カント-マルクス-レーニン-チョムスキー・ウオーラーステイン
池内紀訳 のカント「永遠平和のために」綜合社2007年刊を読んだ。これまでの訳ではカントは誰にも読めないと考えて発行された本のようだ。
約半分はカントの言葉と写真の組み合わせで、英訳もついているので英語の学習にもなるという便利なものである。英訳の中には知らなかった単語もいくつかあり勉強になった。英訳文が、ごつごつしてまったく流麗ではないのはきっと元のドイツ語のせいだという感じもした。朗読して気持ちよくないのである。
それはともかく、「墓地のそばにある旅館の名前が(墓地にふさわしく)『永遠の平和荘』というのだったが、これから勝手な思いつきのような永遠の平和論を書いてみよう」(診察室にいて、記憶で書いているので不正確)という駄洒落で始まる書き出しは気に入った。実は冗談ばかり言っている人だったという可能性もある。
高校生の頃に岩波文庫でカントの本を買ってはいたが、絶対読めないだろうという見込みだったのに、この本は読みやすかったし、池内氏の解説も分かりやすかった。
アマルティア・セン氏も完全義務と不完全義務というアイデアをカントから得ていることだし、カントはやはり知っておかないといけない人なのだろう。これから読みやすい訳が次々出てくるのは大歓迎である。
この本と、前に書いた「資本の帝国」の関連で、柄谷行人の「世界共和国へ」(岩波新書)をもう一回読んで見ることにした。柄谷がカントにたびたび言及していたからである。
前に読んだときとは違って柄谷の議論の粗雑さも見えてきたが、エレン・メイクシンズ・ウッドの穏健な主張と共通するところもあって、興味深い。
もしかすると、上に書いたような、思想の系譜が浮かび上がってくるのかもしれない。
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