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2010年5月 5日 (水)

大逆事件から100年

当直明けに気軽に読む本はないかと考えて、石川啄木「時代閉塞の現状 食うべき詩 他十篇」岩波文庫、1978を本棚から取り出して眺めていると「A LETTER FROM PRISON」にぶつかった。

大逆事件にあたって幸徳秋水の3人の弁護士の一人となった花井卓蔵と偶然に歌仲間だった啄木が、花井から幸徳の陳弁書を借り受けて筆写し、注釈を付けたものである。

幸徳秋水の革命論といってよい。

大逆事件は、明治天皇の暗殺を企てたとして、幸徳秋水、菅野スガら12人を絞首刑にした、近代日本史上最大のでっち上げ事件である。それは、今からちょうど100年前の1910年5月、長野県の機械工 宮下太吉の逮捕から始まった。

考えてみれば、今月は日本近代史上の特異な記念月の一つなのである。

(もちろん2010年全体として朝鮮植民地化という大事件を忘れてはならないが)

その記念すべき2010年5月も一つの危機のように私には思える。

普天間基地返還をめぐって、世論は大きく亀裂を生じた。

片方は沖縄を先頭にして外国軍事基地の撤廃自体を正面視して論じ始めた。

他方は、これにうろたえて、尖閣諸島を中国軍が占領する、韓国の哨戒艇を沈没させたキム・ジョンイルがさらなる軍事作戦の相談に北京に行ったなどというデマ(石破は全くのデマでしかないことをもっともらしく語ることの名人だが)をふりまかざるをえなくなっている。

今は左右から鳩山首相一人を批判していれば済む。外国軍事基地が国内にあることの無理に国民の関心をかきたてながら、それを解消できる好機に立つと「海兵隊には抑止力がある」などと言って逃げ惑う滑稽な男を嘲笑していれば、格好の酒の肴にもなるのである。

だが、日米安保をめぐる対立は1960年よりさらに明瞭になっている。あれから50年たって(そういう意味でも2010年はメモリアル・イヤーなおのだ)日米安保は解消かどうかという大きな岐路に立っている。見える人にはそれが見える。

1960年には「全学連主流派」など警察から金をもらって挑発役に回る連中がいた。

いまもどこかにそういう類がいないとは誰が言えるだろう。私が警戒するのはそのことである。

100年目の大逆事件、大フレームアップが必ず計画されているのを予感しないではいられない。

それを感じられないようでは、啄木を歴史上に持った意味がないのではないか?

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