勤続46年、今年69歳のタクシー運転手さん・・・東日本大震災の朝に書いた記事
今朝は、もう15年以上も産業医を引き受けているタクシー会社の車で出勤した。
寒い日が続くというありきたりな話をしていたのだが、運転手さんが「寒いと膝が痛くて困る」という話を始めた。ちょうど昨日亡くなった坂上二郎に似た風貌の人である。
「温かい日と寒い日では大違いだ」というのだが、そういう痛みは経験がないと実感がわかない。
「そういうものですかね」とつい言ってしまう。
「そういうものですよ。ずっと運転しているせいもあるが、なにせ、年ですから。まぁ先生は若いから分からないかもしれない」
「若くはありませんよ。それに I さんもそれほど高齢じゃないでしょう」
「先生、私が何歳か知っていますか?」
「・・・・」 頭のなかでは健診記録を一生懸命探しているが、思い出せない。
「69歳ですよ、今年70になる」
「えっ、そうでしたか!」
「23歳のとき、この会社に入りました。それから46年ずっと同じ会社でタクシー運転手です。
社長がいい人だからそういうことになったのですが、来年はもう辞めようと思っています」
そういう人もいるのだ。46年も同じ町でタクシー運転手をしていると、この町のことを何でも知っているのだろう。
だとすれば、いろいろ聴いておきたいことあるような気がしたが、大体に寡黙な人なので、話はそれで終わった。
2013・9・1記 上は朝のことを書いたものだが、、この日の午後、金曜日勤務先の診療所から病院に帰るタクシーの中で、大地震と津波が起きていることを知った。
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コメント
幸せな運転手だと思います。
「生活保護受給者がタクシーを?」と陰から批判される事もありますが、どうしても行かなければいけなくて、電車・バスに乗るのがしんどい時は、タクシーに乗ります。
電車の混雑は、身を守るのに精一杯ですが、渋滞しても「空間」が確保されて、運転手さんと話ができますからね。
東京では「流し」を拾うのですが、カーナビで「××○丁目○版○号」と入れてもらっています。
「タクシー運転手しか仕事がない」より「もう一生タクシーで食うしかない」の時代へ動いているようです。
指定教習所で普通2種免許が取得できるようになった(「大型2種」は対応した幅のコースが必要だが、「普通2種」は指導員の資格取得だけで実施できる)のも大きいです。
投稿: 豊後各駅停車 | 2011年3月15日 (火) 21時19分