2012年3月8日朝日新聞 北里大 和田耕治氏の研究の記事
○2012年3月8日朝日新聞に北里大の和田耕治氏らの研究の記事が掲載されていた。
コピーすると以下のようなものである。
「管理職・専門職の死亡率高まる、2000年頃を境に
30~50代の働き盛り世代男性の死亡率は、2000年ごろを境に役員や部長、課長といった管理職や専門職が事務職などその他の職種の平均を上回っていることがわかった。北里大の和田耕治講師(公衆衛生学)らが6日付英医学誌BMJ電子版に論文を発表した。
和田さんらは、人口動態統計や5年に1度の国勢調査の結果を分析。30~50代の男性の死亡率を(1)管理職(2)専門・技術職(3)その他の職種(事務職や生産工程・労務職などを含む)に分けて比べた。がんや心筋梗塞(こうそく)、自殺など死因別にも調べた。
生活習慣病予防の広まりや医療の進歩などにより1980年以降の働き盛り世代の死亡率は全体では低下してきた。だが管理職と医師や教師など専門・技術職の死亡率だけが00年に上昇。その他の職種の平均を初めて上回った。05年も管理職は高いまま。専門・技術職も下降傾向ながらその他を上回った。肺や大腸のがんや自殺の増加が目立つ」
というものである。これまでのイギリスのマーモットさんたちの研究による定説から外れるきわめて興味深いものである。
これを見て僕が考えたこと。
○1999年の労働者派遣法大改悪に代表される日本の雇用の不安定の激甚化は、短期的変化として、労働者上層=管理職・専門職の過労による健康状態の悪化を招いた。
○その他の職は、仕事量の減少により、一時的には健康状態が改善したように見えているが、長時間をみれば「雇用の不安定」という健康決定要因により、今後必ず悪化していくのはまちがいない。
引き続きの報告を待ちたい。
| 固定リンク
コメント
医学部卒は殆どが臨床医になるけど、
お医者さんも患者も公衆衛生学の研究に
もっと注目した方がいいと思っていました。
この新聞記事は見逃していたので、いい情報ありがとうございます。
女性のデータはないのかな?
投稿: Lisa | 2012年3月14日 (水) 20時33分
コメントありがとうございました。
今、原文にアクセスして読んでいるところです。http://www.bmj.com/content/344/bmj.e1191
女性の調査があるかどうかも調べてみたいと思います。
投稿: 野田浩夫 | 2012年3月16日 (金) 16時58分