東京都美術館「ボルゲーゼ美術館展」と近藤 克則「『健康格差社会』を生き抜く」朝日新書2010
今期の東京での最後の理事会を終えると、帰りの飛行機まで4時間あったので、上野のほうに足を向けた。本当は岩波ホールで映画「カチンの森」を見ようと思っていたのだが、これに間に合うには会議が延長されすぎた。それにアンジェイ・ワイダが無意味に反共的になっている予感がしたのであまり惜しい気はしなかった。
上野公園のほうは何もない感じ、あるのは散発的にやっている大道芸だけ、という中で東京都美術館が大規模改修までの最後に企画したという上記に行ってみることにした。ちょうどオープンの日だった。
ボルゲーゼ美術館というのはボルゲーゼ家という貴族のローマの北東部にある広大な屋敷にあるコレクションである。ラファエロの「一角獣(の風体をしている犬)を抱く貴婦人」が今回の目玉だが、「最初の近代画家」カラヴァッジョが1点来ている。
加藤周一さんがカラヴァッジョ―レンブラント―フェルメールという系譜があると述べているが、確かに暗闇に強烈な光が差し込んである劇的な人物を照らし出すという描き方はそれを納得させるものがある。
全体としては、16世紀ごろのイタリアの優雅さというより猥雑さを強く感じながら見終わった。
空港ー飛行機の中では、昼に買った近藤 克則「『健康格差社会』を生き抜く」朝日新書2010を読み終える。ウイルキンソン「格差社会の衝撃」2009などと比べると何となく平板な感じがするのは①新書という出版形式②あわただしい私の読書態度③近藤氏のもともとの性格 などによると思える。この本については機会を改めて、読書ノートを残しておこうと思う。
飛行機からは、夕方の南アルプス、駒ケ岳、御岳の冠雪した姿を全く邪魔されることなくずっと眺望することができた。翌日は憲法25条を主題にした学習会の講師を引き受けていたが、そのこともすっかり忘れていたのだった。
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