« 「考える技術   臨床的思考を分析する」竹本 毅訳 日経BP社、2007 | トップページ | 麻生発言「何も努力していない人の医療費をなぜ自分が払う」とマイケル・マーモット「ステータス症候群」日本評論社、2007 »

2008年11月27日 (木)

田母神事件とは何だったか・・・本田 宏講演会・山口大学工学部 牧野先生の話・佐藤正久議員の動き・池口恵観氏のこと

11月24日の山口県保険医協会主催の本田 宏先生講演会は予想外の大成功に終わった。地元の山口病院のみなさんの協力のおかげだが、300人の会場がぎっしり埋まっていた。終会の挨拶をした私もつい「これほど集まってもらえるとは思わなかった」と本音を言ってしまった。

気になったのは、会場までの送り迎えの際に感じた本田先生の疲労ぶりである。「医療崩壊に立ち向かう医師の運動は行き詰っている」という彼の深い焦燥感、あるいは徒労感が伝わってきた。会場が聴衆でいっぱいになることが政治の変化に結びつくのには、長い長い時間が必要になるのだが、その間の運動を担う人間の生活を残酷な形で消耗させるのである。

その話はさておいて、本田先生は「田母神さんは、訛りが私と同じ福島県の郡山弁なので、調べてみると高校の先輩だったのですよ。申し訳ありません!!」と言っていた。同郷だからといって別に謝るべきことではないが、田母神事件の意味は私もしっかり語らなくては思った。

11月26日、山口民医連の理事会では「宇部学」の一環として、山口大学工学部数学の牧野教授から、「九条の会・宇部」の現状を聞く機会を持った。ここでも、田母神事件からの衝撃が語られた。

私の印象では、田母神事件の本質は、暴力装置である自衛隊が、公務員の集合体であるという仮面を公然と脱ぎ捨て、国家機構それ自体がそのまま改憲運動団体になっているという実態を示してみせたことである。そして「場合によっては改憲のために実力を行使するぞ」と国民を脅迫したことだと思える。

自衛隊が自ら政治権力を握ろうとしていることの象徴は、佐藤正久氏である。マスクも良い「ひげの隊長」としてある程度の国民的人気もある彼は、自衛隊が初めて国会に送り込んだ現役幹部である(もちろん、選挙直前に形式的に退職はしていたが)。

彼の時局講話を聞くことが自営隊の教育のなかで義務化されていることからみても、実態は自衛隊から国会に派遣されている議員といっていいだろう。その点は、退職後相当期間を経て議員になった源田実氏(彼は私と同郷である)とはまったく質が違う存在である。

そこで彼の公式サイトを見てみることにしよう→

http://east.tegelog.jp/?blogid=24?catid=164&itemid=1982

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その中の一つの記事:

「改革」を後戻りさせるな!
11月16日付の高知新聞の記事を読んで、正直驚いている。「いつか来た道、歩き始めた」とする題の文章であり、また「反自衛隊」の立場の学者さんが書いた文章だと思ったのだが。
執筆されたのは、昭和58年から60年の間、防衛事務次官、その後、防衛大学校長を務められた夏目晴雄さん。今回の田母神論文事案に対するお考えが出ていた。
それによれば<ここ10年ほど、制服組の動きがおかしいな、台頭が著しいなと思ってきたが、それを象徴するように、田母神俊雄前空幕長の論文が問題になった。背景には、(中略)制服組が思い上がりとも思える自信過剰になってきたことがある>
<その結果、「政治将校」と言われるように、各幕僚監部の幹部らが堂々と政治家と直接接触するようになり、参事官制度の廃止、内局運用企画局の統合幕僚監部への統合へという流れができてしまった>そして<今、いつか来た道を歩き出したのではないか、との不安をぬぐえない>と結んでいる。

・・・(中略)・・・
(これは)穿った見方をすれば、自衛官の地位向上を許せない左翼勢力と、「改革」を逆行させたい勢力(*背広組・・・野田)が、今回の田母神論文事案を「奇貨」として「同床異夢」の協同作戦として、これらの論調を振りまいているのでは、と思えて来る。
すでに現役を退かれてはいるが、背広組の大物OB・・(中略)の「やはり制服組は抑えておかねば」のお考えが、防衛大学校長時代の「教育」に反映されていたとすれば、これもまた問題であるのではないだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうだろうか。防衛省背広組OBのローカル新聞での気に入らない発言に対して、制服組直接派遣の議員として激しい言論統制をしているとしか思えないのではないだろうか。

自衛隊が改憲のための実力行使を考えていることに警戒を怠ってはいけない。とくに、政権交代が現実化して、場合によっては共産党がキャスチングボートを握り、民主党が保守政党の枠組みを外れるかもしれない、という情勢は彼らにとっても非常時なのである。

こういう時、私が憂慮するのは、そういう自衛隊を肯定する勢力や仕掛けが、権力側の隅々に配されているということである。

たとえば、鹿児島に寺院を持つ池口恵観氏。彼はかって破防法が適用され、自衛隊の関与も明らかだったクーデター計画(三無事件)で逮捕され、現在も安倍普三や鳩山邦夫と結びつき、右翼の集会で挨拶もしている。しかし、どういう経緯なのか、僧侶の肩書きで、山口大学ほか多くの大学で非常勤講師として生命倫理を講義し、学位も授与されているのである。(彼の学位取得の経過すなわちどういう論文でどういう審査経過だったのか自体を誰か調べてみるとよいと思う)

九条の会は、安倍改憲を挫いたことくらいで油断してはならない。戦争志向の改憲派はそれに学んで、より大掛かりな準備を進めているのである。

|

« 「考える技術   臨床的思考を分析する」竹本 毅訳 日経BP社、2007 | トップページ | 麻生発言「何も努力していない人の医療費をなぜ自分が払う」とマイケル・マーモット「ステータス症候群」日本評論社、2007 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 田母神事件とは何だったか・・・本田 宏講演会・山口大学工学部 牧野先生の話・佐藤正久議員の動き・池口恵観氏のこと:

« 「考える技術   臨床的思考を分析する」竹本 毅訳 日経BP社、2007 | トップページ | 麻生発言「何も努力していない人の医療費をなぜ自分が払う」とマイケル・マーモット「ステータス症候群」日本評論社、2007 »