雑誌「世界」2012年4月号岩波書店に池口恵観インタビュー
池口恵観は、高野山の高僧を名乗っているが、戦後史に有名な右翼クーデター未遂事件「三無(さんゆう)事件」で逮捕・有罪となった人物である。私は彼が宣伝している山口大学医学部博士号を取得したということの経緯も改めて吟味の必要があると思っている。
その池口恵観のインタビュー記事を「世界」が載せている。「世界」はイスラエルの謀略組織モサドとも関係があると思える佐藤 優にも多くの紙面を与えており、元来右翼世界とのつながりが深い雑誌なので、けっして不思議なことではないのかもしれない。
池口は金日成に会って観音様のような人だと思い「金日成主席観音菩薩像」を作って北朝鮮に送ったと話している。さらに、まだ会ったことのない金正日のために「金正日千手観音像」もつくったとのことである。
また、北朝鮮ナンバー3の最高人民会議常任委員会副委員長が、かっての日本による植民地支配を「日本の軍部が行き過ぎただけ」と話したと紹介している。
池口の語るところでまともなのは①日本が戦前の植民地時代の強制連行、強制労働、慰安婦問題で正式な謝罪と賠償をしていない ②日本は北朝鮮の被爆者に対して謝罪賠償をしていない という2点のみである。そのほかは妄言としか言いようのないことの混乱した積み重ねである。
インタビューをしているのは編集長 岡本厚氏である。
彼は雑誌「詩人会議」にもよく寄稿している。その文章は健全なものである。
その岡本氏の意図はどの辺にあるのだろうか。
「世界」3月号は見事に右傾して、あらゆるマスメディアを疑う必要があることを私に強く実感させた。
一方、「世界」4月号には京大の岡田知弘氏のまともな議論も掲載されている。
ひょっとして、国民のメディア・リテラシーを試験しているつもりなのだろうか。
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