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2012年3月27日 (火)

雑誌「現代思想」2012年3月号での今中哲二氏たちの発言・・できもしない「除染」で安全宣言をし補償を打ち切ることが最悪の選択

堤 未果「政府は必ず嘘をつく」角川SCC新書2012に、福島の除染モデル実証事業を受注した3社(大林、大成、鹿島)は原発建屋(たてや)建設のトップ3でもあり、自分たちが作った原発の事故の処理でも儲けるという仕組みになっていることが書かれている。

これに関連して、上記雑誌で今中哲二氏たちは、福島では除染より放射性物質の自然崩壊を待った方がよいと言っている(97ページ)。

もちろん、汚染初期の中規模都市福島で、何十万人もの市民が緊急避難などできない時、道路の緊急除染は必要だったろう(95ページ)が、それは実行されていない、そして、実際上森林の除染ができない限り、おそらく無意味な田畑・居住地の除染に何千億円かけようとしている。中途半端に除染した田畑で耕作しようとする人もいないはずだ。

それは除染ビジネスとしか言いようがないものである。(除染ビジネスでも、危険を冒して働かされるのは現地の人である)

飯館村が除染で20年間に3000億円使う予定なら1世帯あたり1億円使えるのだから、その金で集団移住村を作れるはずである。ただこの3000億円は村の計画で、国がそれだけの投入することは考えられない。

チェルノブイリでは移住が基本で除染は全くなされなかった。

今後の見通しとして、セシウム134は自然崩壊で3年で1/2、10年で1/4-1/5になる。そこからはほとんど下がらなくなる。いまは避難しておいて、そこまで待って、除染対策を考えればよい。それまでは徹底的に線量分布を測定し続ければよい。安全に戻れることを確認して人間は戻ればいいのである。

被災者の将来の発病については、水俣病に対して被害者が求めていると同じで、期限なしの補償、ということに尽きる。

そのためにも、健康管理を継続的に行うことは絶対必要。「モルモット」になりたくない、という心理は逆効果。「ミスター100ミリシーベルト山下俊一」がトップにいる調査だから受けないというのでなく、なるべく徹底的な健康管理をさせ、補償と結び付ける運動にすべき。

今中氏の感覚では、毎時0.1マイクロシーベルトは汚染がなくても出現する値なので、これが室内で0.2になったら(とりわけ子どもが)住んでいてはだめということである

そうなったら大慌てでなくてもいいから、やはり疎開した方がいい。しかし東京でも広範囲にその程度のことはあるかもしれない。そうなると、(*大量疎開は物理的に無理だから)除染ということになる。

飯館村の中でも福島の中でも貧富の差があり、金持ちは安全に生き、貧乏人はリスクの中で暮らすという状態が生まれている。それに触れることはタブーになっているが、その格差を解消することが重要だ。補償も貧困者から優先的にやるべきだ。

福島の押し込められていては運動ができない。

*その後、チェルノブイリの現状を資金視察に行った小西全日本民医連副会長から聞くにつれ、疎開した人々と残った人々の対立に心が痛んだ。 機械的にいうと、貧しい人が残り、富裕層は疎開すると考えられそうだが、疎開した人々の境遇は急激に悪化する。残った人にはある程度経済的支援が与えられやすいが、不安は強く、実際に健康状態は確実に悪化している。疎開した人々は経済的支援もなく、不安な生活の中で健康を失っている。いずれも政府が責任を果たしていないためなのだ。 今後の方針は、幼少期の健康の特別な意味合いに注目して、十分な補助の元に、子供に平等な長期疎開を実行するしかない。

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