当直の夜に リッツォス―テオドラキス―ムスクーリの「エピタ」を聴く
当直の夜に、偶然に、ギリシャの詩人ヤニス・リッツォスの詩にミキス・テオドラキスが曲をつけ、ナナ・ムスクーリが歌う「エピタ」を聴いた。死んだ息子を思う母親の歌。
原題はmera magiouというらしい。輝く5月という意味だろうか。
http://www.youtube.com/watch?v=AtDsRWXoTQs
http://www.youtube.com/watch?v=C5Vf-tyFW-U&NR=1
ヤニス・リッツォスの詩集は、精神科医の中井久夫さんが訳した「括弧」みすず書房、1991しかもっていないが、この歌にあまりに心を動かされたので、もしかすると思って本棚に行き、訳詩を探してみた。
もちろん、それに相当する詩をみつけることはできなかったのだが、同書の143ページにある「リッツォス略伝」の中に関連する記事を見つけた。
151ページ「第三詩集『エピタフィオス』は劇的な成立事情がある。1936年8月5日、東部の都市テッサロニキに起こったタバコ工場の争議を契機に・・・(中略)・・・軍と警察に鎮圧を指示した。このとき、アテネにいた詩人はテッサロニキの大通りの真ん中の死者にひざまずく母親の写真を新聞で見て、その母に代わって死者を悼む詩を二昼夜で書き上げた。詩集は1万部を捌いた。メタクサス独裁政権はこの詩集を焚書に処した」
日本で言えば、武満 徹が作曲して、谷川俊太郎が作詞し、森山良子が歌う「死んだ男」に相当するだろうか。
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