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2010年9月 8日 (水)

なぜ日本の労働者は貧困化していくのか;東アジア共同体についての素人論議

9月1日厚生労働省は2008年分の所得再分配調査を発表した。

「ジニ係数」は再分配前が0.5318となり、調査を始めた1962年の0.3904以来増加する一方で最大となった。

(もちろんジニ係数は1に近づくほど格差が大きくなっていることをあらわす。)

なお再分配後では0.3758で前回2005年分0.3873から若干縮小した。

再分配前の格差拡大は高齢化・単身化・非正規労働の増加を反映していると説明されている。

これに対して再分配後の格差縮小は、年金をもらう人が増えたという自然現象にすぎない。

しかも、再分配後の所得平均額は、前回より32万円も減少している。

こうして見ると日本の下層労働者の貧困化は疑いもないようだ。

だが、なぜ下層労働者の貧困化が進むのだろう。

幾つか考えられる理由はある。

まず思いつくのは、家電や自動車などの世界的な商品の生産形態の変化である。IT化で必要な労働力が少なくなり、失業者・非正規労働者が増え、国内購買力が低下して不況が続いているためではないか?

しかし、世界的な商品は、中国やインドなどいわゆるBRICsで販売数自体は激増しているはずであり、その生産のための必要な労働力が少なくなっているとは言えない。

とすると、より本当らしい理由は、生産拠点のグローバル化で日本国内の単純労働力のみ不要になっているということである。十年くらい前から指摘されている国内経済の空洞化は今でも進行中なのである。

そうして大資本の利益は増え続けているが、その再分配は国内の上層労働者と、海外の生産拠点の労働者のみに回され、国内の下層労働者や農民や高齢者には届かなくなった。1980年代までは、大資本が海外から獲得してきた利潤が彼らにも回されていたのいたのだが、そのパイプが断ち切られたといってよい。

これが日本の下層労働者の貧困化の原因だろう。

下層労働者とは対照的に、国内の上層労働者へは日本の技術的な優位を維持するためには、再分配を潤沢に増やしておく必要がある。法人税を上げれば海外に出て行くぞと国民を脅迫する企業が、結局日本を見捨てない、海外に出ていかないのは、技術力を維持した上層労働者が日本にいるからである。彼らこそが小泉自民党や、管民主党の支持基盤である。

これが国内格差拡大の原因だろう。

では、見捨てられた下層労働者・高齢者・農民はどうすればよいのか。

海外の低賃金労働者への再配分が進み、その賃金が日本の下層労働者賃金と等しくなったとき、また、世界的商品の販売が世界中で飽和して、不況が世界的になったとき、ようやく日本の下層労働者にも弱弱しい日が当たり、ちょろちょろとした再配分が再開するのだろうか。

海外の低賃金労働者の労働運動が強化され、社会保障要求運動が高まることはその日を早くする。そういう意味で国際的な社会保障運動の連帯が重要だ。

しかし、それはあまりにも受け身な、消極的な情勢変化期待論である。もっと積極的な打開策はあるはずである。

大資本に下層労働者・高齢者への再配分を強制していけない理由はない。それがまず第一だ。

国を通じて大資本から税金を徴収し、下層労働者・高齢者・農民に配分する。すなわちそれは利潤第一という資本の論理を否定することであり、資本の論理とは対立する倫理的規範を政治的に強制的に発動することによる他はない。具体的には選挙による国民執権・国民独裁の発揮である。

実は一億人以上の下層労働者・高齢者市場が低購買力のままに据え置かれることもなくなるので、大資本にとっても不利なことばかりではない。そのため国内の再配分が増えるので海外の労働者の収奪がそのため激しくなるということはない。

同時に国に対しては下層労働者・高齢者・農民への過酷な税収奪をやめさせることも必要だ。これは無駄な公共投資を徹底的に削るということである。

しかし、それだけでなく、下層労働者・高齢者・農民が独自に、自分たちの力で日本国内の生産と需要を増やし自己配分を増やすことも考えないといけない。それは協同組合的な生産とサービスが飛躍的に増すことである。それによって大企業的生産を抑制できれば、環境にも好影響がある。

さらにその生産・消費生活形態は、中国や韓国やインドにも普及する可能性がある。協同組合的生産・消費生活的形態が国際的に連帯して初めて、東アジア共同体が歴史的に意義あるものとして本格的な課題として浮上してくるのである。

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