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2011年5月 5日 (木)

藤井省三「魯迅―東アジアを生きる文学」岩波新書2011、雑誌「世界」別冊no.816 「新冷戦でなく共存共栄の東アジアを」2011・・・東アジアの西欧受容と日本の国境問題の解決法

中国やインドの資本主義的発展によって生じる世界市場の再分割要求が第3次世界大戦を引き起こす危険はすでに広く指摘されている。

しかし、それを現実化させてしまうことは人類史の終焉にもつながることである。その対策が国連の改革・強化であり、EUにならった地域共同体の結成なのだろう。

そして後者、すなわちEUにならった地域共同体結成こそ、日本をはじめとする東アジア諸国が19世紀から直面し続けてきた西欧文化の受容の結論となるものである。

約200年間の西欧受容は東アジア共同体の結成に至って完了し、それが世界平和の前提となるわけである。その後は西欧受容という問題は存在しなくなる。

先日来、『柄谷行人「日本精神分析」講談社学術文庫2007 その付録芥川龍之介「神々の微笑」再読、および加藤周一と竹内好』、ということについて考え始めて、これは結局、日本と中国双方の西欧文化受容を考えるというテーマだと気づいたのだが、それが上記の2冊を読んでこういう結論にいたるとは自分でも思わなかった。

魯迅の毛沢東的理解、あるいは竹内好的理解がそれぞれの意味で大きく誤っていることを藤井省三「魯迅―東アジアを生きる文学」岩波新書2011は鋭く指摘している。魯迅は、アジア人が西欧受容をどう超えていくかという問題で苦闘した人として東アジアを結びつける共有財産と考えられ始めているのだ。

また、雑誌「世界」別冊「新冷戦でなく共存共栄の東アジアを」はすべての記事が面白いが、まず西原治夫「大きな歴史の流れの中で東アジアの未来を考える」、品川正治「アメリカの眼で中国を見てはならない」が参考になる。

これらを読むと、日本を悩ましている中国、韓国、ロシア間との国境問題も、日本の主張の正しさを永遠に唱えても解決しない問題だと思えてくる。

おそらく地域共同体が国境を現実生活からは消滅させ、地図上の架空の線に変えてしまったとき初めて国境問題が解決するのである。

もとより世界には国境などなかったから、どこかの時点で再び国境がなくなるのは弁証法から言っても歴史的必然といって差し支えない。

大逆事件、辛亥革命から100年の2011年、原発大国日本が再び国境を無視した東アジアの災いの根源となった年に、東アジアの国境の消滅を考えてみるのも偶然ではないだろう。

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