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2010年9月22日 (水)

メモ 新しい民医連綱領の解説 私版 #3

中文:具体的な行動目標を六つ取り上げている。前文と中文の関係は前文は使命(ミッション)、中文は展望(ビジョン)。ミッションはより原則的で長期に通用するもの、ビジョンはそれに基づく中期展望

「一、人権を尊重し、共同のいとなみとしての医療と介護・福祉をすすめ、人びとのいのちと健康を守ります。」

・ ここで人権といっているのは、患者の人権で、その二重性を再確認することが必要である。健康権はまだ新しい概念。「共同のいとなみ」は民医連の理念の中心の一つなのでここで詳しく説明する必要がある

原始時代の研究をしていたヘンリー・ジゲリストによれば、原始時代の医療は生産力と科学・技術の低さのために極めて低い水準であったが、平等を基本として部族全体に関わる集団的な医療であったと述べている。

原始的部族の診断や治療にも費用はかかる。貨幣ではなく、食料や生贄にする動物や儀式に必要なものなどの現物を用意しなければならない。この費用は部族全体で負担しあう。

原始時代には姥捨て現象はよほどの自然的事情がなければ起きないとのことである。

狩猟をしながら移動する部族も病人を一緒に連れていった。

伝染病のために皆がバタバタ倒れるといった止む得ない場合は置き去りにすることもありえたが、通常の場合に老人や病人を社会的に切り捨てることはなかった。

医師と住民の分化はなかった。

②階級社会になって、医師と住民が分化 した。 )東洋的古代社会(王の専制)・・・・王の「侍医」  )ギリシャ的古代社会(支配層の間での民主制) 多数の小国家が頻繁に交流。 比較の中から科学が生まれた。 医師は、貴族のための開業医。奴隷のためには奴隷の医者がいた。)封建時代   階級別に侍医と開業医と僧 侶が医療を担った 。)絶対主義  国力・労働力維持のための政策的医療の始まり。)資本主義医療の商品化(サービスの 売買)→自己決定権 。一方、戦力・労働力維持のための公的医療も求められ            た→社会保障。

医療史の上でも共同の営みは必然的。医療者が存在しない未分化な医療―医療者が出現し、支配者に従属する医療―商品化された私的な医療/医療者と住民との対等な契約関係/ 医療の公共性への意識―ふたたび医療者と住民が一体になった

医療がめざされる=共同のいとなみ

「医療を提供する側」と「医療を受ける側」に分かれた異なる二者間の共同行為にとどまらず、両者が一体になって日本国憲法の実現に努力する。それは、自律、参加、学習という患者の人権思想に支えられている。「共同のいとなみ」→「人権を尊重する共同のいとなみ」と変更する必要がある。

「一、地域・職域の人びとと共に、医療機関、福祉施設などとの連携を強め、安心して住み続けられるまちづくりをすすめます。」

「人権を尊重する共同のいとなみ」が「安心して住み続けられるまちづくり」に拡大していく。・「共同のいとなみ」も患者との共同のいとなみから、地域・職域・共同組織の人たちとの共同のいとなみに発展する。民医連外の事業所とも連携を進める。地域の財産、地域の「宝」と呼ばれるべきは、民医連の事業所だけではなく、地域にあるすべての医療・福祉の事業所が、少なくとも潜在的にはそうなのではないか。その「連帯感」込められている。

まちづくりの課題は、医療・保健に関わらない。 「健康影響評価」の考え方が重要。健康影響評価 HIA Health  Impact Assessment 「健康影響評価」社会保険研究所、2008序文から ・・・「経済、交通、農業、工業、住宅に関する法律や規則など「保健医療政策以外の政策領域」が医療サービスなどの「保健医療政策」そのものよりも、人々の健康にはるかに大きな影響を与えている。」

「新しい福祉国家」①経済システム  ルールある経済社会  ②25条の実現を政府に強制する基本法 「社会保障基本法」 ③国際的なグローバル企業の規制  アジア共通経済圏での労働条件の均等な向上

「一、学問の自由を尊重し、学術・文化の発展に努め、地域とともに歩む人間性豊かな専門職を育成します。」

原爆病、水俣病、公害病、労災、過労死、薬害エイズ、薬害肝炎、基地被害など国家と大企業によって歪められた学問を正してきた民医連の歴史を発展させていく。そのためには生活と労働から疾病を捉える立場から研究を進め、地域住民のために、地域住民とともに歩む専門職を大量に養成していかなければならない。今日もっとも注目される学問は「社会疫学」ではないか?

 

健康の社会的決定要因を探究する学問=社会疫学

WHO関連文献①2003年 WHO欧州地域事務局  「ソリッド・ファクツ」②2008年 WHO 健康の社会的決定要因委員会 「一世代のうちに格差を無くそう」③2010年  「2010年以降のイングランドにおける健康の不平等に対する戦略的考察 「マーモット・レビュー」

ソリッドファクトの中心概念。 人間の健康に一番大切なこと :1自律=労働や私生活のなかで自分で決められる部分がどれだけあるか。2:社会参加=社会や所属組織の政策決定にどれだけ参加できるか。3:サポート=一人ぼっちにされないこと。これらが不十分であるとき、人は健康がそこなわれ、病気になり死亡に至る。上記の3点は、センの主張する「社会発展・幸福の決定要因である潜在能力」に一致する。

社会格差の決定的な意義を強調する学説=「相対所得仮説」 リチャード・ウイルキンソン: 「格差が大きな不平等な社会では社会全体の人々の健康状態が悪化する」 

相対所得仮説の成立する例①キューバ(人口11201959年革命) ②インド・ケララ州(人口3180万人)1957年に世界初の普通選挙を通じたインド共産党(マルクス主義)州政権(インド初の非国民会議派政権)が発足して以来、ほとんどの期間で共産党が第一党で、現在も共産党が州政府の与党である。識字率はほぼ100%に達し、幼児死亡率も先進国並に届き、アマルティア・から絶賛されているGNP380ドル。乳児死亡率は11人  (インド平均60 アメリカ5.7)、平均寿命も69歳と74歳。(インド平均は58歳と59.6歳。)

相対的所得仮説の結論:平等でなければ健康になれない。人間は平等な社会を作るように進化してきた。

「一、科学的で民主的な管理運営を貫き、事業所を守り、医療、介護、福祉従事者の生活の向上と権利の確立をめざします。」

事業体の管理運営には科学と民主主義が欠かせない。民医連の統一会計基準、MBO、TQCの導入など。山梨や北九州など我流で失敗した。・「職員」だけではなく「医療、介護、福祉従事者の生活と権利」向上をめざしている点も重要。

「一、国と企業の責任を明確にし、権利としての社会保障の実現のためにたたかいます。 」

生存権から健康権への発展を民医連は展望している 。憲法25条の歴史については渡辺治「憲法9条と25条・その力と可能性」かもがわ出版2009が最適。健康権への発展について井上英夫(金沢大学):「健康で文化的な生活」と明記してあるのだから『生存権』と呼ばず、『健康権』と呼ぶべきだ。」 「『健康権』と呼ぶことで、保障するものが生存の最低限度でなく、『到達可能な最高水準の健康』ということが明確になる。」「健康については最高水準を保障することが国家の最低限度の義務だ」

世界人権宣言1948と国際人権規約1976 経済的社会的文化的権利に関する規約121

 「この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体および精神の健康を享受する権利を有することを認める」健康には最高水準の保障しか目標はなく、

最低限度の保障は考えられない。

「一、人類の生命と健康を破壊する一切の戦争政策に反対し、核兵器をなくし、平和と環境を守ります。」

 いわゆる「民主団体」の枠を超えた幅広いつながりが必要。典型は「九条の会」。国際的な協力は不可欠。民医連の仲間は世界中にいる。韓国、アメリカ、ブラジル、フランス、キューバ・・・。 共同組織は「共同の営み」の同志

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