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2009年4月15日 (水)

「万人は一人のために」一人の患者を地域の医療機関が連携し一体で支える・・・雑誌「病院」医学書院 09年4月号

少し前に書いた聖隷浜松病院の勝原裕美子さんの論文があったので雑誌「病院」4月号を読み始めたのだが、その論文自体は少し期待はずれだった。当たり前すぎる。

それより、注目したのが「MSW中心の医療連携モデル構築」という大阪府の北摂総合病院(217床)の記事である。たった200床の病院に7人のMSWがいて、彼らは全員地域連携室に所属している。

この地域連携室のミッションは「質の高い連携によりヘルスケアネットワークを構築すること」であり、ビジョンは「そのヘルスケアネットワークにより、地域へ安心と満足を提供すること」である。
ミッションやビジョンはこのように鮮やかに語られなければならない。

地域医療の原点を考えると「院内的には患者のケースマネージメントを行い、同時に院外的には地域医療全体のマネージメントを行う必要があった」としている。「地域でのあるべき医療提供の姿を具現化するための鍵がMSW中心の地域医療連携室設置だったと振り返られている。
所属はあくまで院内だが、院外がよく見えていることが伝わるので、転院の話をしても患者さんが見放された気持ちにならない」とも書かれている。

当のMSWの手記も載っていて「病診連携、地域連携」という言葉が浸透しなかったため「医師以外のものが病院の代表窓口となり対応することに中傷、批判、理不尽な言葉などが当初はあった」と語っている。「MSWの仕事と地域連携の仕事を分離したらいいのではないかという話はその後も絶えず提案されるが、自分たちの中ではその二つが一体のものになっている」
まさに「万人は一人のため」という言葉を地で行くように、一人の患者を地域の医療機関が連携し一体で支えることを患者自身に理解してもらえるところまできたのである。 

まさに、ここに私がめざしてきた地域連携のモデルがあるような気がした。実は全日本民医連の今年の学運交へのエントリーに、まさにこのような地域連携室をめざしていることを今後の展望として記したのだが、すでにそこに達している病院は、民医連外に存在したのである。

ただし、私の発想は、一病院の地域連携室だけがその機能を担うのでなく、地域の全病院の地域連携室を網羅するネットワークが全体として一つの地域連携室のように機能するというものであるという点で、やはり、一民間病院の北攝病院の発想を凌駕しているとも思う。それは、存在の目的そのものが、自分たちの病院を離れて、地域医療の民主的形成を目めざす民医連からでなければ発想しえないものだと思う。

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