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2011年3月 9日 (水)

雑誌「病院」2011年3月号「自治体病院の存在意義」、雑誌「月刊地域医学」2008年11月号・・・総合医の本質は態度だ

隣の町の市立病院の再建が問題となっている。同じ町の中にある国立の労災病院に吸収・合併したら、という乱暴な意見を元大学学長がローカル新聞に載せたりもして、混乱の様相である。

それが念頭にあったので雑誌「病院」の公立病院特集は精読した。

どれもいい記事ばかりだったが、「へき地離島医療を支える」自治体病院の役割を丁寧に説明した島根県隠岐の島の島前(どうぜん)病院院長の白石吉彦氏が故五十嵐正紘自治医科大学地域医療学教授の言葉(「月刊地域医学」2008年11月掲載のインタビュー)を引用していたのが特に印象に残った。

そこで、図書室で「月刊地域医学」2008年11月号を探し出し、あらためて読んでみた。

読んでいるといろんなことを思い出した。

医師の力量が知識(K)、態度(A)、技能(S)(順不同)の3要素からなるというのは常識である。

臨床研修指導医養成の講習会に参加した私がこれをかってにKAS カスと読んで議論していたら、いあわせたこの世界の大物である橋本信也先生に「勝手な言葉を使って話を進めないでください」と言われたことがある。

その時は、外国直輸入の教育技法を普及する人々への私の批判的な姿勢が大先輩を刺激したのかと思っていた。

しかし、五十嵐先生のインタビュー記事とそのことを照らし合わせると、問題になったのはそういう理由でなく、背景にもっと重要な意味合いがあったのではないかと思えた。
というのは、五十嵐先生は、「総合医とは」という問いかけに「まず態度(A)だ」と答えているからである。

どんな訴えや要求であろうと、まずその人に向き合う、困っている人を何とかしたいという態度が、総合医を総合医たらしめている。

知識や技能は後から付いてくるものである。

となれば順番はKASではなく、ASKかもしれない。3者の間に重要性の差があるのだ、かってにKASと並べないでほしいと橋本先生も言ったのかもしれない。
考えるに、「態度」ほど身につきにくく、いったん身についたと思っても失われやすいものはない。
必要な専門医がその時刻に、この地域で呼び出せるかどうかも考えずに、「専門が違う」といって患者を断る人は、その人がもし以前に総合医をめざしていたのであれば、その態度を失っているのである。

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コメント

私が内科・皮膚科で通っている「九段坂病院」では「診療科別カルテ」となっています。
皮膚科で「内科では・・・」と患者が申告しなければならないのですが、逆に言えば、その「内科」は九段坂病院でなくてもかまわない。各診療科の窓口にカルテを保管していますので、カルテが出るのが早い。あとは「先着順」です。
整形外科に人気があり1階・他科は2階にあるのですが、看護師・職員が「先に内科を受けませんか」と声をかけてくださる。
そのほかにも①原則院内処方②喫煙室の完備など厚生労働省の政策に反しているのですが「患者にとっては」いい病院です。
建物の老朽化が激しく、松葉杖をついた入院患者が喫煙室に向かうのは辛いものです。
千代田区役者跡地への移転が検討されてますが「古臭い」病院の雰囲気のよさは残して欲しいです。

投稿: 豊後各駅停車 | 2011年3月15日 (火) 21時47分

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