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2011年8月17日 (水)

最も安上がりな認定医更新法

内科認定医の更新の最も安上がりな方法は、毎年2000円払ってセルフトレーニング問題集を入手し、6割以上を正答することである。病院から一歩も出ずに学会出張も不要である。
5年間合計1万円で更新が認められる。回答を学会に送れば、採点してくれたうえ、きちんとコンピュータに登録されるので、5年続ければ学会から自動的に「真面目なあなたの場合、更新の手続きは不要です」という知らせが来る。

真面目なあなたは、とは本当には書いていない。

問題が内科の最新の基礎知識を問うものとなっているのが教育的で、最近5年間分の解答集が本になった。ただし、出題には偏りがあって、新薬の宣伝としか思えないものも混ざる。

一人で問題を解いていてなにより痛感するのは、医師が知識を広げていくには、常時臨床上の謎について意見交換ができる同僚や、時に答を与えてくれる指導者が不可欠だということである。

一人で問題を解くことは、多数の顔の見えない出題者と会話することでもあり、同僚の代用にならないわけでもないのだが、やはり代用品としての限界がある。

以下に私が問題を解きながら考えたことを年度別に記録しておきたい。

実は僕の記憶減退対策である。

並べてみると同系統の問題が繰り返し繰り返し出題されているのがわかる。

2007年

①SLEの患者に抗リン脂質抗体症候群が合併することは多い。このときAPTTが延長して出血傾向を生じるが、同時に血栓が多発して、一過性黒内障や深部静脈血栓も生じやすい。

②アロプリノール(商品名 アロリン)などの服用がきっかけで、乳児期に感染した後、潜伏していたヒトヘルペスウイルス6 すなわちHHV-6(突発性発疹の原因ウイルス)が再活性化され、発熱、リンパ節腫大、異型リンパ球出現、皮疹など伝染性単核球症様の状態になることがある。
これまで薬疹だと思っていたものの中に、このような潜伏ウイルスの再活性という機序のものが含まれているのかもしれない。

③膠原病患者で肺動脈性肺高血圧症を生じた場合、ボセンタン(エンドセリン受容体拮抗剤)が適応になる。

④ヘパリン起因性血小板減少症HITは、、ヘパリンと血小板第4因子の複合体に対する自己抗体のために起こり、DIC類似状態になるものである。通常の未分画ヘパリンだけでなく低分子ヘパリンでも起こる。動脈血栓より静脈血栓の方を生じやすい。

⑤膵臓癌化学療法の第一治療薬として、塩酸ゲムシタビン(ジェムザール)注射+TS-1内服が保険適用になった。

⑥サイトメガロウイルス感染症の治療薬としてガンシクロビルがあるが、AIDS,臓器移植、悪性腫瘍の場合にのみが保険適用されている。ステロイドを長く使用している高齢者にサイトメガロウイルス肺炎が起こった場合、TBLB(経気管支的肺生検)で核内封入体を持つ巨細胞を証明すれば診断できるが、これにガンシクロビルが使えるかどうかはよく分からない。

⑦リウマチ性多発筋痛症は圧痛を伴わない自発痛が主だが、線維筋痛症は多くの部位で圧痛を認めるのが特徴である。

⑧ノロウイルスは60度では死なない。オスバンやアルコールは無効で、塩素系消毒剤( ピューラックス)のみが有効。 

⑨餅による窒息で、吸気に伴って喉頭部の下方牽引が見られるようなときは、喉頭鏡で異物除去できなければ、気管内挿管は無理で、輪状甲状軟骨間膜切開のほうを急いで実施するのがよい。

⑩MIBGという物質はノルエピネフリンに類似しており、通常は心臓の筋肉の交感神経末梢に取り込まれる。これをシンチグラフィで検出できる=MIBG心筋シンチ。
しかし、これが低下してくると(取り込みの指標として心臓/上縦画比 H/U比というものがある)、高度の心交感神経機能異常が疑われ、その場合、Lewy小体型認知症(パーキンソン症候群+幻視を合併する認知症で、3番目に多い認知症として注目が集まっている)の可能性が高くなる。
心臓の検査をして、認知症を診断するという話である。

⑪ 薬剤性腎臓障害には、アミノグリコシドなどから量依存性に生じる急性尿細管壊死(急性腎不全)と、アレルギーを介して生じる急性間質性腎炎とがある。後者の原因となる薬物は、セフェム系の抗生物質とNSAIDsが多い。
このとき、尿沈さでは好酸球が多数検出される。

2008年
1:ネフローゼ症候群の組織学的診断での頻度第3位「巣状(分節状)糸球体硬化症 」15%は、名前は平凡だが、難治性ネフローゼの代表。外来には、蛋白尿と、高コレステロールだけを呈する患者さんとして現れてくることが多く、油断させられているうちに悪化があっという間に進む。予後は不良である。

しかし治療はステロイド(パルス)療法、シクロスポリン投与、さらにLDL吸着療法が、次第に効果をあげてきているらしい。

2:副腎のCTでは0.3~4.3%の割合で偶然発見される「副腎偶発腫」。多くは非機能性の腺腫だが、4%くらいに褐色細胞腫がある。また25%は悪性=副腎癌+転移癌である。

3:鼻茸、副鼻腔炎とアスピリン喘息は合併しやすい。

4:ニトロペンで逆流性食道炎が改善し、狭心症と逆流性食道炎の鑑別診断を難しくしていることはよくしられているが、カルシウム拮抗剤(ノルバスクなど)やテオフィリン(ユニコン)は逆流性食道炎の症状を悪化させる。

5:MPOーANCA抗体陽性を呈するのは急速進行性腎炎だけではない。
アレルギー性肉芽腫性血管炎というのがある。多彩な症状を呈する。多発性単神経炎を主体とする神経症状が頻度が70%以上で認められる。その他、関節炎、肺、心臓(冠動脈疾患)、皮膚(発疹)、消化管(潰瘍)、腎症などが起こる。好酸球上昇、IgE↑ リウマチ因子(+) 抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)(+)

6:胸部XPでは認められず、CTでのみ認められる、直径2cm以下の治療予後良好な肺癌(腺癌)として野口分類A型、B型肺癌が注目されている。

7:糖尿病性外眼筋麻痺は、動眼神経、外転神経、滑車神経の順に起こりやすい。
糖尿病性の動眼神経麻痺の場合副交感神経は影響されず瞳孔散大はないことが多い。
上斜筋は滑車神経支配だが、、滑車神経麻痺の場合、頭部を健康側に傾けると、症状(複視)が生じないので、そういう姿勢をとっていることが多い。→頭を傾けて物を見ている人は、傾ける側と反対の滑車神経麻痺を疑え?

8:就職時の健診記録では麻疹抗体陰性で、ワクチンも接種していなかった看護師が「2日前に一緒にいた知人が麻疹を発症した」とあわてて言ってきた。この看護師に対してはどうするか?
麻疹ワクチンはこの時点でも有効であるので接種する。
かつ5日から20日間は、麻疹の感染源になる可能性ありと考えて、麻疹になると困る患者さんから遠ざける勤務制限をしないといけない。

9:原発性肝癌の肝臓移植には、ミラノ基準というのがあって、単発5cm以下、あるいは3個以内各3cm以下が適応ということになっている。私がそれを考える場面がくるだろうか?

10:特発性血小板減少症で副腎皮質ホルモン投与を投与する基準は血小板3万以下ということになっている。

11:発熱があって中心静脈カテーテル先端と静脈血培養で酵母様真菌=Cadida albicans が発見されれば、プロジフ静脈注射を始めるが、カンジダ眼内炎も疑って眼科にコンサルトするのも常識である。

12:原発性胆汁性肝硬変は肝移植が最も効果的な疾患。ヨーロッパは日本の3,4倍の発症率。
手術後5年生存率は70%を超える。
新規発症の無症候例は70%。抗ミトコンドリア抗体が陽性でも陰性でも進行スピードは同じ。
第一選択薬はウルソ。

13:タコツボ型心筋症(心尖部の無収縮が特徴)はすでによく知られる病気になっており、発症直前の精神的ストレスが問診の上で重視されている。→上越地震の際に多発した。

15:膵臓癌疑えば必ずダイナミックCTを。動脈相に続く膵実質層で、正常膵は濃く染まるが癌は染まらない。(門脈相、遅延相が続く)

16:単純ヘルペス脳炎特有の前頭葉下面、側頭葉内側の変化はMRI-FLAIR画像での高信号として描出される。

17:食物依存性(甲殻類やセロリなどの野菜が多い)運動誘発性アナフィラキシーは、食後の運動時に呼吸困難ほかを来たすが、原因となる食事をとったあと2時間運動しないで、念のため運動前にメプチンエアを吸入することで予防できるので、全面的に運動を制限する必要はない。

18:ステロイド長期投与患者に生じる肺炎の原因の中にはノカルジア症もありうる。喀痰で特徴的な線状、グラム陽性の菌を認める。

19:前骨髄性白血病APL(M3)は、骨髄液での検査で、t(15;17)と表現されるように、17番染色体のRAR遺伝子と第15染色体のPML遺伝子の融合体(転座)を全例に確認できる。
DICを生じやすいのは周知のことである。
治療はレチノイン酸で、高い完全寛解率。

20:過敏性腸管症候群に使う漢方薬は3種。
人参湯は薄いつばが出ている人、
六君子湯(りっくんしとう)は腹に振水音がする人、大建中湯は腹がごろごろ動く人に使う。


21:溶血性貧血では、遊離ヘモグロビンとハプトグロビンが結合するので、血清ハプトグロビンは低値になる。

22:WPW症候群は日本人に多い?
ブルガーダはアジア人に多いが。

23:壊死性筋膜炎を生じる劇症型溶血レンサ球菌感染症は致死率30%に達し、全数把握対象の感染症として診断すれば7日以内の届出が求められる。

24:吸入ステロイドはCOPDで、%FEV1.0が50%未満の重症例では推奨されているが、抗ロイコトリエン剤シングレアはCOPDのどの段階でも推奨されていないようである。かわいそうだ。

25:認知症を3種類に分ける(脳血管性認知症は別にして)。
①アルツハイマー型と②レビー小体型と、③前頭葉側頭葉型(ピック)である。
それぞれに現れるBPSD(周辺症状)などの特徴は
①は物盗られなどの被害妄想 
②は幻視、そこに誰かいるような現実感のある幻覚 ③は(記憶は保たれているのに人格は崩壊)である。

26:トリアージの技法の基本の基本。
呼吸数は30回以上か(あるいは10回未満か)、
爪床再充血時間は2秒以内か。
呼吸回数が30回を超えるか、爪床再充血時間が2秒以上かかるかは、赤タッグ=重症と判断する上で重要な判断材料になる。

27:骨髄液でt(9; 22)を認めるのはもちろんCML、治療は グリベック(メシル酸イマチニブ)。

28:タミフルは65歳以上の人と、13歳以上のリスクファクターのある人に予防投与が認められているが、予防投与は保険適応はなく自費である。

29:長期間アルコールだけで生きてきたような人に起こるアルコール性ケトアシドーシスでは、アセト酢酸よりβヒドロキシ酪酸が上昇している。

ところで、代謝性アシドーシスは、アニオンギャップ増加型とアニオンギャップ正常型に分けられる。
*アニオンギャップ=Na-(CL+HCO3) カットオフ値は14。

さらにアニオンギャップ増加型は、ケトン増加型、乳酸増加型、尿毒症型(硫酸、リン酸などの増加)他に分けられる。
ケトン増加型の代表が糖尿病性ケトアシドーシスやアルコール性ケトアシドーシスである。
乳酸アシドーシスは、何らかの好気代謝障害、すなわち低酸素症や、ショックによって生じる。
*乳酸アシドーシスは疾患名ではなく、ある疾患の結果としての現象である。

アニオンギャップ正常型は下痢や、腎尿細管性アシドーシスで見られる。

30:「C型肝炎のインターフェロン治療に際して、間質性肺炎の発症に注意すべき併用薬剤はどれか」という問題で、小柴胡湯とレベトールが並べてある。
小柴胡湯の間質性肺炎は有名である。
だが、だまされてはいけない。
インターフェロンと併用するのはレベトールだけである。インターフェロン自体の最も重要な副作用が間質性肺炎である。
引っ掛けるだけの問題。

31:SLEは日光曝露で悪化する

32:最大の難問。

「血中濃度測定が必要ない抗けいれん剤はどれか
①ガバペン②エクセグラン③デパケン④アレビアチン⑤フェノバール」

実はどれもTDMの対象であり、血中濃度測定が特定薬剤治療管理料を算定できるのである。

ガバペンは2006年に薬価収載された新しい抗けいれん剤である。
このときの薬事食品衛生審議会の議事録を詳細に読んでいて、ようやく答を見つけた。
「米国の添付文書でもこの薬剤の血中濃度についてはモニターする必要がないと明確に記載されている」から、しないでいいことにしようと委員たちが話し合っている。

それでいいのだろうか。

ところでこのガバペンは頑固な神経因性疼痛に有効ということで、緩和ケアの領域でも注目され始めている。保険適応はあるのだろうか?調べてみよう。

2009年

2007年、2008年は新しい知識を問うものが多く勉強になったが、2009年は問題の質が低下したことがはっきりわかる低調なものだった。
そういうなかでも、いちおう覚えておきたいことをメモしてみた。

問題3 重症筋無力症と抗MuSK抗体 

重症筋無力症MGの診断では抗アセチルコリン受容体(AchR)抗体が最も重要である。
しかし抗AchR抗体陰性でも抗MuSK抗体が陽性という群がある。なお誘発筋電図(H
arvey-Masland検査では、繰り返し刺激していると反応が弱くなるという現象が観察さ
れ、waningと呼ばれる。


問題4 活動性のB型慢性肝炎治療:最低限の知識
35歳未満はインターフェロン、35歳以上は核酸アナログ:エンテカビル(商品名 バラクルード)*09.10.7現在 私が投与しているのは1人のみ

問題5 自己免疫性膵炎とIgG4(免疫グロブリンG-4)関連疾患
膵臓がびまん性に主題することが特徴の自己免疫性膵炎が注目されているが、これに腎炎が合併する率が高いことがわかった。そこからIgG4関連疾患という概念が浮上してきた。IgGの中のある部分を作る形質細胞が浸潤する炎症であるらしい。シェーグレン病などとの関連があるのは、膵臓と唾液腺の発生学的な関連によると思われ興味深い。
*IgG4関連疾患は21世紀になって提唱された新しい疾患である。組織学的にはIgG4陽性形質細胞やリンパ球浸潤が涙腺, 唾液腺, 後腹膜, 膵臓, 胆管などで起こり, 臨床的にはMikulicz病, 後腹膜線維症, 自己免疫膵炎, 糖尿病, 原発性硬化性胆管炎類似の胆管病変などを呈する全身性疾患であり, ステロイド治療に対する良好な反応性を認める。その診断基準は確立されておらず, われわれは, ①血清IgG4の高値, ②本疾患に特徴的な臓器の障害(唾液腺,涙腺, 膵臓, 後腹膜), ③組織学的にIgG4陽性形質細胞とリンパ球の浸潤の確認, の3項目のうち2項目以上認めれば, IgG4関連疾患とするという診断基準を提言する。

問題6 輸血後鉄過剰症に注目せよ 
輸血による過剰鉄は肝臓、心臓、内分泌器官に蓄積する。血清フェリチン500ng/ml以上。鉄キレート療法(デフェラシロクス、商品名エクジェイド)で改善する。

         
問題7 冠動脈バイパス手術か経皮的冠動脈形成術(PCI)か

V1からV6までST上昇するような左冠動脈主幹部病変であるならバイパスを選択する。

問題8 アルコール性ケトアシドーシス

アニオンギャップ増大性のアシドーシス。治療は生食とブドウ糖液、ビタミン剤の投与。

問題9 癌によるのではない高カルシウム血症、 腎不全、多尿、口渇強い
おそらく副甲状腺機能亢進症 
治療は まず生食とラシックス

問題10 特定健診で腹囲を測るのは臍の高さ 女性の「ウエスト」とは違う

問題11  HTLV-1によるATL成人T細胞性白血病   
核が花弁状の異常リンパ球=flower cell
肝脾腫は稀でない、皮膚病変は多い、高Ca血症が高頻度に合併=ビスフォスフォネート投与必要、 HTLV-1脊髄症(HAM)は有名だがそう頻度は多くない、HTLV-1キャリアーの生涯発症率0.1%

問題12 妊娠悪阻の高度だった女性のウエルニッケ症候群
MRI T2強調で視床内側、中脳水道、乳頭体に高信号

問題13 MRIの造影法 
Gd-EOB-DTPAを用いる、商品名プリモビスト

問題16 偽膜性腸炎 
クロストリジウム・デフィシレはアルコールで消毒できるか・・・アルコールには抵抗性がある。クロストリジウム・デフィシレは嫌気性G+桿菌
中毒性の巨大結腸症の原因になる

問題17 骨髄腫腎
M蛋白は尿の電気泳動でも検出できる

問題20 大腿からでん部にかけての腫大とAPTTの延長→血友病による筋肉内出血だろう
APTTの延長する病気・・・血友病 抗リン脂質抗体症候群(抗カルジオリピン抗体陽性が特徴)のなかでループスアンチコアグラントが陽性のもの 肝不全、ビタミンK欠乏症

問題21 こういう問題にどういう意味があるのだろう? 出題者の頭の中が見てみたい
疾患と治療薬の組み合わせ GIST・・・グリベック、大腸癌・・・アバスチン・アビタックス、腎癌・・・ネクバサール、肺腺癌・・・イレッサ・タルセバ、膵臓癌・・・ジェムサール

問題24 高プロラクチン血症をきたすもの・・・不可解な乳汁分泌。治療はブロモクリプチン
橋本病(視床下部からTRH分泌増え、プロラクチン産生増加)、視床下部腫瘍(正常であれば視床下部からPIFが分泌されてプロラクチン産生を抑制している。)、前胸部の帯状疱疹←これは意外=帯状疱疹は授乳刺激に似た効果あり、シメチジン内服(プロラクチン分泌誘導)、腎不全

問題25 肺胞蛋白症
Crazy paving patternの胸部CT
血液検査では抗顆粒球単球コロニー刺激因子 (GM-CSF抗体) 陽性になる。
そのために肺胞のサーファクタントが不十分になる

問題26 WPW症候群
頻拍になっている 
QRSが広い(偽VT)→アミサリンを使う
QRSが狭い 順行性のPAT→ベラパミル(ワソラン)

問題27 NSAIDsは小腸、大腸にびらんや輪状潰瘍を起こす
・・・最近そういう症例を経験した

問題28 僧帽弁逸脱症
女性≧男性 2倍以上
ベータブロッカーは不整脈には効果あり
全感染性心内膜炎の原因の1/3を占める
開放骨折など外科処置の際には十分な抗菌薬投与が必要

問題30 CKDの基準  GFR 60ml/分/1.73㎡ 未満

問題35 めまい
激しいめまいが24時間以上続くのは、メニエル病ではなく前庭神経炎

問題41 乾癬性関節炎
RAは陰性 皮膚症状が先行、強直性脊椎炎との鑑別重要、治療はメトトキセレートや生物学的製剤

問題46 認知症の問題行動に有効な漢方薬は? 抑肝散

問題47HHV-6(突発性発疹の原因ウイルス)の再活性化による、皮疹と伝染性単核球症様症状=DIHS を起こしやすい薬剤は?
抗けいれん剤やアロプリノール

問題48 アジソン病(副腎皮質機能低下)は抜歯などの刺激でクリーゼに陥り、意識低下などが起こる。
その時の身体的特徴は?
全身の皮膚が黒い、口腔内に色素沈着、腋毛・恥毛の脱落 
Kの上昇。
2010年
1:大規模災害時のトリアージのSTARTの知識を問うもの。
呼吸数30回/分以上、撓骨動脈で脈拍120/分以上、爪床再充血時間2秒以上、簡単な命令に応えられないは赤色(緊急治療)、歩けないは黄色を覚えておくとよい。

高齢女性で呼吸数36回は、黄色ではなく赤色である。

2:下垂体卒中の知識を問うもの。下垂体卒中とは脳下垂体の腫瘍内に出血をするもので、雷鳴頭痛、視力障害を来し、緊急手術が必要なものである。

3:貧血の治療に関する知識。

*輸血の感染症検査は前後で行うものと知っていた?
*巨赤芽球性貧血で、葉酸投与を先行させると神経症状の悪化を生じうる。
*鉄欠乏性貧血の治療の鉄剤投与終了の目安は、血清鉄で見るのではありません。フェリチン正常化まで鉄剤を処方すること。
*自己免疫性溶血性貧血の初期治療は輸血ではなく副腎皮質ホルモンです。

*再生不良性貧血に、最近ATG 抗ヒト胸腺細胞グロブン(マウスにヒト胸腺細胞を投与してできたグロブリンを薬にしたというなんだか怖い薬。なぜ効くかはよく分かっていない)を使うが、その効果発現は、1週間以内などでなく、3カ月もかかる。その間ずっと副作用対策を続けるのだ。いや、僕らに関係がある話ではないね。

4:健康診断で発見された中部食道の限局する早期食道癌についての質問

Barret食道との関連は? Barret食道は食道ー胃接合部から上行してくるもので中部にはまず及ばない。
そのほか、食道癌部位はヨード染色で染まるか、早期癌の時の固有筋層への影響の有無は、組織は腺癌かどうかという、極めてやさしい問題。

正解は、生活習慣と関係がある、という話である。

5:23歳女性の発症まもない関節リウマチ(抗CCP抗体39.7 標準4.5未満)の治療の話。

多数の関節に症状がある。妊娠希望なし。

妊娠希望ないときはMTXは禁忌ではない。
副腎皮質ホルモンやNSAIDsだけで1年間経過をみるという治療はいまでは許されない。
まずMTXの使用だ(MTXは関節リウマチのアンカー薬anchor drugとされているが、このときのアンカーは駅伝とは違って、まず最初に使う=リウマチ治療の碇anchor を降ろす という意味である)。

問題はMTXでは炎症や症状は抑えられても、骨の破壊はレミケード、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラの4種類の抗TNFや抗ILー6の生物学的製剤を使わないと防止できないということである。

では、どういうときに生物学的製剤を併用し始めるか。

MTXが無効、という時ではない。たとえ有効であって活動制御不十分で骨破壊進行の危険ある時は生物学的製剤を使用しないといけない。

制御不十分の指標は、MTXを3か月以上投与しても、圧痛がある関節が6個以上、腫れている関節が6個以上、かつCRP 2mg/dl以上という3条件を満たすことである。

設問はこの3条件が全部は書いていないのだが、多数の関節の症状があるということは問題に書きこまれているので、持続していると考え、CRP2.0以上で生物学的製剤を併用する、を正解とする。

6:2型糖尿病患者で、最大の冠動脈疾患危険因子は何か、という問題。
これは盲点を突く良問である。

喫煙、高血圧、高血糖、高LDL-C,低HDL-Cのどれが一番危険か?

糖尿病だから高血糖だろうと考えては駄目。高LDL-Cなのである。糖尿病だからと言って、血糖だけ治療しておしまいではないという話である。

ちなみに、2型糖尿病患者の脳血管障害の最大の危険因子は高血圧である。

糖尿病患者を見たら、血糖は後回しで、とりあえずイミダプリル(私は頑固なACEI派なのだ)とリピトールを処方しておけばよい、と覚えよう。いや、単なる記憶法として、だね。 

7:もともと陳旧性心筋梗塞で、抗不整脈剤を服用し、また夜間せん妄や胃潰瘍もある女性が急性腎盂腎炎で入院している最中に起こった反復性の失神。

心電図を見るとQTが延長しており、突如振幅が一定しない心室頻拍が起こっている。

後天性・薬剤性のQT延長症候群にともなうトルサデポアン Tordsades de pointes型の心室頻拍である。

原因薬剤としては、H2ブロッカー(たとえばガモファー)、抗不整脈剤(たとえばアミオダロン)、向精神薬(たとえばセレネースやコントミン)、LVFX(クラビット)などのニューキノロンが有名。

上記のような病歴なので該当する薬剤を持参していた。それらは中止するほかない。

ところで持参薬の中にβブロッカー(たとえばインデラル)があった。
これはどうするか?

βブロッカー(たとえばインデラル)はむしろ、QT延長症候群にともなうトルサデポアン Tordsades de pointes型の心室頻拍の治療薬である。

したがって、上記の患者の持参薬を中止するとき、インデラルを中止するというのは賢くないということになる。そういう問題である。
難しいね。

8:原発性アルドステロン症について大事な知識とそうでもない知識の組み合わせ問題。

52歳中年女性。高血圧で受診し、漢方薬などのKを下げる薬は服用していないのに、K3.2と低め。
そこで随時に血漿アルドステロンと血漿レニン活性を測ると、それぞれ72(基準50-200)、0.4(基準0.6-4.0)だった。CTでは左副腎に腫大が明らか。

原発性アルドスロン症は実はとても多い。高血圧の10%を占めるかとも言われている。

その診断のとっかかりは、低Kと、血漿アルドステロン比/血漿レニン活性である。
これが20を超えると原発性アルドステロン症疑いだが、本例では72/0.4=180にもなる。 (単位が分子、分母で違いpg/ngだったら200以上で原発性アルドステロン症疑い)

これで確実だが、次にする検査は何かというのがこの問題で、結局はシンチグラフィなのだが、131IMIBGシンチと、131Iアルドステロールシンチのどちらかという問題。

名前から言って、正解は131Iアルドステロールシンチだが、では131IMIBGシンチは何の検査?

褐色細胞腫、同じ副腎でも髄質の腫瘍を発見する検査である。異所性褐色細胞腫 を発見するには都合がいいのだが、シンチなんてできる環境にない私たちにとって、後半は愚問である。

血漿アルドステロン比/血漿レニン活性:これが20を超えると原発性アルドステロン症疑い を覚えておこう!!

9:どの薬が間質性肺炎の原因薬剤ではないかというひっかけ問題。

小柴胡湯、アミオダロン(抗不整脈剤)、ゲフィニチブ(抗癌剤)、メトトレキサート(抗リウマチ剤)という有名な間質性肺炎惹起薬剤に混じって、シクロスポリンが入っている。

シクロスポリンは間質性肺炎の治療薬である。これが正解。

10:これは若干難しい。間違えているかもしれない。

7年前から気管支喘息と言われている44歳の女性が夜間の咳と喘鳴で受診、長時間作用ベータ2刺激薬+ステロイドの合剤吸入でも改善しない。聴診では両側にわずかな喘鳴。白血球11700で、好酸球が30%。CRPは陰性。IgEも645と上昇。RAST-IgEではスギとかダニなど陽性。

このとき、CT像はどんなものを予想するか、というのが問題。なかなか意表を突くね。CTが一応読めないといけない。私なりに読むと。①そう広くないすりガラス状陰影 ②ほぼ正常 ③空洞のあるconsolidation
④腫瘍 ⑤蜂巣肺 である。どれが正しいか。

①は好酸球性肺炎、②は喘息、③は細菌性肺炎、④は肺がん、⑤は肺線維症。

①か②だな。

喘息治療が効果なかったのだから②ではなく①、すりガラス状陰影を所見とする好酸球性肺炎、治療は副腎皮質ホルモンの内服ぐらいだろうか。

11:34歳の女性のS状結腸の分節性の出血性腸炎

クレブシエラ・オキシトカが原因の抗生剤起因性出血性腸炎はより深部に起こりやすい
若年に多い潰瘍性大腸炎は直腸から連続する

ということから虚血性腸炎である。34歳という年齢は一般的ではないが、ありうることを知っておかなければならない。

治療は、絶食と補液だけである。抗生剤を投与しないように!!

12:貧血、血小板減少、白血球3万程度の増加できた67歳女性。

末梢血にはほぼ均一な白血球の芽球が認められる。

これは急性骨髄性白血病である。

慢性骨髄性白血病なら、もっと白血球が多いだろうし、白血球も多様性を保っているはず。

したがって、次にする検査は、末梢血BCR-ABL遺伝子検査ではなく、普通に骨髄穿刺である。

13:ジャヌビアなどのDPPー4阻害薬の使い方がもう問題になっている。

インスリン分泌を増加させるか、どうかという質問。そうでなかったら価値はない。

チアゾリジン系薬(アクトスなど・・・私は使わないが)やSU剤と併用するかどうかという質問。併用する。まずそれらを使ってからということになっている。それは変なのだが。

腎機能低下患者では減量が必要かどうかという質問。これが最も重要。腎排泄だから当然。Crが女性で1.3、男性で1.5超えれば、半量に。

単独投与では低血糖がないかどうか。頻度は少ないだろうがある。

もう問題にしてしまうのか。そんなに急速に普及しているのか、という印象。
まぁ焦ることはない。ぼちぼちと。

14:22歳女性の急速に進行する腎不全、視力障害、貧血、血小板減少。尿蛋白3+、尿潜血3+。眼底は軟性白斑と出血。咳が夜間に強い。

こう言う問題は本当に苦手だ。ともあれ難治性血管炎だ。喀血などあればChurg Strauss症候群も疑うところだが、おそらく顕微鏡的多発血管炎。

治療はよく分からないが、ともあれステロイドパルス。膠原病ではないので血漿交換ではないだろう。もやもや。

15:パスツレラ感染症の知識を問う問題。

ネコに100%、イヌに75%いるこの菌は従来咬創感染が主流と考えられていたが、最近は60%が呼吸器感染である。

実は10年位前、若い人の重症の扁桃炎入院で、この菌を検出して驚いたことがある。室内で飼っているイヌに鼻をなめさせている君はいつ何時、パスツレラ感染症になるかもしれないし、その鼻で私に近づかないように。

16:インフルエンザに効く漢方薬。

真央党ですか。いや麻黄湯。ほかにもっと有効なものとして魔王湯(割り)もあるが、貧乏な私には関係ない話。

ところでアルツハイマーに効くのは抑肝散。

これらの話はどれだけ信頼できるのだろうか。

17:インフルエンザ迅速診断キットの感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を問う話。

Sppin、Snnout スッピンスナウト。「陽性なら確かだが、陰性ではあてにならないよ」は「特異度は高いけど、感度は低い」と話して、君は初めて「医師」らしく見える。患者さんには通じないので馬鹿らしい話だ。

18:末梢性顔面神経で見られるまつげ(睫毛)徴候を説明しなさい。

急に言われると虚を突かれる。目の閉じ方が不十分なのでまつげが目立つというだけの話。

19:気管支拡張症からの大量出血には気管支動脈造影と気管支動脈塞栓術

20:同じ水道の水を飲む人たちから下痢、嘔吐、発熱あって、水道水の遊離残留塩素濃度基準以上なら、クリプトスポリジウム感染を考える。クリプトスポリジウムは塩素では消毒できないからである。

24:ニューモシスチス肺炎のCT像とβDグルカン検査の意義を問う問題

25:新たな概念 急性腎障害 AKIの知識を問う問題。以前までは急性腎不全ARFと言っていたが最近は急性腎障害AKIという考え方になっている。Crの上昇と尿量の低下について基準があり、それを満たすようであれば腎後性→腎前性→腎性の順に原因を検討していくというものである。

26:ピック病のCT検査所見の特徴を問うもの

27:気管支喘息に適応のある分子標的薬は何か? 

言わずと知れたゾレア(=オマリズマブ、ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体)だが、もう問題になっているのかという感想は、ジャヌビアに同じ。

31:無症状の抗リン脂質抗体症候群をどうフォローするという難しい問題。*APTTは延長するが、症状は習慣性流産や下肢の深部静脈血栓だという病気ですな。

一過性のこともあるから抗カルジオリピンーβ2-グリコプロテインⅠ複合抗体(抗CL-b2-GPⅠ抗体)を6ヶ月後測定というのが正解だろう。

32:ALSに関する問題

ALSは末梢神経伝導速度の検査では、伝導速度には変化なく、運動神経の活動電位が低下するのみ。筋電図では高電位になる。またバビンスキ徴候が両側陽性というのは、上位ニューロン障害を表す。四肢の筋委縮は下肢優位である。

33:成人の急性B型肝炎のうち、欧米人から感染する遺伝子型Aのものは10%が慢性化する。日本人同士で感染する遺伝子型B,Cは慢性化しないのだけど。

34:肺線維症の治療薬。

そんなもんがあるかなどと言ってはいけない。 ピレスバ(ピルフェニドン)という内服薬があるのである。

投与した人の半数に光線過敏症が起こる。相当使いにくそうだ。

なぜ、こんなに新薬の知識を次々聞いてくるのだろうか。

36:MRSAの院内感染予防法の問題。

病室入口の粘着マットは有効?

*以下の対策は必要ない
履き変え
入口の粘着マット
足下の噴霧消毒
マスク(排菌量が多いと思われるときは着用してもよい)
病室の噴霧消毒・ホルマリン燻蒸
ガウンロッカーの消毒
オゾン消毒


38:クロイツフェルトーヤコブ病のMR像を聞く問題

核酸強調画像で、皮質の拡散障害が白く見えるのが特徴である。

39:大動脈弁閉鎖不全の手術適応

大動脈起始部55mm、左室収縮期径55mm以上は手術適応

40:子どものころから反復している甲状腺左側の炎症を、亜急性甲状腺炎と診断してステロイドを与えて悪くしたという話。

これは下咽頭から甲状腺左葉に走るろう孔があるという小奇形によるもので、急性化膿性甲状腺炎なのである。

左側の側頚部が腫れて痛くて熱があるという人が、子どものころにも同じ症状があったというと、これをすぐ思いつかないといけない。

左側だよ。

41:真性多血症

最近は「JAK2変異の遺伝子解析」というものがあることを聞いてくる。

42:タミフル耐性問題

昨年の冬、日本では季節性のインフルエンザ(H3N2など)の耐性が話題になったが、世界的には、特にヨーロッパで新型インフルエンザH1N1での耐性が大問題になっていた。

国内と世界の趨勢の違いを問う良問。

46;アニオンギャップを計算する問題

Na136 Cl113 HCO3-11 ではアニオンギャップ12とまったく正常(10~14)。にも関わらずPH7.28とアシドーシス。

アニオンギャップ正常のアシドーシスの代表は、下痢と尿細管性アシドーシス。後者はアルドステロン阻害によることが最も多く、有名な近位尿細管性アシドーシスは稀。

47:食物アレルギーの常識を問う問題、しかし、これは自信なし。

24歳の女性が食後1時間して口や目のまわりの血管性浮腫、つまりクインケ浮腫を来して、さらに呼吸困難(喉頭浮腫)も生じたということだが、その際に原因食物の推定ができるだろうか?という話。

鶏卵と牛乳は子供のアレルギー、24歳の成人女性には起こらないだろう。

魚卵、ピーナッツは即時性、食後1時間経てということにはならない。?

甲殻類は食後1時間で起こることありそうだ。

48:ダニはじめ節足動物が媒介する感染には以下のようなものがある。

Q熱、ライム病、日本紅斑熱、ツツガムシ病、発疹チフス。

しかし、この中で、人間への感染様式で、一つだけ違うものがある、それは何か?

良問である。答えはQ熱。ダニから感染した牛や羊、ペットの、乳、肉、尿(これは商品にはなっていないが)から人間は感染するのである。

原因不明の発熱(これがQ熱という意味なのだが)頭痛、筋肉痛、肺炎などはQ熱も疑ってみること。

以前、岐阜民医連会長の笹谷医師がQ熱で死亡したとき、ゴルフも山歩きもしない人なのにどこでダニに刺されたのだろうとみんな言い合っていたが、それは知識不足だったようだ。ジンギスカンのバーベキュー(BBQ)からでもQ熱になるのである。

BBQからQ、と記憶してもらおう。

49:心筋梗塞後に、無症状ながら吸気時に血圧低下し、頸静脈怒張するという現象を認めたら何を考えるか、という非常識な問題。

心室瘤が生じていると考えるのだろうが、それはエコーや心電図で分かるのだからね。

50:ループス腎炎もあるSLEに伴って、血小板が0.9万になって、歯肉から出血して、今は止まっているとき何をするか。

今、どんどん出血しているなら血小板輸血。そうでないならプレドニン、と思ったが、「ループス腎炎に伴う血小板減少を血漿交換で治療した」という学会報告もあって混乱した。

したがって、これは正解不明。
2011年
1:トリアージの問題
A心筋梗塞らしく冷汗を浮かべている48歳の男性、B 歩いてやってきたが、前額の裂創で活動性の出血のある58歳男性、C 来る途中で救急救命士が気管内挿管しても呼吸停止のままの意識のない71歳の女性が同時に来たとき、どういう順番で診察するか?

START(simple tiage and rapid treatment)法なら、心筋梗塞→外傷→意識なし+呼吸なしなのだが、実際には
どうだろう。

まず、Cの人の死亡確認をして体表面から不審な点のあるなしをざっとみたあと、Aの人に鎮痛+酸素投与+検査指示をし、Bの人には自分でしばらく創口を押さえておけというだろう。

正解はわからない。
⇒ここは 救急室のトリアージと災害現場のトリアージが違うことを理解していなかった。救急室では、すべての患者に最良の医療を保障するための順位付けが必要である。
呼吸停止している人から診察するのが当たり前で、C-A-Bの順になる。

2慢性骨髄性白血病の慢性期の特徴を問う問題

貧血は末期にしか現れない。
芽球は急性転化しないと現われない。
好塩基球増加は特徴的。
血清ビタミンB12は減少するのでなく増加するのが特徴。
好中球アルカリフォスファターゼ活性NAPは、他の骨髄増殖性疾患とは逆に低下する。

好塩基球増加が特徴的というのを知らなかったので調べないと答えられなかったが、はたしてこの知識は総合医に必要か?不思議な好塩基球の増加を見たらCMLを疑うのだろうか。白血球増加の方ですぐにわかるだろう。

3:癌終末期の呼吸困難緩和に関する問題

酸素投与はそれで自覚症状が改善するなら実施するが、呼吸困難感があれば必ずするというものではない。
抗不安薬は呼吸抑制の危険のため禁忌だ、ではない。適当に使う。
モルヒネは鎮痛以外は禁忌だ、ではなく、呼吸困難を軽くすることがある。
呼吸困難感よりも動脈血ガス結果を優先して治療方法を考える医者はいない。
輸液は少なめ、多くて1000ml以下にする、これは正しい。

4:重症筋無力症に関する出題はこれまでも多い。

アセチルコリン受容体自己抗体の感受性は85%におよび、全身型では特異度98%だから、全身型の自覚症状があって、これを検査して陽性ならほぼ間違いなく診断がつく。しかし眼筋型では感受性50%程度である。

筋電図で見られるのはwaxingでなくwaning。(wax:かっと怒る、wane:
減衰する)

テンシロンテストは副交感神経刺激の副作用あり。対策に硫アトを準備しておく。

治療で速効性があるのは抗コリンエステラーゼ剤。副腎皮質ホルモンと胸腺摘出が原因に対する治療。

胸腺を摘出すると、アセチルコリン受容体抗体を作るように指示を出しているT細胞が消えてしまうことを狙っている。全身型型のみ。眼筋型にはしない。

5:漢方薬の効能の知識問題も毎回ある。

麻黄湯―インフルエンザ、真武湯―めまいとむくみ、小柴胡湯―慢性肝炎、小青竜湯―アレルギー性鼻炎、小建中湯ーおねしょなどを知っておくべきか。

今回は小青竜湯が正解だった。

6:無症状の胃の粘膜下腫瘍、GIST疑いの治療適応を聞く問題

胃の粘膜下腫瘍診療のガイドライン
⇒正解は30mm以上は外科手術。50mmではないmのか・・・。


7:気管支喘息の長期管理に関する問題。
抗IgE抗体 (商品名ゾレア)の使用対象や、アドエアのように長時間作用β2刺激剤と副腎皮質ステロイドを併用する必要性、ロイコトリエン受容体拮抗剤シングレア(高い!)が喘息とアレルギー性鼻炎の双方に効果があることの強調など、製薬メーカーよりの知識を意図的に印象づける手段に、この問題集がなっていることを感じさせる。

8:中枢性尿崩症 Diabetes insipidus DIに関する問題
抗利尿ホルモンは視床下部で合成され、下垂体後葉から分泌される。
DIの60%が、脳腫瘍等から生じる続発性。40%が腫瘍の見当たらない特発性。1%だけ家族性がある。

副腎不全が合併すると尿量はどうなるかというのが少し難しい。副腎不全だと腎でのNa再吸収が低下するから、尿量はさらに増えると思われるが、実は仮面尿崩症という言葉があるように、尿量は減るというのが正しい。

もう一つ間違えやすいのは下垂体腺腫はDIの原因にはならず、頭蓋咽頭腫の方が多いこと。

9:83歳の女性が孫とけんかして肘関節を脱臼するほど引きずられた(難という孫だ!)。整形外科で治療する時、全身チェックの心電図胸部誘導のV2-V6でで巨大陰性T波が新たに発生していることがわかった。胸痛、呼吸困難はない。

これはいわずとしれた「たこつぼ心筋症」である。中越地震の時多発して問題となった。今回の震災で相当発生しているはずだが、医療機関が軒並みダウンしたので指摘する人があまりいない。

10:34歳女性の高血圧の話。

今年も原発性アルドステロン症、それは外来で見る高血圧の10%に及ぶかもしれないので、見逃さないように、という問題が出ている。よほど、重大なことと思われているらしい。

ARRが(単位がpg/ngであれば)200以上は疑い濃い。カプトプリル負荷試験でアルドステロン分泌を抑えても200を超えていればなおさらである、という話。CTでは片側の腺腫か、両側の過形成かを判定しないといけない。

なおLiddle症候群という遠位尿細管障害はNa再吸収とK排泄が過剰になり原発性アルドステロン症に似た検査結果を呈する。

11:慢性腎不全、いまでは慢性腎臓病CKDというが、に関する問題。

Crが3を超えていればARBは禁忌だというだけの問題である。こんなことも注意してあげなければいけない医者が多いということだろう。
⇒正解は今後の治療について透析などの説明をすること
http://www.gist.jp/guideline/01.htmlがあり、これによると50mm以下で、超音波内視鏡やCTで悪性を強く疑わせることが無ければ経過観察となっている。大きさのみで言うと手術適応は51mm以上のものである。

なお、超音波内視鏡の基礎知識も必要である。胃壁に5層構造があり、その第4層=固有筋層に連続して腫瘍があることがGISTの診断につながる。

12と13:
24歳の女性がスパゲッティを食べた直後に運動したらアナフィラキシ―ショックがおこって、顔がパンパンになってしまった。

アナフィラキシ―ショックがおこらなくてもそういう人がいるというのは不謹慎極まりない発言である。

これも言わずと知れた「食物依存性運動誘発アナフィラキシ―」だ。
当院でこれを最初に経験したのは馬場医師で、ずいぶん興奮しながら話していたことを思い出す。

対策は、原因食物(小麦であることが多い)摂取後、2時間は運動しないことに尽きる。

14:67歳女性が罹患した膠原病 多発性筋炎/皮膚筋炎 PM/DM の話。

ASTやCKが上昇する。とくにCKはすごく高くなる。自己抗体は抗Jo-1抗体陽性が特異的。瞼には有名なヘリオトロープ疹が認められるはず。このあたりは常識だが。

PM/DMで問題になるのは、間質性肺炎が合併しやすく、合併したら急速に進行して予後が悪いという特徴である。

その時、KL-6は高くなるか?高くなる。

もし肺生検ができたら、それは普通に見られる肺線維症UIPだろうか?否、NSIPかOP(器質性肺炎)である。・・・といってもNSは非特異的という意味で、あまり診断の助けになる話ではない。

ピルフェニドン(商品名ピレスバ)が利くだろうか?これは悩ましい。使いたいところだが、保険上の適応は「特発性肺線維症」であって、膠原病に続発する肺線維症にはいものところ使えない。

15:糖尿病患者に尿蛋白が初めて出現。そのときあなたが腎生検が必要だと思うときはどんな時?

まさか全員にそう考えるはずはない。増殖性網膜症合併も関係なし。尿沈渣で顆粒円柱が多数現れているときは、活動性糸球体疾患が疑われるので腎生検をしておく必要がある。

16:真性多血症の問題も昨年に続いて出題されている。

真性と続発性を一発で見分ける検査は、もちろん2005年に発見されたJak2遺伝子変異である。真性のほぼ100%にこの異常があり、2008年のWHO診断基準では大項目とされた。

何度も何度も出題してくるのは、よほどこれが大発見だと思っているからなのだろう。


17:ダニが媒介する病気も連続して出題されている。

昨年はQ熱だった。Q熱はダニが媒介して感染した哺乳動物を人間が食用にすることから感染するのだった。

今年はもっとシンプルにツツガムシ病で見られない症状を問うている。ツツガムシダニに寄生するリケッチア疾患である。刺し口や発疹、発熱、頭痛は有名だが、呼吸器症状はない。

18:WPW症候群も毎年のように出題される。

心電図でWPWを診断するのはそう難しくはないが、WPWで起こる心房細動は(PSVTとは違って)心室細動に移行して死亡することがありうるというのが重要である。

そこで日常的にWPW心電図を呈している人が頻回に心房細動を生じるようになったら、カテーテルアブレーションをすべきなのである。薬物治療で漫然と治療していたら、ある日患者さんは死亡しているかもしれない。

しかし、患者側から見るとその治療効果は不十分だという語りをネットで見ることができる。参考になる。

19:レジオネラ肺炎について

かなり特殊な病像を持つ肺炎である。意識障害や横紋筋融解を生じやすいので怖い。尿中レジオネラ抗原は感度50%くらいだが、特異度は97%なので、陰性のときは信頼できないが、陽性だったら間違いない。胸部X線では罹患肺葉の容積増大が特徴とされる。

20:研究の各タイプのエビデンスレベルを問う問題。

一例報告よりケースコントロール研究、それより後ろ向きコホート研究、それよりも前向きコホート、それよりダブルブラインドのランダム化比較試験が根拠として信頼できるというのは常識。どういうつもりの出題なのだろうか。やはり高齢医師の再教育が目的なのだろう。

21:膜性腎症についての問題。

膜性腎症は成人ネフローゼの3割から8割を占める重要な疾患である。基底膜上皮の下に免疫複合体が沈着する。

40歳以上の男性に多く、ゆっくり進行し、肉眼的血尿などはない。(血尿が目立つのは若い人のIgA腎症である)

副腎皮質ホルモンは単独では効果がないのが普通。

そんなことより重要なことは5-20%に悪性腫瘍が合併し、言ってみれば腫瘍随伴症候群としての要素があることだ。

成人のネフローゼを見たら、根拠もなく微小変化型などと決めつけず、癌の検索をすべきである。

僕の経験でも、他院から「しばらく観察していたが微小変化型のネフローゼが改善しない」と紹介されて、入院後あっという間に悪化して亡くなった人がいた。どこかに癌があったが、もはや検査できない状態だったのだろうと考えた。

22:C型慢性肝炎のペグインターフェロン治療。

副作用が多いが、ちゃんと時期を分けて覚えておくことが必要。
2週間目までの初期には インフルエンザ様症状、これは常識。
3カ月くらいまではうつ状態や視力障害、これも常識。
3か月以降の後期では、間質性肺炎や脱毛。これが一番怖い。いや、脱毛でなく、間質性肺炎のこと。また甲状腺機能異常や糖尿病の悪化もこのころから。これも常識ではある。

23:SLEも毎回出題される。

SLEの診断検査中、もっとも特異度が高い検査は何か?

抗核抗体ではない。抗dsDNA抗体である、ではそのdsとは何か。

double strand すなわち二重鎖である。感度は50%そこそこだが、特異度は97%である。

24:白血病、特に前骨髄性白血病も毎回出題される。

僕が実際に診察することはほとんどないのだが、トロンボプラスチン様物質を多く含んでいる前骨髄球が腫瘍化するので激烈なDICを起こすこと、骨髄像で多数のAuer小体が見えるということ、それから他の急性骨髄性白血病とは全く違う安全な治療法が開発されて急性骨髄性白血病の中では格段に治しやすくなっている、というすごい特徴を備えているので、どうしても出題してやろうという気になるのらしい。

さて、その治療法だが、全トランス型レチノイン酸の投与である。

25:珍しくサルコイドーシスの話。

BHLがあって自覚症状がなければ、経過観察だというだけの話。

僕の乏しい経験では小野田で一例だけ、BHLからびまん性の粒状影までになった人の経過を長く追ったことがある。その人も結局は経過観察だけでそのうち正常になった。

自然に治る慢性感染症という趣だった。

26:悪性リンパ腫、CHOPとリツキシマブ(抗CD20抗体)で治療し完全寛解して3カ月の人が、インフルエンザワクチンを打ちたいと言ってきた。
そのときあなたはどう答えるか。

実はこれは相当難しい。公式的には、6カ月までは「接種しても抗体産生されないかもしれません」、6か月過ぎれば「ハイリスクグループなので、ぜひ打ちなさい」ということになっている。

27:ワレンベルグ症候群の話。

これは新しいお話である。これまでは椎骨動脈の枝である後下小脳動脈のさらに分岐した枝の閉塞によって起こるとされていた。

ところが最近、そうではなく椎骨動脈から直接延髄外側部を支配する枝が出ており、症状は椎骨動脈自体の閉塞で生じていると分かったのである。

MRI FRAIR画像で延髄外側の高信号と、ひょっとしたらその近くにある椎骨動脈の閉塞を捉えることができるかもしれない。

したがって、ワレンベルグ症候群の原因となる閉塞は、同側の椎骨動脈に生じているというのが正解なのである


28:糖尿病の診断に関すること

5月に日本医事新報の「臨床医学の展望」をまとめたとき、以下のように書いた。

2010年7月1日の診断基準改訂・・・血糖値とHbA1Cを同日測定し、両者とも糖尿病型(=異常値)なら、その日のうちに糖尿病と診断してよい、となった。

すなわちA1C6.1、空腹時血糖126以上(または食後血糖200以上)なら、である。

同日検査でこの数値が当てはまらないなら、別の日にもう一回検査しないといけない 。
それは、たとえばA1C 6.3 1カ月後6.5でもいいわけである。

⇒そう考えていたら、厳密にはそうではなかった。A1Cに限っては、日時を変えてもA1Cだけでは診断しないことになっていた。

とても機械的。どういう頭なのか開けて覗いてみたい気がする。小さい石ころが入っていたりして。

29:アスペルギローマについて。簡単。

原因菌はAspergills flavusなど。 フレーバスと発音するらしい。

30:胃食道逆流症

内視鏡所見と自覚症状必ずしも一致しない。

胃切除後の場合、ナファタットの経口薬とも言うべきカモステート錠が効く。

31:ジャヌビアなどDPP-4阻害薬とSU剤の併用で、重症の低血糖が多発している。

それを起こしてしまった時どうするか。

SU剤を減量する。アマリール1mg錠なら2錠まで、ダオニールなら1.25mg 1錠までしか使ってはならぬ。

32:誤嚥性肺炎の問題も出ている。

胸部X線写真で異常なくても嚥下性肺疾患否定できない。

イミダプリルなどACEIは嚥下機能の改善に有効である。

33:心筋梗塞の経過中RーR3秒以上、そのときふらつきあり、という洞不全症候群を生じた人。
この人が頻脈性の発作性心房細動が以前からあって、それにはベータブロッカーが効果があり、いまのところ心不全を生じていないとすればどうすればいいか、というなかなか考えさせる問題。

ベータブロッカーを中止するのはまずい。継続しながら心臓ペースメーカーを植え込むということにしよう。

34:MGUS monoclonalgammmopathy of undetermined significance
何のことかよく分からないが、むかし良性M蛋白血症と呼ばれていたもの。

こう考えるなら経過観察しかない。

35:糖尿病の治療について考えよう。

高血圧は糖尿病網膜症の危険因子である、当然。

血糖コントロールは歯周病治療で改善する、当然。

抗血小板薬は、糖尿病患者の大血管症の一次予防に有効である・・・???そんな調査あったか?2次、3次予防に欠かせないのは当然だが。探してみると65歳以上に有効だったという報告あり。どうかなぁ。

糖尿病患者は血圧130/80以上なら降圧剤投与開始する・・・いきなり??それはない。3か月は生活指導を試みるべき。

ACEIは腎症進行を抑制する、当然。

36:COPDの話

息苦しくてタバコがもう吸えないと言っている人に、禁煙教育はしない。

この問題は駄目。

37:53歳の女性が健康診断で血小板が3万へと著明に減少しているのを指摘された。

まずPAIgG=血小板関連IgGを測ってみよう→高い。

ならば特発性血小板減少症だ。

次の一手はヘリコバクタ―・ピロリ抗体検査。
これが陽性なら除菌してみると、相当改善が期待できる。


38:C5-6の頸髄症。

どんな症状が現れるか。

手骨間筋委縮・・・必ず現れるわけではないがありうる。

上肢腱反射・・・消失する。

下肢腱反射・・・亢進するため、歩きにくくなるくらい。

バビンスキー徴候・・・陽性になる。

膀胱直腸障害・・・当然起こる。

39:38歳のSLEの女性が突然腰痛。

CTでは腎梗塞だった!なぜ?

おそらくSLEに合併する抗リン脂質抗体症候群。Ⅸ-X―Ⅱという内因系の凝固障害著明(APTT ↑↑)だが起こるのは血栓。

次の一手はループスアンチコアグラントの検査。
   *2007年の問題を振り返る
    ①SLEの患者に抗リン脂質抗体症候群が合併することは多い。このときAPTTが延長して出血傾向を生じるが、同時に血栓が多発して、一過性黒内障や深部静脈血栓も生じやすい。

40:鳥インフルエンザのなかで、高病原性なのは?

A/H9N1とA/H5N1

そのうちヒトにも感染するのは?
H5N1。

41:著明な高血圧と腹部血管雑音あり。すなわち腎血管性高血圧に関する問題。
これを疑ったときどういう検査をするか?
腎生検はしない。腎動脈造影はよほど慎重にやらないといけない。
MRアンギオか腎超音波検査(当然ドップラー含む)かが問題。

簡便さから言って腎超音波検査だろう。

ところで、問題に出てくるMIBGシンチは?
なぜここに出てくるか不思議である。
というのは
2007年⑩「MIBGという物質はノルエピネフリンに類似しており、通常は心臓の筋肉の交感神経末梢に取り込まれる。これをシンチグラフィで検出できる=MIBG心筋シンチ。しかし、これが低下してくると、高度の心交感神経機能異常が疑われ、その場合、Lewy小体型認知症の可能性が高くなる。心臓の検査をして、認知症を診断するという話である」
というのが常識だからである。

しかし、次のような記事もあった。
「≪腎門部異所性褐色細胞腫による腎血管性高血圧症例≫
 腫瘤の性状および大動脈に沿って存在することから、異所性褐色細胞腫を疑いMIBGシンチを施行し、術前診断をより確実なものとすることができた。
 異所性褐色細胞腫はMIBGシンチで確診に至ることが可能である。」
関係なくはないのが分かる。


42:一目みてクッシング症候群と分かる62歳の男性が全身倦怠感で受診。ACTHも血清コルチゾール低い時はどう考えるか?

薬剤性のクッシング症候群である。

病歴を見ると「3年間蕁麻疹で皮膚科通院中とある」ここで副腎皮質ホルモンを処方されていたのだろう。

それよりも、今、副腎不全の予備状態になっているのが怖い。
服薬中断などで、突如として倦怠感や疲労感、脱力感、食欲低下、嘔吐、悪心、下痢といった症状を呈し、すぐに治療を行わないと、血圧低下、血糖低下、発熱、脱水症状、さらには意識障害からショック、呼吸困難などを示し、致命的な状態を招く。
(副腎不全の経験・・・最近私が主治医となった全下垂体機能不全⇒副腎不全の人は、下痢で入院して間もなく、Naが106まで低下して昏睡になった。)

43:NSAIDSによる間質性腎炎の話。
*2007年もNSAIDsによる間質性腎炎は取り上げられている。間質性腎炎はよほど重視されていることが分かる。

*2007⑪「薬剤性腎臓障害には、アミノグリコシドなどから量依存性に生じる急性尿細管壊死(急性腎不全)と、アレルギーを介して生じる急性間質性腎炎とがある。後者の原因となる薬物は、セフェム系の抗生物質とNSAIDsが多い。このとき、尿沈さでは好酸球が多数検出される。」

特徴をもう少し掘り下げる問題。

尿濃縮力が失われるので低浸透圧尿となる。
尿に白血球円柱が認められる。
尿中にβ2ミクログロブリンが増えるなど。

なお、急性間質性腎炎ではそうではないが、長年のNSAIDs服用で慢性化した間質性腎炎では腎委縮が著明である。

44:MMSE21/30点の認知症患者。パーキンソン病様の症状もあり。MRIではごく軽度の脳萎縮だが脳血流検査IMP-SPECTでは両側の後頭葉に血流低下。側頭葉、頭頂葉に低下なし。このとき適当でない処方は何か?

パーキンソン病様症状と画像の特徴から、診断はレビー小体型認知症。

だとすれば、抑肝散やL-dopa、アリセプト、カマグ(便秘が強いはず)などは処方するだろう。
スルピリドはパーキンソン病を悪化させるので使わないだろう。

45:いまだに抗CCP抗体が関節リウマチの診断に特異度が高いという話。これは何度も出題されている。

46:感染性心内膜炎のハイリスク患者で予防的抗菌薬投与が必要な場合:抜歯、胆管手術、腸管粘膜手術、前立腺手術、食道静脈瘤効果術、扁桃摘出など表ができている(出典はJAMA1997)。
だいたい口や腸など不潔なところで消毒不可能まま観血的に行う手術である。

清潔操作が可能な手技、手術には不必要。たとえばCVC挿入。
気管内挿管などは観血的でないので不要。

胃もそれほど不潔でないので生検なら不要だろう。

47:末梢神経障害に関して

手根管症候群は正中神経、尺骨管症候群と肘部管症候群は尺骨神経障害、は常識。

糖尿病性ニューロパシーが自律神経障害を伴いやすい、これも常識。
同じく糖尿病性ニューロパシーの感覚障害は上肢より下肢優位である。これも常識だが、ところでこれはなぜなのだろうか?

糖尿病性の動眼神経麻痺は、瞳孔散大を伴いやすいかどうか?
これは少し考えてみる必要がある。動眼神経麻痺で瞳孔散大が生じるのは、神経内に副交感神経が入ってくるからである。

副交感神経は動眼神経の一番外側にある。糖尿病性動眼神経麻痺は、神経の中央辺りに存在する栄養血管の閉塞によるので、副交感神経には影響がない。したがって、糖尿病で動眼神経麻痺が生じたとき、瞳孔は正常のことが多い。

逆に動脈瘤で動眼神経が圧迫されるとき、真っ先に瞳孔が散大してしまう。

48:症状のない胆嚢結石は放置されるが、総胆管結石は無症状でも内視鏡的な結石除去を行っておかなければならないという、それだけの話。

49:当初労作時のみから始まって、最近は安静に時に胸痛が続くということで入院し、心筋トロポニン陽性、心電図T波陰転化がV3ーV6に認められうという人に何をしないか。

診断は非貫壁性の心筋梗塞か(心内膜下梗塞)

硝酸薬、アスピリンは投与するだろう。冠動脈インターベンションPCIもするだろう。


βブロッカーは?難しい。安静時の胸痛に攣縮要素があると思えば投与しない。
冠動脈血栓溶解術は?これも難しい。発症後6時間以内とされている。それでも血栓で閉塞寸前という状態ならするだろう。

⇒血栓溶解療法は非ST上昇型急性冠症候群への有効性は否定されている、とのこと

50:75歳のC型肝炎関連肝硬変。肝性脳症で入院。腹水もあり。PT40%.次第に改善してきたので、CTをとってみたら、大量の腹水と肝左葉に一箇所、直径30mm以下の単発の肝細胞癌を認めた。

腹水が多いのでラジオ波焼灼もしないだろう。
経カテーテル的肝動脈塞栓塞栓術は適応がないとはいえない。こういう人にもできるのでは?

緩和ケアは誰にでもするが・・・。

⇒正解は緩和ケア

2012年 今年の特徴は、あまり臨床に役立たない知識が多く問われているということである。 1:デパスを大量服用して昏睡で運ばれたらどうするかという話 3時間前にベンゾジアゼピンを大量に服用してJCSⅢ-300となっている21歳女性。呼吸は保たれている。嘔吐のあとがあり、誤嚥性肺炎も生じている。 どんな処置をするか? 胃洗浄は1時間内にすることなのでこの場合しない。気管挿管もしない。マグコロール投与はしても悪くはないが、胃管を入れなければならないので慎重にする。吐根シロップは禁忌だろう。結局、アネキセート(フルマゼニル)の注射をするだろう。 2:高齢者の感染の話 高齢者入所施設で集団感染を警戒すべき病原微生物の第一は? ノロウイルスがまず筆頭だろう。 3:肺癌にイレッサを使うときの検査の話 手術不能あるいは再発した非小細胞肺癌NSCLCにイレッサ(ゲフィニチブ)を投与する時必須の検査は? 上皮成長因子受容体EGFRの遺伝子変異を検査して、陽性であればがイレッサの効果高いと判断できる。胸水、喀痰、肺胞洗浄液から「PNA-LNA PCR clamp法」を用いて検査する。 4:白血病に効く薬の話 グリベック(イマチニブ)が無効である場合は? 慢性骨髄性白血病CML(BCR-ABL融合遺伝子陽性)にはもちろん有効。 GIST(消化管間質腫瘍)でKIT(CD117)陽性なら有効。 フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病は、成人の急性リンパ性白血病の20%以上を占めるが、有効。 慢性好酸球性白血病にも有効。 無効なのは慢性骨髄単球性白血病である。 5:副腎に偶然発見される腫瘍の話 副腎の直径11mmという小さな偶然発見された腫瘍(インシデンタローマ)。副腎関連のホルモン(コルチゾール、アルドステロン、レニン、ACTH、DHEA-S、24時間尿中遊離コルチゾール)はいずれも正常値。 さてどうするか? 40mm以上なら生検や手術。原発アルドステロン症が疑われるのなら副腎静脈血採取。コルチゾールが上昇しているなら、デキサメサゾン1mg抑制試験。どれでもないので、1年後のCT再検査でよいようだ。 6:風土病の話 62歳の男性が口渇、多尿から発熱、意識レベル低下で入院。白血球17000と増え、末梢血像では、核にくびれと切り込みのある異型リンパ球多数。 こういうときまず何をするか? HTLV-1による急性T細胞白血病で、腫瘍細胞からのPTHrPの大量放出による高Ca血症で生命の危険がある。まずCa値を測ってゾメタ(ビスホスホネート)を注射するということになる。 7:膵臓癌の早期診断に関わる話 膵管内乳頭粘液性腫瘍IPMN(分枝型)とはどういうものか? 男2対女1で男に多い。 分枝型では多房性。 膵管とは交通している。 膵臓頭部に好発。 これと対照的に、「粘液性のう胞性腫瘍MCN」は閉経前後の女性の膵尾部に多く、間質が「卵巣様間質」という特徴がある。 *この疾患の人がじん肺患者さんの中にいて、萩の病院に数年に一回入院している。先日診察室での携帯エコーでも膵頭部にのう胞が集まっているのが見えた。 8:若い人の突然死の話 35歳の男性が夜間睡眠中に全身けいれん。家族はてんかんかと思って連てきたが、脳波やCTは異常なし、心電図で特徴的な右側胸部誘導のST上昇がある。 どうすればいいのだろう? これだけで診断はすぐにつく。アジア人に多いといわれるブルガーダBrugada症候群による、多くは夜間に起こる突然の心室細動である。突然死することも多い。治療は植え込み型除細動器ICDしかない。 9:アスピリン喘息の話 40歳代の女性で気管支喘息の既往のある人が発熱で受診。問診では鼻ポリープもあることが分かった。この人が高熱で解熱剤を希望する。 どういうことに注意したらよいか。 鼻ポリープという問診を馬鹿にする君はもうすぐ医師免許を失うだろう。・・・実際にはそんなことはないのだけどね。 鼻ポリープのある喘息は、アスピリン喘息であることが多い。アスピリン喘息という名前だが、すべての解熱鎮痛剤が原因となって、死亡することある重症の喘息発作となるもので、喘息の10%はこれである。 医療訴訟になった死亡事故の多くはロキソニン、ロブによる誘発である。 だから、僕は若い医師が平気で発熱にロブを処方しているのをみるとぞっとするのである。 使える解熱鎮痛剤は、カロナールか ソランタールしかない。ソランタールは以前、小児を診ていたころは頻用したものだが、いまは院内にはない。 10:妊娠糖尿病の話 36歳の女性が妊娠し、在胎14週で初回妊婦検診を受け、空腹時血糖89、A1C(国際標準値)5.8%だった。 この時点で妊娠糖尿病と言えるか、というと違う。その基準は75gGTTを行ったうえで空腹時92-125、1時間値180、2時間値153以上だからである。 したがって、A1Cで経過観察するとか、インスリンを使うとか、胎児の先天異常のリスクが高いなんて話す段階ではない。 では何をするかというと「インスリン抵抗性が強くなる妊娠24~28週頃に再度、より正確なブドウ糖75g負荷テスト(以下75gOGTTとする)を行う」ことである。そこで妊娠糖尿病と診断されれば厳密な食事療法指導が始まり、場合によってはインスリンを用いる。 妊娠が終われば正常にもどることが大半だが、妊娠糖尿病を経験した女性の35~60%は10年、20年後に2型糖尿病を発症する。 妊娠糖尿病になる妊婦は、妊婦全体の12%になる。 11:関節リウマチ治療の副作用の話 ステロイドとリウマトレックスを投与しているとニューモシスチス肺炎になりやすいのは当然である。そうなったらHIV感染に合併するより予後は悪い。 ただ、厄介なのはその確定診断である。気管支肺胞洗浄液のギムザ染色で病原体のう胞の集合したものを見つけても、常在菌なので、感染か定着かは判断できない。 血清抗体検査や血清抗原検査なんてものはない。尿中抗原で診断できるのは肺炎球菌やレジオネラに限られる。全血を特異抗原で刺激してインターフェロンγが増えるというのは、結核の話である(QFT)。結局、喀痰のPCRでニューモシスチス・イロベッキを同定するしか、感染だと診断する根拠にならないのである。 12:内視鏡による胃癌の発見の話。 0-Ⅱa 集簇型など粘膜下層剥離術の適応は知っておかなければいけない。 13:脳塞栓慢性期再発予防薬の選択の話 63歳の男性。突然の片麻痺の完成。心房細動はなく、MRAで総頸動脈に狭窄がある。 動脈―動脈の脳塞栓である。 オザグレルは急性期の薬。ワーファリンはまずくない。プラザキサは非弁膜症による心房細動があるときの薬。プラビックスは好さそう。スタチンは冠動脈疾患にはいいが、脳には? そこでプラビックスかワーファリンということになるのだが、抗血小板剤の方が第一選択ということで、プラビックス(クロピドグレル)ということになる。 しかし、なぜタダみたいに安くてよく効くアスピリンが選択肢として挙げられていないのかという疑問がここで湧いてくる。日本内科学会なんて結局薬屋のもうけのためにあるのである。 15:片頭痛に効く漢方薬 呉茱萸湯・・・何て読むのだろうな・・・ごしゅゆとう。マクサルトが効かない人にもいいみたいだ。 首相官邸前のデモに行く時、国会議事堂の横を上がる坂を通るが、その坂の名前は茱萸坂(ぐみざか)である。 16:抗不整脈剤をどれくらい知っているかという話 小学校のころからWPW心電図を指摘されていた人がぱっと始まってぱっと終わる動悸が頻繁になった。 発作時に使う薬は?発作は上室頻拍発作に決まっているので、キシロカインでもなく、アレビアチンでもなう、メキシチールでもなく、インデラルでもなく、アデホスの急速注射である。ワソランをゆっくり注射するのも有効である。 もちろんWPWに伴う心房細動だと話が違う。そのときはジゴキシンやワソランやアデホスは使ってはならない。アミサリン注射かサンリズム。 17:てんかんの分類と治療の話 仕事中に数分間ボーっとして、まともに返事せず「はい、はい」としか言わず、その後数分間のもうろう状態があり、もとにもどる。 これは側頭葉てんかん、あるいは複雑部分発作と呼ばれるものである。 このとき使う薬は何か。 ゾニサミドやアレビアチンは第2選択。エトスクシミドは定型的欠神発作に使う。フェノバールは補助薬。 正解はテグレトール(カルバマゼピン)。 デパケン(バルブロ酸)は全身けいれんに使う薬だから違う。 19:煙草を吸い始めた少年少女がかかる重病 初めてタバコを吸って、2週間ぐらいして、発熱、呼吸困難が来たら、急性好酸球性肺炎だ。 気管支肺胞洗浄液をメイ・ギムザ染色するとそこにある白血球の種類がよくわかるが好酸球がたくさん見つかる。 幸いなことにステロイドがよく効くが、それを知らない医者にかかったら、延々と抗生物質を与えられて死にかかるぞ。 そこの生意気な中学生、注意しろよ。俺がいつも一般外来にいて救ってくれるとは限らないぜ。 20:緩和ケアの話 徐放性オピオイドの導入。 定期的に服用するので、痛かったら服用するのではない。 いままで使ってきたNSAIDsも中止せず、併用する。 モルヒネは肝臓代謝だが、代謝産物にも活性があり、これは腎代謝。したがって腎障害があれば、モルヒネでなく、合成オピオイドで、代謝産物が不活性のオキシコドンを使う。 吐気どめは3種類ある。セロトニン(5-HT3)受容体拮抗薬のカイトリルなどは主に抗ガン剤用の吐き気止めである。オピオイドには、ノバミンなどの抗ドーパミン剤を使う。当然パーキンソン症候群という副作用はある。 レスキューに使う速放性のオピオイド1回分は徐放性の一日量の1/3でなく、1/6と決まっている。 21:大腸の炎症性疾患の内視鏡像をどれくらい知っているかという話 アメーバ赤痢は厚いバタークリームを載せているような潰瘍。おいしそうかもしれない。 クローン病は基本的に深い縦走潰瘍。 びまん性、全周性のビランはまず潰瘍性大腸炎。 カンピロバクタ腸炎は、なんとバウヒン弁の上にできる潰瘍である。全大腸内視鏡までしないといけないので検査がしんどい。 虚血性腸炎は、比較的浅い縦走性の潰瘍。 22:原因不明の発熱の診断に関する問題 75歳女性。 尿蛋白3+、尿潜血3+。CRP上昇、血沈 著明に亢進。クレアチニン1.8  この問題は自信がない。 どういう検査をするといいかという質問なのだが 抗核抗体・・・血沈亢進はしているがCRPも高いのでSLEではなさそう。 抗SS-A抗体・・・シェーグレンは発熱では受診してこないだろう。 血清アミロイドA蛋白・・・アミロイド腎症は血尿はあまりないだろう。 抗好中球細胞質抗体(ANCA)・・・ANCA関連性血管炎、そのなかで、血尿があり、1カ月以内にクレアチニンが2倍以上になるものが、急速進行性糸球体腎炎。どうもこれのようだ。 アンジオテンシン変換酵素・・サルコイドーシスは発熱はないだろう。 23:答えはANCA関連血管炎だとして、合併しやすい病気も質問されている。 MPO-ANCAが傷害しやすい順は腎臓、肺、神経、皮膚、消化管、眼、心臓となっている。 例示されているもの中では多発単神経炎。 24:糖尿病について間違っている記述を探す話 劇症1型糖尿病は妊娠が契機になりうる。 劇症1型発症は急なので、発見時のHBA1cはそう高くない。8.9%未満である。 糖尿病管理中、急にコントロール増悪したとき、膵臓がんを疑うのは常識。 母方の遺伝歴の中で難聴がある糖尿病ではミトコンドリア遺伝子変異の可能性がある。 20歳未満発症の糖尿病の大半が1型、というのが間違っている。20歳未満で発症しても、圧倒的に2型糖尿病多い。小児・若年糖尿病の94.3%は2型糖尿病で、1型糖尿病は1.5%。 25:心筋梗塞の部位診断 左冠状動脈の主幹部の梗塞では前壁(V1-V4)と側壁(Ⅰ aVL)のST上昇があり、下壁側はSTが下降する。 26:障害部位が一貫しない神経症状の診断を問うもの 半年前に一過性に視力低下、最近舌のしびれ、顔面近くの低下という35歳男性 MR FLAIRでは第4脳室に接して、脳室に垂直、だ円形ovoid な高信号 病変部位は 顔面神経核だろうか?顔面神経といっても知覚線維もあるのである。自信なし。 27:その病名は多発性硬化症。MR像は特徴的で、球後神経炎は良く起こる。 28:空気感染する疾患の知識を問うもの 結核、麻疹、水痘 は常識。水痘の中には、播種性帯状疱疹も含まれるというのがこの問題のミソ。 29:複視が主訴の重症筋無力症に関する知識を問うもの。 テンシロン5mg静脈注射すれば一時的にまぶたも上がり、複視もなくなるというのので診断は簡単。 そこで、正しい記述を探す。 瞳孔が散大するか?動眼神経麻痺などとは無縁なので生じない。 肺小細胞癌に合併しやすいか?それは高Ca血症だろう。 胸腺腫に合併しやすい。これだ。 副腎皮質ホルモンは?治療の主役。 抗ガングリオシド抗体は?それはギラン・バレ症候群の話である。 30:低K、低レニンの高血圧症の話。月経は正常 ふつうは原発性アルドステロン症を疑う。しかしこの例ではアルドステロンは低かった。 となると、偽アルドステロン症。アルドステロンに似た甘草(リコライス)の大量摂取で起こる。今では漢方薬が多いが、昔は仁丹を山のように食べる人がいたりしてこれになっていた。仁丹を知らない人も多いだろうが、口腔清涼剤である。 鑑別すべき疾患 Bartter症候群というのがあって、高アルドステロン、低Kなのに血圧が正常というもの。 偽Bartterは ループ利尿剤を用いているための低K→高アルドステロン、正常血圧というもの。 腎血管性高血圧は、高レニンの高血圧である。 17α水酸化酵素欠損症はアルドステロン上昇と高血圧があるが、二次性徴の異常が特徴である。 31:腎動脈の血管雑音を徴収しやすいところ 臍のやや足側 32:ある妊婦がHIV抗体検査で陽性とされた時の、偽陽性と真陽性のオッズを求める話。 HIV抗体検査の感度も特異度も99.9%。 日本における妊婦のHIV抗体保有率は1万人に1人、すなわち事前確率1/10000。 ≪検査結果が陽性の場合:検査後オッズ = 検査前オッズ×陽性尤度比 ≫ 検査前オッズ = 1/10000 : (1 - 1/10000)・・・・ 1/10000 とする そして陽性尤度比 は感度/(1 -特異度)なので0.999/(1 - 0.999) = 999≒1000 検査後オッズは1/10000 × 1000=1/10 したがって、非常に優れた検査でHIV抗体陽性となっても、日本のように感染が蔓延していない国では 偽陽性/真陽性は1/10となり、偽陽性であることも相当あるということが実感される。 これを確率で表すと0.1/1+0.1≒0.1 33:45歳胆嚢癌の肝臓内多発転移の治療 これは全く自信がない ジェムザール(ゲムシタビン)単独投与だろうか? 34:食物によるアナフィラキシーの話 この例では、食パンを食べ、ロキソニンを服用し、急いで走って発症している。 このなかに食物依存性アナフィラキシーの知識のすべてが含まれている。 多くは小麦のグルテンで起こり、NSAIDs服用や、運動で発症が促進される。 治療はボスミンの筋肉注射がファーストチョイスである。 35:急性心筋梗塞の患者に急に収縮期雑音が聞こえ始めたとすれば何を考えるか、という話 僧帽弁を支える乳頭筋・腱の断裂による僧帽弁閉鎖不全と、心室中隔の穿孔が代表的だろう。質問の中には後者しかない。 心室瘤は、心電図の変化はあっても雑音はない。 心内膜炎は心筋梗塞の合併症かどうか。 左室自由壁の破裂は収縮期雑音がどうこうというよりショックか急死だろう。 大動脈弁閉鎖不全は心筋梗塞の合併症か同科というより、拡張期雑音である。 36:心エコーで心室中隔の著名な肥厚が描出されており、同時に左室流出路の閉塞もないとわかるもの、すなわち非閉塞性肥大型心筋症の話。 欧米人に多いのが閉塞性、日本人に多いのが非閉塞性と分かっているので適切な設定である。 このケースで予後不良因子となるのは何か、という問題。 突然死しやすいが失神頻回、若年での発症、心室性頻拍、心筋肥大の進行、運動負荷中の血圧低下がリスクファクターである。 この病気は常染色体性優性遺伝だが、それはリスクファクターではない。 37:KL-6が1580と上昇し、安静時の呼吸回数が16回/分と増えている、胸部XPは間質性変化が強い、CTではミクロな蜂巣肺も認められる60歳代男性の話。 6か月前から次第に増悪している。 こういう人を、「診療所の医者」としてはどうするかというのが質問である。 間質性肺炎(特発性肺線維症IPFから急性間質性肺炎AIPまで幅がある、またUIPなどの病理組織的診断名も併用されているので、概念が混乱している)は間違いない。 経過観察しているとステロイド投与の好機を逃すだろう。 特効薬ピレスパ(ピルフェニドン)があるが、これは専門医しアか使えないという制約あり。 スピリーバ吸入(チオトロピウム)はCOPDに使うもの。 ステロイド投与は意味があるが、合併症も多い。 となると、専門医への通常紹介がまずはやってみることだろう。専門医との連携があれば、診療所でも十分対処可能である。 38:血小板減少まできたして紫斑もあるという血色素4.0という37歳男性の大球性貧血の話。 ビタミンB12の著明な低下もあり。悪性貧血(自己免疫由来)はほぼ間違いがない。 このとき末梢血標本で見られる特徴的所見は何かという問題。 白血球の中毒性顆粒は、重症感染など白血球の回転が上昇している所見。 破砕赤血球は行進などで起こる物理的な赤血球の破壊。 巨大血小板は、紫斑の原因を調べるとき問題になる所見で、特発性血小板減少症ITPの時多い。 偽Pelger核はMDSなどで見られる分葉の少ない好中球核。これに対して悪性貧血では好中球過分葉が特徴である。 正解は、Howell Jolly小体という赤血球内の核の残存断片。 どうなんだろう、こういう問題。解答していてもむなしい。 39:インフルエンザの診断の問題。 病歴と身体診察から検査前確率90%とする。そこで、迅速抗原検査を施行して陰性。その感度は80%、特異度は100%とする。 検査後確率の近似値を求める。 検査が陰性の時、その病気である確率ということになる。 事前オッズ×陰性尤度比=事後オッズ 確率0.9の時の事前オッズは9(0.9/0.1) 陰性尤度比 1-感度/特異度=0.2/1 *陰性尤度比とは、検査が陰性でもその病気らしさがどれくらいあるか、ということであり、病気でないらしさがどれくらいということではない。 したがって事後オッズは9×(1-0.8)/1=1.8 事後確率1.8/(1+1.8)≒0.6  60% これはFaganのノモグラムで簡単に求めることができる 40:非アルコール性脂肪性肝炎 NASH に関する問題 肝移植はできないか?可能。 ヒアルロン酸(線維化のストック)、Ⅳ型コラーゲンやPⅢP(線維化のフロー)は診断確定につながるか?診断確定は肝生検だけ。 *単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の診断には血液検査や,超音波検査,CT,MRIなど各種画像検査では困難であり,肝生検のみが現段階では唯一の方法である. そのため日常臨床では多くのNASH患者が存在していることが予想されているのに関わらず,診断がされず肝硬変へと進展していく例も少なくない アクトスなどインスリン抵抗改善薬は標準治療薬か?使ってみようという人はいるが保険適用などない。 MRIで単純性脂肪肝と肝炎が加わったNASHの鑑別が出来るか?誰もそんなことを言っていないなぁ。 . 非アルコール性脂肪性肝疾患NAFLDの重症型だ・・・それは言える。脂肪肝⇒NAFLD⇒NASH(肝炎、風船状肝細胞、マロリー小体、線維化)と狭めていけるから。 41:IgA腎症について 肉眼的血尿は少ない。多くは顕微鏡的血尿。 血清IgAは上昇していることが多いが、それは予後とは関係がない。 副腎皮質ホルモンは時に有効である。 20年で約40%が末期腎不全になるというのが正解。 尿潜血で陽性で、沈さに赤血球を当然認める。ヘモグロビン尿症とは違う。 42:本態性血小板血症について正しい記述を探す問題 出血傾向はない、ということはない。血小板機能の異常を伴うからである。 抗血小板剤は適応がある、これが正解。 JAK2変異を前例に認める葉誤り。約半数である。ほぼ全例にJAK2変異を認めるのは真性多血症。 血小板が著しく多くても無症状の人はいるので、血小板と血栓症のリスクは比例しない。 ハイドレア(ヒドロキシウレア)が高齢者に禁忌ということはない。真性多血症では、高齢者(70歳以上)である場合には、内服の抗腫瘍薬であるハイドレキシウレアを投与して、赤血球数を低下させると、はっきり書いてある 。 43:立派なサラリーマンで、以前は睡眠時間が短くても精力的に仕事をしていたり、風俗にも遊びに行ったりしていた人が・・・なぜこんな出題になるのか?この出題者は女性の商品化に何の抵抗も感じない人なのだろう・・・最近、不定愁訴が多くなった。 1カ月まえの人間ドックでは異常なし。今、最初に行う検査は? やはり、うつ病を疑って、二項目質問紙法だろう。 HIV抗体検査ではない。 44:これは難問。 関節リウマチでNSAIDsと副腎皮質ホルモンを長期使っていた人が尿蛋白3+で、クレアチニン2.05と腎障害が明らかになってきた。 これまでの出題傾向でいえば、NSAIDsによる間質性腎炎だが、腎生検で糸球体がコンゴ-レッド染色で赤く染まる物質で埋め尽くされている、つまり、アミロイド腎症の像の写真がつけられている。となれば、これは関節リウマチの炎症が長く続いたこと自体によるものか。 45:抗dsDNA抗体高値の女性、すなわちSLEの患者が息切れが顕著となって、心陰影が急に拡大してきたという話。 このとき聴診器で聞こえるのは? まず心外膜炎による心膜摩擦音だろう。 肺線維症の小水泡音もあってよいが、X線では肺線維症はっきりしない。 46:常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)についての知識を問うもの 500人に一人が発症する、家族性高コレステロールに次いで多い遺伝性疾患だが、男女差があるとはされていない。 高血圧合併が多く脳動脈瘤は10%に合併。一般人口で1-7%だからこれは多い。 70歳までに半数が末期腎不全になるが、50歳までに全員が透析必要というのは誤り。 診断確定は家族歴と画像で可能であり、生検は必要なし。 病状進行予防と脳動脈瘤破裂予防に降圧が大切だが、降圧剤の選択は、カルシウム拮抗剤は適当でなく、ACEIかARBを使う。 47:原爆被爆者で放射線の影響が有意に認められる疾患はどれか一つ選ぶという問題。 この時期、この質問は相当に意図がある。 だれがどのように調べてどういう根拠で結論を下したのか。 悪性リンパ腫、骨髄異形成症候群、成人T細胞白血病、慢性リンパ性白血病が有意でなく、再生不良性貧血が正解という問題なのだが。 48:生体腎移植に適当でない場合を選ぶ問題 ABO血液型不適合は問題なし。 HLAミスマッチは6個全部ミスマッチでも可能。 HBs抗体陽性も問題なし。 レシピエントが1年前乳癌根治手術を受けている場合は駄目。免疫抑制剤を使うので、悪性腫瘍根治手術から最低5年は空けるとされている。 レシピエントが1年前冠動脈バイパス手術を受けているのは何も問題なし。 49:ダニと関係のない疾患を選ぶ問題。 ダニと関係あるのは、疥癬(ヒゼンダニ)、ライム病(マダニに媒介されるスピロヘータ)、日本紅斑熱(マダニに媒介されるリケッチア)、ツツガムシ病(ダニ目ツツガムシ科に媒介されるリケッチア)。 関係がないのはクラミジアによるオウム病。 50:随時尿から1日尿蛋白を推測する方法を問う問題。 随時尿中蛋白 mg/dl 尿中クレアチニン mg/dlを求め、多くの場合、1日の尿中クレアチニンを1gと仮定して比例計算すればいい。 随時尿蛋白200mg/dl、尿中クレアチニン200mg/dlなら、5倍して1gとなる。

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コメント

大変ためになりました。ありがとうございました。
2012年の25番ですが、LAD近位部の閉塞とおもいます。LMTですと、全虚血でaVRは低下すると思います。
間違っていたらすみません。

投稿: | 2012年9月25日 (火) 00時16分

こんな見づらいブログ記事を発見して頂いてありがとうございました。先生のおっしゃる通りでした。

投稿: 野田浩夫 | 2012年10月 1日 (月) 17時41分

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