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2012年1月11日 (水)

在宅医療の時代―民医連―猪飼周平「地域包括ケアの時代」―健康権―WHO「健康の社会的決定要因」―柄谷行人「国連のWHO型の改革」・9条実現の日本の国際貢献―「新しい福祉国家」に向けて

東京の清瀬市で診療所6か所を展開している医療生活協同組合から学習会の講師を頼まれたのでその準備に追われている。

テーマは「地域包括ケア時代に診療所はどう備えるか」。

2011年8月に全日本民医連が参加者500人を優に超える在宅医療交流集会を開いて当面の方針を提案しているので、それを説明するというのが僕の役目のようなのだが、その時に未解決の問題もあるので、全く新たなテーマと思って取り組んでみた。

超高齢社会にむけてどういう地域医療の課題の変化が起こるかを予想し、そこで求められる医療活動と政府の政策の大きな食い違いを市民と医療人の連帯した運動で解決しようというのが当然主題となる。

在宅医療が今の数倍に拡大されなければ超高齢社会における高齢者の人権は守れないが、政府は間に合わせの介護の拡大と高額なサービス付き高齢者住宅の大量建設で済ませようとしている。後者はゼネコンの新たな市場であり、そこには入れない貧困な人は超高齢化時代の新たな難民になっていく。古びていくにまかされている老人施設が難民キャンプになるかもしれない。

まず超高齢社会を「脱医療化」の時代にしないよう、医療の持つ役割をしっかり市民に訴える必要がある。

しかし、その医療の中身は、現在の急性期病院における専門医の行う医療ではない。中小病院と診療所と老人施設の全部が見渡せる総合医と多職種からなるチーム医療である。総合医は全部の医師の最低4割はいなくてはならないだろう。チーム医療は個別の病院の中に閉じこもるものでなく、病院、経営を超えて全地域が一体のものになるような地域医療である。

そのようなチーム作りを、「地域医療の民主的形成」と呼びたいし、チームのまとめ役を「地域連携コーディネーター」と呼びたい。

しかし、それはまだ高齢者ケアに限局した話である。猪飼周平によれば、ケア全体が「地域包括ケア」に向かって大きく転換しようとしている。その背景にあるのは「病院治療」一辺倒から「QOL重視」へ向かう社会の価値観の大きな変化である。それを猪飼は「生活モデル」とも呼んでいる。

生活モデルに向かう価値観の変化はまず障害者福祉から生じたが、本質的には、グローバリズムと格差の進行の中での「健康の社会的決定要因」の発見と確認による変化である。それによって「健康権」という概念が科学的根拠を得た。

この変化はWHOを源としている。

WHOの健康戦略の変遷も興味深い。1970年代の「プライマリ・ヘルス・ケア」は先進国を排除した中国・ソ連モデルだった。1980年代のヘルス・プロモーションは先進国の格差増大に直面して先進国がイニシアチブを発揮したが、結局はアメリカ式の個人のエンパワーメントと個人責任追及がヨーロッパ式の環境改善より優勢になってしまった。

そこで1990年代になって、ヨーロッパ式の環境改善方針の根拠を確立する「健康の社会的決定要因」の追求が本格化する。そこで発見されたのは、圧倒的な健康の社会的剥奪要因である。その影響から逃れられる人間はいなかった。格差社会は社会全体を不幸にしていたのである。

ここに至って、そういう健康破壊にさらされないことを保障する「健康権」が確立する。それは生活モデルの健康追求と言い換えてもよい。

健康権を実現するのは「新しい福祉国家」だが、この国家は憲法9条を完全に実施することで『生活モデル」による国際貢献を果たし、それが国連全体を変えていく。

国連は、大国の軍事力をバックにした「安全保障理事会」中心型から、すべての成員が平等なWHO型に変わり、世界共和国への展望を得る。これが柄谷行人のいう世界同時革命そのものである。

では「新しい福祉国家」はどのように実現されるのだろうか。それは「国家+資本」主義を規制する協同組合的な交換様式の発展による。この交換様式は事業体としては協同組合、運動体としては新たなコミュニティづくりである。それは民医連が唱える「非営利・協同セクター」の発展ということにほかならない。

まとめてみると、≪在宅医療の時代―民医連の方針―猪飼周平「地域包括ケアの時代」―健康権―WHO「健康の社会的決定要因」―柄谷行人「国連のWHO型の改革」・9条実現の日本の国際貢献―「新しい福祉国家」に向けて≫ という流れを60分で説明するつもり。出来そうもないか・・・?

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土地代金返還「心配せず」=「4億円」で裁判官質問−証拠調べ終了・小沢元代表
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投稿: 土地代金返還「心配せず」=「4億円」で裁判官質問−証拠調べ終了・小沢元代表_919689 | 2012年1月11日 (水) 23時16分

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