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2011年12月 2日 (金)

エマニュエル・トッドの記者会見記事を読みながら思ったこと・・・やはり、トンデモ学者だと思えるところもあるのだが・・・

佐伯啓思の新聞記事(12/1朝日)でエマニュエル・トッドの名前を見つけ、9月6日の日本記者クラブでの記者会見の記事に行き着くと、少し面白い話があったので、短くメモを残しておくことにした。

例によって*は要旨的引用、○は僕の感想である。

識字率が50%を超えるとアラブ世界では民主主義的な革命が起こってくる。

○これは、知識が力になるということを数量的に表した話である。

識字率が上昇すると女性が出産をコントロールし始めて出生率が低下し、さらに出生率が3をきるとアラブ世界の男系の家族形態が崩壊する。

○日本の皇室が男性天皇制を維持できなくなる一因も出生率低下によるのだが・・・。皇室の識字率が上がったからなのか?

*革命の決定的瞬間は、軍の兵士が政権より民衆を自分たちに近いと感じ、軍隊が民衆への攻撃をやめる時である。

○たしかに、外国に向かうときはナショナリズムを鼓舞していれば心配ないかもしれないが、国内の階級的抑圧を目的とする暴力装置としては常備軍には弱点がある。というのは、兵士は非抑圧階級から徴発するしかないからである。

そこで、リビアのカダフィは傭兵による軍隊を作った。この狡猾さを理由として、サルコジ主導の空爆をトッドは承認せざるを得ないとする。これはとても賛成できない。

日本の未来の選択肢は三つ、 ①アメリカの属国であり続ける ②核武装して帝国主義として自立する ③中国の属国になる

○なんともばかばかしい提案。憲法9条を実現して、武装しない自立した国になるという最も可能性の高い選択肢をすっかり忘れている。

核兵器は平和を保障するものだが、原子力発電所は危険だと事故後の日本に来て認識した。それにしても、日本人は核兵器を持たない上、たくさん原発を作りながら原発用ロボットを持ってないなど、核については考えが混乱して技術の使い方を間違えてしまう特殊な集団なのではないか。

○馬鹿丸出しの言いたい放題だが、脱原発の一点では、こんな人物とも共同すべきなのかなぁ。

*フランス社会にはアナーキーなベクトルがあり、日本社会にはヒエラルヒー強化のベクトルがある。だから、経済力、文化水準が近くなっても全く違う社会になってしまう。

○ここはなんとなくわかる話だ。

新自由主義的経済によるグローバリゼーションは、各国の内的バランスを崩して、政治が重要な決定をしっかり行えなくなり、ついには独裁に向かわせる可能性がある。それを防ぐために、フランスの独裁的な大統領を日本に上げるので、1年に1人変わる日本の首相をもらいたい。

○民主主義の中から独裁が生まれやすい政治状況を新自由主義的グローバリゼーションが全ての先進国の中に生み出しているという政治認識はそれなりに鋭い。小泉、石原、橋下の出現はその前触れなのだろう。

サルコジと民主党首相を交換しようというのはユーモアになっているのかどうか。

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コメント

>○なんともばかばかしい提案。憲法9条を実現して、武装しない自立した国になるという最も可能性の高い選択肢をすっかり忘れている。

それこそ可能性皆無の馬鹿馬鹿しい妄想でしょう。

でも日本は核実験場を持たないという致命的な理由から②の核保有は無理なので、①か③を選ぶ必要があります。まぁ日本の歴史上当たり前の選択です。

投稿: 田螺 | 2012年1月 1日 (日) 15時29分

コメントありがとうございました。

妄想のようにみえるかもしれませんが、実は変化はこれしかないのではないでしょうか。

日本がすでにアメリカの属国であることは常識ですが、中国の属国になることや、核兵器を持つことはほとんど現実性がありませんから。

それらより現実性があるのは北朝鮮情勢の変化や、チベット問題などを発端にして起こる世界的戦争です。

この時、戦争に加担しない、戦争を防ぐ日本をどう作るかが今の僕の関心事です。

それも妄想だと言われるのかもしれませんが。

投稿: 野田浩夫 | 2012年1月 1日 (日) 16時39分

○日本の皇室が男性天皇制を維持できなくなる一因も出生率低下によるのだが・・・。皇室の識字率が上がったからなのか?

エマニュエルトッドは王室の分析をしているのではないですよ。ある国の国民(一般市民)ですよ。特権階級は識字率なんてものは関係ないんですよ。特別な教育を受けられる階層ですから。

ーー
憲法9条を実現して、武装しない自立した国になるという最も可能性の高い選択肢〜

・・つまりこの選択肢自体がアメリカの属国であり続けるということですよ。

投稿: ごまお | 2012年2月 5日 (日) 19時11分

コメントありがとうございました。

皇室に関する部分はもちろん冗談です。あなたが皇室について冗談を言うことを許さないという方だったら僕も困るのですが。

それから、僕は日本は占領時代から継続してアメリカの属国であり続けていると考えています。

この状態から抜け出すことはできないと大半の人は考えていますが、少なくとも2種類の人は状況を変えようとしているように見えます。

一つは石原都知事のグループで、彼らは日本が核武装してアメリカと対等になることを夢見ています。
もう一つは、柄谷行人や日本共産党で、憲法9条を完全に実施、すなわち非武装化して国連を改革し、その力を利用して日本をアメリカの支配から脱けださせようとしています。

どちらがもとても難しいことですが、その可能性を馬鹿にして否定せず、正面から向き合うことが、結局は現状を改善する道につながると僕は思っています。

投稿: 野田浩夫 | 2012年2月 6日 (月) 11時09分

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