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2009年2月15日 (日)

医療費の総枠増について語らず、専門医集団のみで医師養成について論じる愚かしさ・・・山口県医師会勤務医部会総会に参加して

2月15日上記の企画があった。面倒な宿題を二つ三つ抱えていながら、山口県の医師体制強化というテーマはほっとけなかったので、朝早くから出発した。

山口県の医師年齢構成は危機的なことになっている。若手の医師がどんどん減っていき、この場で聞いたところによると、5歳刻みで医師の最多年齢層を見ると4年間で一枠、すなわち5歳上昇している。老ー老介護ならぬ、老ー老医療である。これでは救急医療が崩壊寸前になるのは無理もない。若い医師が働きたくなる山口県の医療体制を構想することは急務である。

しかし、問題は、これを論じるメンバーとして壇上に上がる人たちが、山口大学の教授だったり、県内有数の基幹病院の院長たちだということである。確かに彼らは、医師の出世競争の勝ち組みかもしれないが、結局は専門家集団に過ぎない。

そして、彼らは、問題の本質が、新自由主義政策による25年以上の医療費抑制政策にあることにはわずかでも触れようとしない。

少なくともOECD平均なみに、医療にかける公費支出を1.5倍に増やし、医師の総数を1.5倍にし、その構成を国民の本当の需要に変化させることこそが求められているのである。

私が思うに、今必要なのは、クリニックや中小病院で働く総合医である。おそらく、ここに医師の半数以上を投入しないといけない。そしてこの層のレベルが、日本の医療レベルを基本的なところで規定するのである。

しかし、現実はどうか?

医療費や、医師数は周知のこととして、クリニックはかっての専門医の、内部競争の負け組みで占められており、中小病院の医療は高齢者医療の大半を担いながら無視され、病院勤務医といえば、専門医、およびその養成過程にある医師で代表させている。

大病院が担う救急医療はこの状況の中で悲惨というしかない。夜間の救急医療は総合医療であるが、それが、ERもない大病院に任される。専門医志向の強い彼らに担いうるものではない。そこで「今日の当直は専門の科目が違う」ということを口実に救急車の依頼を断ってしまう。対外的には、専門医の呼び出し(オン・コール)体制で救急に臨んでいると言明するが、実態は全く違う。そこで彼らが持ち出す理屈は、不必要な救急車利用が多いという話である。挙句の果てに、市長に、軽症患者の救急車利用を有料化すべきだという提案をする。自らの足らざる点を、方向の違った主張で糊塗しているとしか言いようがない。

そもそも、極端に専門分化した大学教員集団が医学生教育を独占していること自体がおかしいのである。国民の生活に直接日々触れることのない大学教員や、基幹病院の院長が医師養成を語ることにどういう意味があるのだろう?

そういうことを考えながら、バスとJRを乗りついで、苦労しながら山口から宇部に帰ってきたのである。

早春の宇部線は沿線のあちこちに梅が咲いていて、それだけが、この企画に参加してこころなごませられるものだった。

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コメント

>そして、彼らは、問題の本質が、新自由主義政策による25年以上の医療費抑制政策にあることにはわずかでも触れようとしない。

同感です。
山口は遠いけど、東北も同様です。
彼ら上層部が気づいても、もう手遅れでしょう
子どもを大事にしない国日本の人口構成が極端に歪んだようにね

投稿: 元外科医 | 2009年2月16日 (月) 23時00分

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