国立新美術館「オルセー美術館展2010」に行った
6月12日・13日はアスベスト被害問題をテーマにした交流集会に出席した。交流自体は和やかな雰囲気で進んだが、自分の病院に来る患者の中でどうしたらアスベスト関連疾患を見逃さないようにできるかとか、弁護士が牽引している訴訟で、生きの良い若い弁護士がどんなに頑張っているかというような話を聞かされて、僕としては軽い違和感を持った。
この3年間、山口県の主要都市全部で、小規模なものではあったが、アスベスト被害に関する啓蒙的な講演会と、それにセットとなった相談会を開いてきたので、病院の中で患者を発見しようとか、弁護士がいなくては前に進まぬと言われても、「それは違う」と思ってしまう。
それはそれとして、薄曇りの日曜日の午後、国立新美術館に行ってみることにした。目的は「オルセー美術館展2010」である。前回の「オルセー」は国立西洋美術館でやっていたのだが、今回は場所を変えたようだ。
新お茶の水から地下鉄千代田線で乃木坂まで10分くらいで着いてしまう。連絡通路で、入場券を売っている老人2人組がいるので購入。「よし、あと、1枚!」と喜ばれた。老人にバックマージンがある販売方式があるのだろう。
さて、展示場内は人でいっぱいである。しかも120点くらい展示されている。僕も飛行機の時間があるので、1時間半程度しか滞在できない。これはもう一回来るしかないなと決めて、何がどこにあるかだけを頭に入れて帰ることにした。
到底ゆっくりは鑑賞できない中で、ゴッホの「星降る夜」だけは胸に沁み入ってきた。北斗七星が大きく描きこまれた夜空と、川と、街の灯。もうすぐ死んでしまうゴッホをほんの一瞬とらえた希望と幸福感の前で泣きたくなった。
最近、泣きたくなることが多いのはまったく加齢によるとしか言いようがない。
さて、ここから羽田に行くには、乃木坂駅とは反対方向に美術館を出て、六本木駅を見つけて、都営大江戸線に乗って大門(浜松町)に行けばいいのだが、六本木駅までかなり距離がある上に、大門駅からモノレールまでも相当距離がある。
もちろん、羽田の中でも山口宇部行きはターミナルの本当に端っこ、まさにターミナル中のターミナルなので、さらに相当歩かなければならない。したがって、飛行機に乗る頃には、美術館で見たものの大半は忘れてしまっているのである。
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