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2008年7月28日 (月)

共産党・志位委員長の講演

日本共産党創立86周年記念講演会が7月22日にあり、そこでの志位委員長の講演の記録をしんぶん「赤旗」で読んだ。

私はこの講演では二つのことに注目させられた。

① 一つは志位委員長の人物像である。

この講演の3週間前、彼はキャノン長浜工場(滋賀県)を訪れている。それは2月に国会で、キャノンの違法な派遣労働導入による巨額の利益追求を国会で指摘したことのフォローのためである。

そこで彼は派遣労働者のみじめな寮を目の当たりする。とても人間が住むものとは思えないような建物には、派遣会社の経営している売店がくっついており、そこの品物が随分高い値段に設定されていることも発見する。

工場ではキャノンの専務に会い、「偽装請負などの数々数の違法行為をどう考えているか」ときき、「おおいに反省している、相当懲りた」という謝罪を引き出した。

その結果キャノンは派遣労働をやめて、直接雇用にするという。それは前進である。しかし、それは最長3年足らずの期限が定まった雇用であり、正社員への雇用ではない、ここは問題だと彼は講演で指摘している。

まず、このような直接的な行動力が彼の何よりの取り柄に見える。

ついで、私が驚いたのは、2006年の赤旗祭りで不破哲三さんが「ソ連崩壊が実際にに世界にもたらしたものは、歓迎声明を出した私たちの予想をはるかに超えるものがあった」と講演したのを聴いて「私は、目かうろこが落ちる思いだった」と彼が語っているところである。

そんなに率直にものが言えるものだろうか。共産党の委員長が「赤旗まつり」の一般向け講演を聴いて「目からうろこが落ちた」のである。不破さんの演説が随分力が入ったものだとしてもである。

これは、大略「ベネズェラ大使から大統領が書いた『ベネズェラ革命』という本をもらっておいたのを寝床のそばにしばらく放り投げておいた、あるとき眠れないのでたまたま読んでみたら随分面白かった。翌日秘書に聞いてみると1年前にNHK特集でベネズェラ特集があったというのでビデオを取り寄せてみた。そこで、南米で起こっている大変な革命的状況をはじめて認識した」と語った不和さんに匹敵する率直さではないだろうか。

いやしくも共産党の委員長だから誰よりも早く何でも知っていなければならない、という奇妙な束縛からこの二人が自由だということである。

それは、TVなどで株価の変動について発言したりするが「実は私は株券というものを見たことがありません」という発言にも共通している。「私は億と言う金も見たことがない」とも言っている。

驚くほどの率直さと、底辺の人たちに向かっての行動力、これが志位さんの特徴の一つだろう。

② それから、もう一つは、投機マネーの暴走についての解説である。

これは最近の研究成果を踏まえて、新しいことを分かりやすく説明している。

実物経済で動いているお金48兆ドルに対して、投機に使われている金は152兆ドルにのぼっている。

(1990年ごろから、設備投資額が少なくて巨額の利益が上がる産業、たとえば携帯電話、インターネットサービスなどが産業の主流になったため、金余りが著明になった。固定投資は少なくて、利益が巨大なら、どうしても金は余る・・・筆者。)

この巨大な投機用の金は、サブプライムローンの破綻のため証券市場から立ち去って、原油と穀物の先物取引に向かった。このためかってない原油と穀物の高騰が生じて、世界中の庶民を貧苦と飢餓の淵に立たせているのである。

また、ハゲタカファンドの広範な害も説明されている。

ハゲタカファンドに買収された会社が、猛烈なリストラで一時的に利益率が跳ね上がると、投資は全てそこに流れ、それまで健全な利益率を出していた周辺の会社への投資がなくなり、それらの会社は危機に瀕するというのである。

そして買収された会社自体は切り売りされて消滅する。一社がそうして解体された後には、周辺の多くの会社もリストラを厳しくやらざるをえないところに追い込まれてしまっている。一社の買収は、一社に終わらない多大な影響を労働者の及ぼすのである。

こうした事態に対しては志位さんも会社に同情的で、スティールによるアデランスの買収で退任に追い込まれた社長の悔しそうな顔が忘れられないと言っている。

きわめて柔軟で素直な感想を交えながら、現在のグローバル経済の実態を最新の考察でなるべく分かりやすく語る努力がなされているのは感心する。

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