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2007年5月 9日 (水)

東アジア民医連を!

 大学の6年後輩でこの県での民医連建設をずっと一緒にやってきたN君が、僕らのもとを去って数年経った。

 中村 哲先生に共感してペシャワール会病院(パキスタン)に行き、N君の地元の新聞にも紹介されて話題になった2年間の変化にとんだ勤務を終えた後、タイで熱帯医学の修士過程を終えたというところまでは聞いていたが、最近久しぶりに来たメールでは、もうすぐ日本人医師初のタイ国医師免許を取得することになったらしい。タイの医学部卒業生に混じって、3段階の国家試験の2段階まで合格して、残るは実技試験だけとのことである。猛烈にタイ語を勉強した成果である。

 バンコクには10万人の日本人がいるので、「市場」は大きい。人口10万人の都市に医療施設が1か所しかないのと同じだと仮定すれば、利用者は殺到するだろう。もちろんN君の意図とはまったく違っていようが「出資するから、タイ人医師をたくさん雇って、日本人相手の大きい病院を作らないか」と言ってくる商社などもたくさん現れるのではないか。

 他人の財布の予想などおよそ僕の趣味ではないが、上のようなことを考えていたら、N君が担ってくれたらいいなぁと思う構想が生まれてきたので、失礼を承知で書いておきたい。

 5月8日に福岡・山口を広い範囲でおおった光化学スモッグは、東北アジアの環境が一体化していることを強く感じさせた。

それだけではない。東アジアの急速な経済発展に伴う健康破壊も 東アジア経済の一体化という光によって各国国民に共通に投げかけられた影の側面である。

大企業によるグローバリズムに対抗する下からの市民のグローバリズムが必要だというのは東大の若井晋先生と話したとき一致した認識だが、このような事態に対しては、医療環境問題を当事者能力を持って取り扱える市民運動が各国に起こり、連携することが下からのグローバリズムの具体化になるのだろう。

結局、その形態は、各国ごとの民医連、あるいは医療生協運動になるしかないだろう。自覚した医療専門家の運動しか当面考えられなければ民医連を、市民が自らお金を出して医療機関を設立できるだけの条件がすでにあれば医療生協を作ればよいのではないか。ともかくこの運動は、みずから医療機関を運営し環境を測定し、それぞれの改善に、政府とは一定の距離をおいて活動する。

そこでN君がもしタイで医師免許を得て自由に医療活動を展開できるなら、ぜひ医療生協を作ってもらいたいと思うのである。そのとき日本の医療生協は物心問わない支援ができるのではないか。

「東アジアに民医連を!」 ・・・心の奥で僕は新しいスローガンを叫んでみた。まったく無責任な他力本願の妄想に近いが。

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