴は不安定な非正規雇用労働者であることを強いられていることで、消費税や原発には鋭く反応します。「素人の乱」という形で自然発生的なデモを続けているのが彼らです。

最後のひとつは、「素人の乱」のグループより若干年齢が上で、生活も安定して子どもを生み育てている層です。彼らはこれまでは運動から遠かったのですが、子どもの将来を考えるt、特に原発問題を入り口に立ち上がラ内ではいられなくなっています。

これらのグループは、相互に連絡しあうでもなく、まして統一の指導部を持っているわけでもありません。横に広がる個人的なネットワークがあるだけで、そういうネットワーク型であるため潰されないで存在するといってよいかと思います。

 ただ、こういう形態では闘って勝つことができず、戦(いくさ)だ!!と叫び勝ち抜いていくイメージを強烈にばらまく橋下徹「維新の会」に若い人たちの気持ちを吸収されるということも起こりえます

ここに、私たちの出番があると思うのです。別紙で「共助」のなかに生協が含まれていたのをもう一度見直していただきたいと思います。政府はそういう形で私たちを取り込みたいと思っていますが、ここには別の意味もあります。生協形態の事業にはフォーマルな組織としてそれだけの人望と権威があると政府も認めざるを得ない状況が生まれていることを示していると思うのです。まさに、この立ち位置を活かしていくことが求められているのです。

既成大組織とも対等に渡り合って共闘組織を作ることができる、かつインフォーマルな各グループにも濃い人間的なつながりがあるという立ち位置はほかのどの組織も持っていないと思います。まさに4つの対抗運動の架け橋として私たちが大活躍してこそ、野田暴走内閣の意図をつぶせるのだと思います。

そう考えるとあまり静かにもしていられない4月になってしまうと思いますが、ぜひご奮闘をお願いいたします。

最後に、島本慈子の岩波新書「戦争で死ぬということ」などにも紹介されている中村 佑さんは下関支部所属の医療生協組合員でもありますが、中村さんが撮影された写真が日本機関紙協会のコンクールで入賞されたとのことです。こういう話で気持ちを落ち着けて議事に入りたいと思います。

以上を今月の御挨拶といたします。熱心な討議をお願いします。

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