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2010年9月22日 (水)

メモ 新しい民医連綱領の解説 私版 #2

第1章 改定への足取りを振り返る

1:旧綱領への道

1953.6全日本民医連結成 (22県連)「全医連綱領」1955.10「全国民医連綱領」 1961.10 旧「民医連綱領」と10年足らずのうちに三つの綱領が作られ、最後のものが50年以上続いた

2:旧綱領の生命力:綱領に団結して行動することの意義が明確になった諸事件

水俣病、公害、「過労死」、阪神大震災など災害、軍事基地被害、貧困と格差の深刻

3:しかし、旧綱領を改定すべき動機となった2大事件が生じた。

1983年 山梨勤労者医療協会の倒産-最も優れていると見られていた県連で、重大な綱領からの逸脱があった。「よい医療」とは何か?について綱領理解の誤りがあった。

2000年    川崎協同病院事件-理念と実際の解離が鋭く露呈した。「患者の人権」とは何か?について綱領から発想する姿勢が欠けていた。

誰もが容易に理解できて、かつ正確な綱領にする必要が痛感された

4:改定への足取り

2002  全日本民医連「医療福祉宣言」 2008 .2綱領改定案」提案 2010.2  39回総会で改定

5:改定の目的 ①旧綱領と現状のずれがある部分を修正し分かりやすく正確にする。②旧綱領制定後の活動のなかであらたに発見した重要概念を綱領に表現する。

6:旧綱領確定後の活動の中で確立した重要概念 ①医療の本質についての洞察―「共同の営み」 ②資本主義経済の中に占める私達の位置づけ 「非営利・協同」セクターの一員  ③患者の権利の二重性 )対医療機関:自律、参加、援助を受ける、学習 ⅱ)対社会(社会権):受療権、健康権

④「核廃絶」の絶対的な必要性と可能性の広がり

⑤日本国憲法9条・25条の意義の再確認

 =新しい福祉国家(国民に軍事上の協力を代償として求めることのない福祉国家)への展望

 第2章 新綱領を読む

前文第1段落「私たち民医連は、無差別平等の医療と福祉の実現をめざす組織です。」

私たちの組織の自己規定。それは「無差別平等の医療と福祉の実現をめざす組織である。

疑問点 ①なぜ私たちは「医療と福祉は無差別平等でないといけない」と主張するのか? ②「実現をめざす」というからには、現在の医療と福祉が無差別平等でないと断定しているわけだが、その根拠は?③「無差別平等」と「無差別」、「平等」単独のそれぞれの違いはあるのか?

前文第2段落
「戦後の荒廃のなか、無産者診療所の歴史を受けつぎ、医療従事者と労働者・農民・地域の人びとが、各地で『民主診療所』をつくりました。そして1953年、『働くひとびとの医療機関』として全日本民主医療機関連合会を結成しました。」

民医連の歴史。戦後の国民生活の荒廃が民医連が生まれてくる直接の背景だった。「働くひとびと」=「アメリカの占領・半占領と、復活した日本の支配階級から二重の苦しみを与えられている圧倒的多数の国民」 の(of,by,for)医療機関として生まれた。

前文第3段落
「私たちは、いのちの平等を掲げ、地域住民の切実な要求に応える医療を実践し、介護と福祉の事業へ活動を広げてきました。患者の立場に立った親切でよい医療をすすめ、生活と労働から疾病をとらえ、いのちや健康にかかわるその時代の社会問題にとりくんできました。また共同組織と共に生活向上と社会保障活動の拡充、平和と民主主義の実現のため運動してきました。
 私たちは営利を目的とせず、事業所の集団所有を確立し、民主的運営をめざして活動しています。」

民医連の打ち建ててきた諸理念の紹介。「いのちの平等」は当然のものとされている。介護と福祉の事業」を加えたことは歓迎された。健康・疾病観、医療活動論、健康政策論、組織論などが述べられているが、構造的には記述されていない 。

前文第4段落
「日本国憲法は、国民主権と平和的生存権を謳い、基本的人権を人類の多年にわたる自由獲得の成果であり永久に侵すことのできない普遍的権利と定めています。
 私たちは、この憲法の理念を高く掲げ、これまでの歩みをさらに発展させ、すべての人が等しく尊重される社会をめざします。」

なぜ突然日本国憲法に話題が飛んでいくのか。文脈をどう読む?民医連の理念と目的の根拠が日本国憲法にあると説明したかった。「いのちの平等」も、日本国憲法と、それを成立させた人類の歴史の中に根拠を求めている。 現在の状態がそれに反しているはどうかはあえて触れられていない。私たちの目標が、日本国憲法の理念がめざす社会、「すべての人が等しく尊重される社会」だと宣言されている。前文冒頭の「無差別平等の医療と福祉をめざす」という目的が、より大きな目標の一部だということがここで分かる。医療と福祉の分野を担いながら、社会を変えていく大きな運動を民医連は構想しているのである。

しかし、「いのちの平等」、「すべての人がひとしく尊重される」根拠は、法律以前の問題としてとらえなくてならないのではないか?(権利の問題と存在の問題の違い)

*アマルティア・セン「人権を定義づける論理」「人間の安全保障」集英社新書2006
「人権とは、法律問題でなく社会倫理上の問題である。法律は、その実現のための一つの方法、あるいは過程に過ぎない。」「憲法に書いてある」というのは行政との論争には使えても、自分自身を納得させることにならない。最後にそれを考えてみよう。

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