テレビ金沢「笑って死ねる病院」ワニブックスPLUS新書2009
徳島への日帰りの途中、いつ立ち寄っても何かしら役に立つ本を見つけてしまう岡山駅新幹線構内の本屋さんで買った。2009年10月25日の奥付だが、もう店頭に並んでいる。
誕生して間もないローカルTV局による石川民医連のルポ。どんな状態になっても、患者のQOLのために全力を尽くす310床の中小病院の奮闘が、ある意味、初々しく綴られている。
副院長の柳沢深志君がかっこよく描かれている。
私自身は、人生の終わりだけが医療側の自己満足的な通俗な善意で飾り立てられていくというのはまっぴらだし、映画「おくりびと」にもそんなところを感じて途中で白けてしまったのだが、柳沢君は「良い生き方が、良い死に方につながる」という意味のことを語っている(手元に本がないので、不正確な引用)。
よく読むと、余命1週間という人が「お出かけ」で元気になって、その後何度も「お出かけ」している。「お出かけ」は人生の最後を飾っているのではなく(結局そうなることもあるのだろうが)、実際には、最後まで生き抜くための立派な治療手段になっているのである。
そこのところを強調しないと、感傷に傾くのだが、そのための描写はやや淡白すぎるようである。ある「お出かけ」が2度目、3度目の「お出かけ」につながる部分は、病院職員自体が述べるところなのかもしれない。
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