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2010年12月 6日 (月)

地方の地域2番手病院のアライアンス(同盟)が地域医療の崩壊を救う・・・私たちは、常に謙虚で地道な実践者でなくてはならないが、同時に大胆な組織者にもならなければならない

急性期病院60万床を充実させてあとは在宅医療へ流す、亜急性期、慢性期の病院医療は自然消滅に任せるというのが国の方針である。

そんなことでは急性期医療自体も立ちいかなくなることが目に見えている。

必要なのは急性期と外来・在宅の間をつなぐ、それより何より大型の急性期病院が敬遠して取り扱わない高齢者急性期医療を実践する、民間中小病院の充実である。

いってみればサンドイッチの具の部分。

「サンドイッチは具で決まる」と言ったのは阿部昭一 元全日本民医連会長で、それは中間管理職を励ますためのものだったが、地域医療にも当てはまる。

具体的には地域2番手病院が、総合的な力をどれだけ築けるかにかかっている。それは、地域2番手病院で総合診療医として頑張ることに意義を認める医師の数で決まる。

そこで私が考えているのが、地域2番手病院のアライアンス、あるいはネットワークである。ここを中心に、3番手病院や療養病棟と一緒に広範な総合診療医の後期研修体制を作り上げることができるはずだ。

これが成功すれば、中小でポジショニングの定まらない公的病院も加わってくる可能性が出てくる。

ではどうして、その実現に近づくかだが、山口県保険医協会の有床診療所・病院部会がその方針を提案するのが最も抵抗なくスタートできるだろうと今は考えている。

アライアンスを作る前に、これらの病院に呼びかけて総合診療の学習会を重ねる必要があるが、そのコーディネーターには地方の大学病院の地域医療の研究者を期待したい。

こんなことを書くと、そんな大風呂敷を広げる前に、自分の病院の研修を向上させろ、天下国家を論じる前に足元を見ろ、という意見が院内から必ず出るのは分かっている。

だが、それではだめなのである。同時並行でことを進めて、その中での認識の変化に合わせて、あるいは、そこで生まれる外圧を利用して、自分の病院の在り方を変えて自分の病院での研修の充実にも初めて成功する、そのことをヘーゲル以来の弁証法が教えている。

私たちは、常に謙虚で地道な実践者でなくてはならないが、同時に大胆な組織者にもならなければならない

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コメント

「地域医療」って何なのでしょう。「全国医療」「全世界医療」があるのでしょうか。
私は代々木病院に3年通って、道路の喫煙で話を聞きましたが、入院は渋谷区と新宿区ばかりでした。
精神神経科でも都外の患者を聞いたことがありません。
ただ、現代日本では、まず「施設介護」中心にする方が現実的だと思います。

投稿: 豊後各駅停車 | 2010年12月11日 (土) 13時06分

豊後各駅停車 様

何度もコメントいただきありがとうございます。

たしかに「地域医療」という言葉は、業界外の方には理解されない符牒になっていますね。

患者さん個人を対象にする通常の医療、家族ごと対象にする家庭医療、一定地域の医療体制を問題にする地域医療という階層を想定している言葉です。

そうすれば、もちろん全国医療という言葉もあってよいのですが、それは普通は医療制度と呼んでいるのでしょう。

また、日出生台の軍事訓練の問題はしんぶん赤旗での扱いも小さすぎる気がしています。

ご注目頂きありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

投稿: 野田浩夫 | 2010年12月13日 (月) 12時51分

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