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2012年3月 6日 (火)

アマルティア・セン「正義のアイデア」池本幸生訳、明石書店2011からなるべく無意味な抜き書き

1:もちろん、私は大西洋の向こう側の現代的言葉遣いでは、道徳的質としての「良いこと(being good)」と、人の健康に関する言葉としての「良いこと(being well)」(痛みを感じないこと、血圧が正常であること)との間で区別していることを知っており、「お元気ですか」と尋ねると「とても良い(I am very good)」と自賛する私の友人たちの慎みのなさを長い間、気にするのをやめて来た。70p
*さて、この時私、すなわちセンはアメリカにいるのだろうか、イギリスにいるのだろうか?この話に続いてウィトゲンシュタインがアメリカ人ではないというジョークが出てくるので Iam good というのはハーバードの同僚らしいと文脈で分かるようなのだが。

2:ベンガルの作家リーラ・マジェムダール(偉大な映画監督サタジット・レイのおばにあたる) 83p

3:日本の偉大な作家である大江健三郎は、日本が自分自身の「領土侵略の歴史」を理解することによって、「民主主義の考え方と、戦争を二度と起こさない決意」を守り続けていくことを期待している 91p

4:要約するという行為は、どのようなものであっても究極的には野蛮なもの 101p

5:私自身の気持ちとしては、ロールズの独創的な理論は、われわれに正義の様々な側面を理解させてくれたという点で大きな役割を果たしたと考えたい。そして、たとえ彼の理論が放棄されなければならないとしても、ロールズの先駆的な貢献から得られた多くの知恵は、政治哲学の内容を豊かにし続けるだろう。ある理論に対して深く感謝の意を表しながら、同時に真剣に批判するということは可能である。108p

6:「基本財」(人生の目標を追求するための手段)に注目することによって、ロールズは、人々が人生でやりたいことをするための自由の重要性を間接的に認めてしまっている。(目的ではなく)手段としての自由の重要性を強調することによって、ロールズは彼の正義論のなかで自由について考える明確な方向性を与えた。116p

7:自由の重要性を、自己目的ではなくより良く生きるための手段として認めるとするなら、「基本財」の意味を考え直して、基本財を現実的な可能性のあり方に拡大する方向で読み変えて、それを「ケイパビリティ」としてしまうことは、ロールズの考えからの逸脱ではなく、実践理性の戦略の調整にすぎない。118p

*ここで、センは、ロールズの考えを僅かに加工(江戸時代の哲学者 富永仲基の言葉を借りれば「加上」)すれば自らの考えになると言っているわけである。

**これは、さらに、正義論の第一原理(自由の尊重)と第二原理(機会の平等+格差原理)の優先順位を入れ替える、すなわち第二の方を優先させるべきだ、という金子 勝の主張につながるわけである。晩年のロールズはそれを受け入れていたとセンが言っているような気もするのだが・・・?

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