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2006年5月17日 (水)

レーニンの「遺書」:ロシア共産党第13回大会への手紙 と私

そろそろ医療生協総代会が近い。

今年の総代会で、私は初めて理事長に就任するのだが、それについていろいろ考えることがある。

その中心は以下のようなことである。

1922年 すでに健康を決定的に害していたレーニンは後に「遺書」と名づけられる手紙をロシア共産党第13回大会に送った。

「わが党は二つの階級を基礎としているので、党の不安定ということはありうる。もしこの二つの階級のあいだに協定が成り立ちえないものであれば党の没落は避けられない」と彼は書いている。

二つの階級とは労働者と農民のことであるのは言うまでもない。

しかし、そういう危険は遠い将来のことであり、まずありえないとし、いま問題なのはなにより幹部の不団結であることが述べられる。

「もっとも有能だが、度外れて自己を過信し、ものごとの純行政的側面に熱中しすぎる」トロツキーや「粗暴すぎて書記長職としてははがまんしかねる」スターリン、「最大の理論家として正当にも全党の寵児だが、弁証法を身につけていない」ブハーリンらへの有名な批評はここに書かれている。

この幹部評価や、彼らの不団結から生じてくる党の分裂へのレーニンの懸念はきわめて興味深いが,今の僕にとっては、むしろ前半の二つの階級の間の協定の上に成り立つ党の不安定さのほうが身近なものである。

民医連にしても医療生協にしても、サービス消費者である住民と、サービス提供者である医療従事者という、考え方も感じ方も異なる二つの集団の連携と協定の上に成り立っている。もちろん、たとえばボランティアとして住民が住民なりのサービス提供者になることもあり、未来の医療従事者の組織者・教育者として活躍することもあるので、両者の融合は不断に進んではいるのだが、その歩みはそんなに早いものではない。

現在、両者の結合は固いといえるのか?支配層から見れば、容易に分断できるものではないのか?両者の協定が成り立たなくなったときが民医連や医療生協の終焉のときである。

レーニンが労農同盟に下したように、分裂の可能性はほとんどなく、論じるに及ばないとは到底思えないのである。

まず、民医連や医療生協が相異なる二集団の同盟であるという規定を見据えることが、分裂の危機を予防する第一歩なのだろう。

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