聖路加国際病院QI委員会「QI2011 [医療の質]を測り改善する 聖路加国際病院の先端的取り組み」インターメディカ、2011年・・・2012年診療報酬改定にも触れて
こうしたものを眺めるのが読書といえるかどうか。
お金持ちしかかからない都会の有名大病院の試みを、どうしたら貧乏人しかかからない地方の小病院に活かすことができるか、という問題意識がないと読み終われない。
医療の質は、医療のどんな場面にも保障されなければならないだろう。それは聖路加国際病院でも、宇部市の小病院でも差があってはならない。
地方の一地域をとってみても、特定の病院が高い質を誇って患者を集めても世の中のためになるとは思えない。
具体的には何をするか。
この本で取り上げられたいくつかの指標を選択して、地域の中小病院や診療所が足並みをそろえて測定するということから始めてはどうだろう。
糖尿病患者のA1c値の平均をその集団内で比べてみると、地域の糖尿病診療のレベルアップが始まるだろう。
ところで、まったく関係ないことだが、10年くらい前に僕は病院にようやく定着した院内感染防止委員会活動も、地域の病院すべてが足並みをそろえないと住民の役には立たないと気付いて、何とか院内感染防止委員会の地域連絡会を作ろうと努力したことがある。
当時、理解者は全くなくて実現しなかったのだが、今年2012年の診療報酬改定で、感染防止委員会関係の加算は地域連携が前提となっているのを発見した。
僕の発想はこの改定に先立つこと10年は超えているのだが、どこかで同じようなことを思いつき営々と実現に努力した人があったのかとも考えさせられたことだった。
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