文化・芸術

2010年12月29日 (水)

キューバの思い出

キューバはフィデルたちの国で

僕たちが作った国ではない

だから、僕がキューバを思い出すというのも滑稽だ

しかし

一日の労働から解放されて

自転車を押して帰る深夜には

この坂道がキューバの港町の坂になる

―粗末だが人でいっぱいの家に挟まれた道

―ほの暗い街灯

 ̄その光に照らされる路地と

次々横切ってはどこかに消えていく子どもたち

―カリブ海からくる風と

長い岸壁を超え、海岸通りを通行禁止にしてしまう波

―伝染病研究所の庭を濡らしていく通り雨

誰もいない坂道に立って 

僕は1月の亜熱帯の夜の香りを探し出す

去ったものは帰らないが

何かは取り返せると思いながら

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2010年6月10日 (木)

秋水・幸徳伝次郎君

もうすぐ

君が逮捕されて、翌年には絞首刑で殺された

100年目の年が来る。

そんなある日、啄木・石川 一君が筆写してくれた

「LETTER FROM PRISON」を僕が読んだのもきっと偶然ではない。

君が考えていることを僕も考えていた

革命は誰かが設計して起こるものではない。

見えない龍が体をうねらせて進んでいるように

ひそかな気流の形になって、革命は

あの街道にもその路地にも遍在しているのだ。

ある朝、風にさっと体を撫でられるのを感じる、

ある夕方の日差しに鱗が一瞬光ったのを見つける、

そのとき、ひるむことなく跳びかかり龍を捕まえて、

みんなが見ている空中に

その胴体を引きずり出す

それが「僕たち」の役割だ。

秋水・幸徳伝次郎君

君のみつけた龍が

今、僕にも見えるよ

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