「あなたになら言える秘密のこと」「赤い文化住宅の初子」「フリーゾーン」「それでも生きる子供たちへ」・・・・最近見た映画・DVD 1
どれも変わった感じの映画ばかりを4本 DVDやケーブルTVで見た。映画館にはいけない日々が続いている。
①「あなたになら言える秘密のこと」
②「赤い文化住宅の初子」
③「フリーゾーン」
④「それでも生きる子供たちへ」(原題はALL THE INVISIBLE CHILDREN)
①は旧ユーゴ内戦と北海での石油採掘に材料を採っている。孤独な看護婦を演じる女優の雰囲気がとてもよい。
②は日本の若者の貧困もの。原作は漫画。漫画評論家 紙屋氏は、原作者がTVに出て話したときに「相変わらずの小賢しさ」を発揮していたという印象を述べているが、映画のほうはわりとあっけらかんとしており、小賢しいという感じはなかった。誰のそばにもひっそりとありそうな貧困に胸が詰まる感じ。監督がいいのだろう。
特に③が面白かった。
イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、イラクの、狭いが激しく揺れ動く地域を舞台にしたリアルさを感じさせる話。
冒頭の、長い童謡のような、連鎖するイスラエルの歌がとても興味深かった。ChavaAlbersteinという人のイディッシュの歌
http://jp.youtube.com/watch?v=2-dwR8s3i0c&feature=related
父さんが買ってきた仔羊を猫が食べ、猫を犬が絞め殺し、犬は棒で叩かれ、棒は火で燃やされ、火は水で消され、水は牛に飲まれ、牛は肉屋に殺されて・・・という歌。現代に特徴的な暴力の連鎖を童謡が歌うこともできるのである。
*その後、気付いたのだが、ハバ・アルバースタインは、以前、岩波ホールで見たことのあるチェコ映画「このすばらしき世界」のなかで、とても印象深い「イナゴマメの木の下にたたずんで」を歌っている人だった。イスラエルの最も有名な歌手のようだ。メルセデス・ソーサと一緒に歌っていたりもするし、「My sister Khye」の解説をたどたどしい英語で話す姿なども好ましい。
④ではエミール・クストリッツアや、スパイク・リーらの有名監督の作品が並んでいる。
第1話の少年兵士の物語がよくできている。一日中靴を脱がないことで、敵兵を殺すことも日常とする兵士としての非情を維持していた少年は、ある村の学校に時限爆破を設置することを命じられる。その爆弾は翌朝、生徒が集まったとき爆発するようセットされている。しかし、一人で教室に忍び入って机に座ると、少年の目からは涙があふれてくる。学校で学ぶことへの強い憧れが彼のなかにはあった。机に頭を乗せ、時限爆弾のスイッチを切り、靴を脱いで兵士ではない平凡な少年に返る場面でこの短編は終わる。それでも彼は子供たちを殺すのだろうか?
監督は作家でもあるらしいが、いい小説を書く人なのだろう。
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