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2011年1月27日 (木)

上関原発反対を訴えてハンガーストライキする青年たち・・・「星の王子様」のキツネの話を思い出す

木曜日の午後は休診になっているので、私には宿題を片付ける貴重な時間である。

今日も一月末が期限の診断書30通以上を一気に書き上げるつもりだった。

医療に関係のない方には理解しにくいだろうが、医師は相当の時間を診断書や証明書の作成に割かなければならない。

医師の証明書なしには、保険金がもらえない、会社が休めない、学校が休めない、施設に入所できない、補償金が入ってこないという人がたくさんいるのだ。医師にはそういう社会的な役割もある。

「紙切れ一枚だから今ここで書いてくれ」、という人が少なくないが、医師の手元にはそういう書類が山のように溜まっているのが普通なので、自分のために一挙に順番を飛び越えろという要求は相当の心得違いだということを知ってほしいものである。

それはともかくとして、今日の話、カルテを積み上げて、さぁこれからというとき外から電話が入ってくる。

30年来の知人である広島の青木克明医師からである。彼は最近上関原発建設阻止のため懸命の運動を展開している。僕は、それも重大だが岩国基地を中心した米軍再編のほうがより気にかかるという立場である。

「21日から山口県庁前で青年が5人ハンガーストライキしているのは知っていますよね」

(いや、知らなかった)

「もう1週間も水と塩だけで座り込んでいるので相当弱っているらしいのですよ、ちょっと見に行ってくれませんか」

青木先生は知らないだろうが、山口県の県庁所在地は宇部市ではなく山口市で、ここからは車で1時間以上ある、おまけに僕は車を持っていない。

しかし、こういう時に断らないのが僕たちの鉄の掟である。

男性事務員1人と看護師1人に同行を依頼してすぐに山口県庁に向かった。

5人はすぐに見つかった。全員20歳前後と見える若さで毛布を巻きつけるだけで座り込みを続けているらしい。しかし数人の恒常的な支援者もそばにいるようだ。ずっとビデオ撮影している男性もいる。

僕たちの訪問は歓迎されたが、「ドクターストップの必要性の有無を確認しに来た」というと、「続けるか止めるかは自分たちの判断で決める」と鋭く反応されてしまった。それは当然のことであるが。

簡単に診察すると5人のうち2人は若干衰弱が感じられたが、口調もしっかりしており、無理やり病院に連れて帰る必要性はないようだった。

ハンガーストライキをどのように収束させるか、僕には妙案はない。勝利の展望なしに始めてはいけないなどというつもりは毛頭ない。結局、止めるとき敗北感を持たなければそれでいいのだと思う。意思表示の一つの形式として成功したと思えばいいのである。

とはいえ、こうして診察してしまうと、そこには一つの「絆」が生まれてしまう。

「絆」といえば「星の王子様」でキツネがいっていたことが参考になるだろう。

「絆を持ったものには責任を持たないといけない」のである。そのとき初めて、心がものを見始める。目では見えない肝腎なものが見えてくる。

ことの最後まで見届ける義務がここで生じたようだ。

**その後、ネットで調べてみると、私が思い込んだような無期限のハンガーストライキではなく、10日間ぐらいと限っているようだ。それなら、なんとか無事に初志を貫徹する事を祈るばかりである。

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