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2009年12月 9日 (水)

胃内視鏡検査の自己負担額

胃内視鏡の検査に1977年から携わっている。

当時は、さすがに盲目的な胃カメラではなくすでにファイバースコープの時代になっていた。とはいっても、挿入経路が見える直視鏡でなく、食道は盲目的に通過して、胃の中に入って空気を1Lも入れて観察を始める側視鏡が主流だった。

細いスコープで病変を見つけると、より太いスコープに変えて生検をしていたのであるが、もちろん後者の方が画像が良かった。そのため、生検直前になって病変が胃静脈瘤とわかって背筋が冷たくなることが結構あった。そのまま検査してしまうと大出血し、死亡することもあったはずである。

そのように長く検査に携わってはいるが、ずっと小さな病院で特に専門性もなく働いてきたので、経験件数はそう多くはない。2万件くらいにしかならない。

しかし、自分自身が胃内視鏡検査を受ける機会はこれまでなかった。今日思い立って、大学からパートで来ている消化器内科の助教の医師に頼んで検査を受けてみた。予約外来の2人分を空白にして、すなわち10分間を自分のために使わせてもらったわけである。

あまり苦しそうにするのは恥だと思っていたが、恐怖感がないためか、医師が上手であったためか、全く苦痛なく検査は終わった。生まれて一度も煙草を吸ったことがないせいか、びらんも萎縮もないまるで中学生の胃の検査をした時にみるような胃粘膜だった。最近の上腹部の不快感は別の理由によるようだった。小さな粘膜下腫瘍があったので1か所生検した。

きっちり10分間で検査を終え、外来診察に復帰した。のどの麻酔のせいで声が出にくく,唾液も呑み込みにくかったので、むしろその方が苦痛だった。

貴重な患者体験だと思ったが、もう一つ貴重な経験が待っていた。支払いをしようとすると8970円請求された。検査が5082円、病理診断が3078円、初・再診料が810円である。もちろん医療技術料はそれでも安すぎると思ったが、患者負担はやはり高い。アメリカと日本が患者負担が世界一高い国だというのが実感される。

年に一度は胃内視鏡を受けておきましょうと3割負担の人に気安く言えなくなっている自分に気付いた。

消化器病専門医と病院パンフレットに書きながら胃内視鏡を初めて受けるというのも、分かり切った患者負担に驚くというのも、あまりに稚拙で恥ずかしい話だが、私よりものを知らないごく少数の人のためにここに記録しておくことにした。

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