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2009年12月28日 (月)

12月27日 防府の年末相談テント村に参加

防府市は人口11万の小都市ながら、自動車のマツダの大工場があり、昨年来、派遣切りにより寮を追い出される労働者が多数発生し問題となった地域である。

今年もその状態が続いているとみられることから、12月27日、私たち山口の「民主勢力」にとってはそれなりに大規模な相談会を開いた。

どの程度宣伝が行き届いて相談者が来るかが心配だったが、11時から15時まで、切れ目なく20人くらいの人の健康相談を引き受けた。

こういう相談に応じるには日頃からの訓練が大切だ。以前、ある医師団体で介護保険の相談会を開いたが、行政の対応に不満をもって相談している人に、「市役所に行って事情を話したらいいんですよ」一つで押し通していた先輩医師には不満を持ったものだ。

今日はケースワーカーとの2人3脚であることだし、じん肺や産業医の問診で鍛えた生活歴・作業歴の聞き出し方のコツも身に着いている。十分な相談活動ができるだろう。

だが、実際に応じてみると、事態は私の想像をかなり超えている。

詳細をここに書くわけには行かないが、即日入院が必要という人もいた。

一人、印象的な人のことを記録しておこう。

会場で測った血糖が300を超えているということで医師との相談を勧められた40歳代男性。

「先生、これまでになく追い詰められた状態だよ、もうぎりぎりだ。しかし考えてみるとすべて俺が悪いんだ」という男性に「どうしてそう思うんだ」と聞くと「そうじゃないのか?」と聞き返される。「そう思わされているだけだよ」「いや、やっぱり俺のせいだ」と言い合って、次にどう展開するかと思っているとき、弁護士の内山君が別室からやってきて生活保護申請の打ち合わせをしようと声をかけてくれる。

「生活保護が取れれば、治療もできるし、何とかなるよ」というと「生活保護だけは本当はいやだ」とつぶやくのが聞こえる。「当然の権利だよ」とかぶせると、彼はサングラスをかけなおして会話を打ち切った。サングラスの奥からじっと私を見ている。本当に他人の苦境を理解できるやつかどうか値踏みをするようだった。

このあたりのやり取りは我ながら生兵法に近いレベルだと自覚せざるをえない。

「これだけ生活上のストレスがかかると糖尿病が悪化するのも当然だ。
糖尿病の治療はそう急がない。生活保護が取れた後でいい。
しかし、ペットボトル症候群になって昏睡状態にならないために、のどの渇きを清涼飲料水で潤すということだけは絶対にやめるように」
というのが、その時私ができた唯一の指導である。

*余談 この企画の報道について、翌日の朝日新聞は「看護師たちが医療相談」(!)という記事になっていた。さすがにしんぶん赤旗は「医師、歯科医師、看護師たちが医療相談」と書いていた。朝日は碌ろく取材をせずに主催者からもらった安易な資料で記事を書いているのがよくわかった。

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