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2007年10月22日 (月)

いわゆる「地方学」について

先日、消化器病学会で神戸に行ったところ、「『神戸学』検定問題集」と書いてある本を開いている人がポートライナーで前の座席に座っていた。

神戸では地域学は、観光のための薀蓄の集合になっているのだろう。京都などもそうである。
ようするに地域の未来を切り開く苦闘ではなく、である。

これに対し「宇部学」は、グローバリズムのなかで発展が止まってしまった地方工業都市を住民の立場からどう人間が住むにふさわしい町に再生するかという、ある意味で背水の陣の学習であった。

それでもなお病院職員教育の学習教材としてはまだ十分に展開できないでいる。

私たちに先行して存在している、地域の特色ある住民組織・NPOとの対話を講座に取り入れれば、恐らく突破口が見つかるはずだと思うのだが。

それにしても、いままでのつまづきはこういう作業に私たちがなれておらず、素材に気をとられすぎて、大きい目標を見失いやすいからだろう。

そこで、目標をきわめて明確にした地域学の同時並行を提案したい。
「岩国学・・・米軍岩国基地が住民の健康に与える影響調査」である。これを進めることで宇部学の方法論も前進させたい。

これは大田知事時代の沖縄県が嘉手納基地周辺の住民を対象にして行なった調査(1999)が唯一の先行研究としてあるだけのものである。京都大学の研究者が貢献している。
また石川県にある自衛隊小松基地による住民被害訴訟で、石川民医連の谷口先生が行なった調査が、それに準じるものとして評価されている。

それにしても先行研究は少ないようである。

全国、全世界の米軍基地撤去の闘争につながるテーマであるし、可能なら取り組みを始めたいと思う。

もちろん本格的にしようと思えばかなり大掛かりな話なので、私たちが始めるのはごく予備的な(preliminary な)調査である。

それでも、中四地協、日本科学者会議瀬戸内委員会、山口県保険医協会岩国支部あたりとは共闘してもらわなければ話は始まらない。

科学者会議自体が組織存続の危機にあるので、この問題提起で生き返らないものかとも思っている。

なお、石川の谷口先生には11月13日広島でお会いできる予定になった。

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