宿題に埋もれている夏 それでも「現代思想 7月臨時増刊 加藤周一」は読んでみる
この年齢になって、宿題に追われるとは思いもよらなかった。
「中小病院総合医の力量向上」 「慢性疾患医療の前進のために」 「臓器移植を前提とせず、脳死を人の死とすることの是非」 「病院内での自殺予防対策」 「若い医療職員が患者の戦争体験を継承するために・・・ こうの史代の漫画から学ぶ」
などという相互にほとんど脈絡のないものを次つぎ書き飛ばし、ついでに「過敏性腸管症候群にどう向かい合うか」という一般向けの話まで準備している。
各地で頻発する水害や地震が気になっていたのと、宿題を片付けることで手いっぱいになって、このブログの更新もままならなかった。
それなりに面白そうな本も買ったのだが、ほとんど読むことができなかった。
今日、ようやく「現代思想 7月臨時増刊 加藤周一」を手に取った。竹内 好と加藤周一の相互批評がとても面白い。加藤を「秀才」と切りすてた竹内の認識が変化していくところ、竹内のヨーロッパ対アジア観に、ヨーロッパをよく知らないための混乱があることの加藤の鋭い指摘。
また林達夫と加藤周一を対比した鷲巣 力氏の文章が、加藤周一の物まねのように見えるところもきっと本人は気づいていないだろう。「しかし、ロシア語のラジオ講座を聞くことと、ドストィエフスキーをロシア語で読むこととは大きな隔たりがあるだろう」という言い回しなどはその典型である。
それから、この雑誌の132-133頁には加藤氏の手書きのノートが印刷されている。そうなのか、こんなに勉強していたのかとため息が出る思いである。
というわけで、私も本業のことを思い出して、今入院中の食道がん末期の老人になお何ができるか、地道に文献にあたろうかという気持ちにされたのであった。
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