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2011年12月 1日 (木)

12月1日朝日新聞「佐伯啓思インタビュー」・・・橋下の成功は『第二の満州事変』の始まりではないか?・・・解答者に的を得たインタビューだ

ほぼ1年前になるが、2010年12月28日のこのブログの記事に僕はこんなことを書いている。

「宇部国際ホテルの安いビジネスマン向きランチを食べながら、政治学者 渡辺 治さんは、僕が始めた話には全く興味を示さず、唐突に君は佐伯啓思の言うことに耳を傾けるべきだと言った。

『西部 邁(にしべ すすむ)などと同じ右翼的な人物だが、コミュニタリアンとしての彼の主張は面白い』

あまりに意外な成行に、翌週、新大阪駅の出口にある本屋で『日本という価値』NTT出版2010を見つけて買ってしまった。

『個人の能力は、他者との共同の中で発現する社会的なものだから、すべての成果が彼個人に属するわけではない』僕の考えていることと全く同じだ。

佐伯は企業の社会的価値を重視したドラッカーに賛成し、株式会社の株主主権論に反対する。国民の生活状況の悪化を何とかくい止めたいと願う。労働力・土地・貨幣の市場化・商品化に規制が必要だという。国民主権の中に潜む排外主義を警戒する。

『本当に必要なのは冷戦以降の世界状況の中で日本の立場を明確にすることとアメリカ従属的な戦後日本を終わらせること』

『いかに改憲派で戦後憲法など認めないなどという人でも、現憲法や下位の法体系のもとで生活を守られ、言論活動していることはまごうことなき事実なのである』

佐伯と僕たちの間に認識の違いはほとんどない。

最後に佐伯は中国、ロシア、インドの急速な台頭とイスラム諸国の先行きの不透明さの中に世界戦争への可能性と、それに正面から対決しないニヒリズムの蔓延に危機感を表明している。

そして中国やロシアに追い詰められた小国日本が『第二の満州事変』を起こす可能性について言及している。

これは、僕が思うに、尖閣諸島や千島に自衛隊を出兵させようとするるポピュリズムの政治勢力が国民の支持をかすめ取ったとき現実化するのだろう。」

(この話は、経済同友会終身幹事の品川正治さんに一笑に付されてしまったが)

さて、橋下が率いる「維新」が大阪政治を占領してしまったことは、ポピュリズムが日本政治を犯し始め、世界戦争の引き金を日本が弾いてしまう道が始まったことにならないか?

朝日新聞のインタビューは、この危惧に対して完全に的を得た人物を選んでいるといえよう。

佐伯氏は痛快に答えている。

「小泉も橋下もポピュリズム以下だ。大衆の求めるものは何も提示せず人気をとったデマ屋(デマゴーグ)に過ぎない。権力そのものが自己目的化している。」

「世界中が閉塞感に悩み、激化する国家間競争に勝つことでその閉塞感を打破しようとしている。それを一気に実現するには独裁が最も有効な方法となる。中国然り。ソ連然り。近いうちにヨーロッパでは民主主義が停止され独裁政治が現れるとエマニュエル・トッドも言っている」

*エマニュエル・トッドはフランスの歴史学者。今年の9月に日本に来た。その時の記者会見はhttp://www.jnpc.or.jp/files/2011/09/0694b71c343f65c2692842c8a5b741c0.pdf で読むことができる。

おそらくトッドを学んで佐伯氏は世界戦争の可能性の原因のなかにイスラム諸国の先行き不透明を挙げたのである。

「独裁を生み出すのは民主主義だと国民が気付き、政治意識を高めるしか独裁を防ぐ方法はない」

しかし、その先のことを佐伯氏は語っていないので、以下は僕の意見である。

佐伯が言うように確かに官僚制や二院制議会は、大阪府民・市民のように愚かにも惑わされた大衆が直接選挙によって独裁者を押し上げてしまうことに抵抗する機構だったかもしれない。

「民主主義を守るための非民主制」というのは一見しゃれている。

しかしそれもすでに失敗が証明された話である。ナチス以前のドイツ、すなわちヴァイマル共和国に官僚制はあり、議会だって国民代表の国議会と州代表の参議会という二院制があったではないか。

結論はこうだ。

市民に背を向けた官僚制に頼らず、自らを貴族の高みに置く上院の傲慢に期待せず、市民は市民の手で民主主義内部に潜む独裁を生む危険性を摘み取る方法を見つけ出さないとならない。

メディアを信用せず、市民同士の節度ある討論を盛んにすることが大事だ。

・・・いや、佐伯啓思氏の結論を一歩も超えるものではないなぁ。

ともかく、黒か茶色のシャツに身を固めて行進する橋下の親衛隊にむざむざ路傍で殺されてしまわないよう警戒心を高めることだけはしておこう。

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