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2009年6月 3日 (水)

岩国基地、谷口尭男先生、 毎日新聞山口県東部版記事

2年前もらった資料を取り出してめくりながら「あ、なんだ!」と私は叫んでしまった。断片の集まりかと思っていたそれは、裁判の証拠として提出された完璧な報告書だった。コピーが不ぞろいで、順番もばらばらだったので、何をもらったかわからないまま本棚にしまっていたのだ。さっそく、人に頼んで、順番を追いサイズをそろえてコピーし、パンフレット形式に作りなおしてもらった。夕方、それが届き、読み始めると、騒音調査の方法は見事に整理されていて、明日からでも始めることができるようだった。

米国海軍厚木基地から多数の空母艦載機を海兵隊岩国基地に移転させるのは、海軍と海兵隊を統合し、岩国基地を対中国,対アジア戦略の中心にしようとする米軍再編の大掛かりな計画の一環である。その策動は日本全体をより深く米国の危険な戦争計画に関わらせるもので、私としては絶対反対せざるをえない。

米軍基地があることで岩国の住民がどれだけ健康被害をこうむっているか明らかにすることが、医療従事者としての私にできる有効な反対運動ではないかと考えたので、先行する研究があるかどうか調べてみた。

大田県政時代の沖縄で嘉手納基地の騒音による住民の健康被害を調査した記録がネット上で見つかった。しかし、これは沖縄県が企画し京都大学の医師が20人近く関わって行われた大掛かりなもので、今の私には手の届かないものだった。

民医連関連で調べてもらうと、石川県の自衛隊小松基地の騒音訴訟のなかで谷口尭男先生が行った調査があった。そして、それだけが私に利用できる先行調査のようだった。

谷口先生とは広島の集会でお会いした。80歳を超えた痩身の先生は、資料の束を私に手渡しながら、

「これを読めば大体分かると思います。分からなかったらH君に聞いてください。彼は本格的な疫学の専門家ですから」

と言われた。H君は私より2年ぐらい後輩になるがよく知っている。その資料は、しかし一見してどう使ってよいか分からず、しばらく私の本棚に眠ることになる。

谷口先生はその翌年、すなわち昨年亡くなられた。結局、生前にはいただいた資料を生かしきれなかった。

今年になって、岩国基地周辺の住民が米軍戦闘機の爆音被害の補償を求めて訴訟を起こした。今こそ爆音による健康被害を調査しなくてはと思い立ち、5月31日日曜日に仲間数人と岩国に出かけた。岩国では共産党の県会議員の久米さんに騒音が激しい地域の案内を頼んだ。変哲のない住宅地だったが、アンケートをとって回る範囲の広さなどのイメージは掴むことができた。

「どういう調査をするんですか」

「具体的な方法は今から勉強するのだけど、米軍基地があること自体が地域住民に複雑な悪影響を与えているのが浮かび上がるはずだ、と思っているのですが」

「そういわれるのは、岩国に住むものとしてはいやだなぁ。岩国に住むだけで人間として劣っていると言われているようで」

「確かにねぇ。住民の財産価値も下がるような気がしますよね。そうか、そういう提案では受けいれられないのか・・・」

米軍基地の写真を撮りながら、そういう会話を交わしていると、すっと一台のパトカーが寄ってきてこちらを窺っている。もう、どこからか通報が行ったらしい。その日はそれで終わった。

そして、今日、ようやく谷口先生の資料をもう一回見てみようと思って取り出したのだ。

いっぺんに気が軽くなった。ともかく方法は分かった。後は一緒に行動してくれる人を見つけるだけだ。

深夜、いつものように自転車を漕いで坂道を上がっていると「ようやく分かったのかね」と言う谷口先生が隣にいる気がした。

*ところで、この基地見学は、案内いただいた久米さんにとっても驚くような米軍の無法振りを発見する機会だったようだ。

詳細は、彼のブログに。http://kume.exblog.jp/m2009-06-01/

新聞のローカル記事でも。

在日米軍再編:岩国基地滑走路沖合移設 中国四国防衛局、無断でフェンス設置 /山口
 ◇県「法律違反」と撤去要請
 米軍岩国基地(岩国市)の滑走路沖合移設工事で、中国四国防衛局が県との事前協議なしに、市道などのある護岸堤防にフェンスを設置したことが2日、分かった。県は「海岸法に違反する」として防衛局にフェンスの撤去を口頭で要請した。

 久米慶典県議(共産)が5月31日に、現基地と沖合移設工事現場の間にある堤防上の市道をふさぐ形でフェンスが設置され、市道が通行できなくなっているのを発見。県岩国土木事務所が現地を確認した。

 県河川課によると、現地は海岸保全区域で県が管理している。海岸法では工作物を設置する場合、県と事前協議をして同意を得ることが必要。だが、防衛局は設置後の2日に協議を申し出ていた。

 市道は市の旧し尿処理場への進入路。沖合移設工事で旧し尿処理場は移転し、跡地は国へ無償譲渡される予定。4日開会の市議会に譲渡の議決を求める議案が提案されることになっている。

 久米県議によると、当初は「米軍・区域施設」「無断立ち入りは日本の法律で処罰されます」と標識まで設置されていたという。久米県議は「県と協議をしなかったうえ、本来は日米合同委員会の合意で定められる米軍提供施設の取り扱いをした。一方的に市民を締め出すとは、法律無視もはなはだしい」と指摘している。

 これに対して、中国四国防衛局は「施工業者が指示のないうちに設置してしまった。まことに遺憾。再発防止に努める」とし、3日にフェンスを撤去する。【大山典男】

〔山口東版〕

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