2026年6月16日 (火)

2026.6.17 宇部市医師会 病診連携会議での発言原稿

お疲れ様です。宇部協立病院の内科の野田です。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。

今年2月、宇部市が宇部中央病院と包括整備の協定を結び、急性期拠点の強化に乗り出したことは、私たち地域医療に携わる者にとっても大変心強い動きです。

しかし、急性期という「一点」だけを強化しても、地域の医療は回りません。高齢者の救急をどこが受け止めるのか、回復期や在宅・介護へのバトンタッチをどうスムーズにするのか。今こそ、宇部市全体の「医療・介護システム」を、私たち医師会が主導して包括的に整える時ではないでしょうか。

そこで本日、5つの具体的な提案をまとめた書面をお配りいたしました。時間の関係上、特に重要なポイントを絞ってお伝えします。

第一に、「高齢者救急の機能分担」です。
すべての救急を拠点病院に集中させない仕組みが必要です。例えば、当院の昨年度の救急搬入679台のうち、大腿骨骨折が52名おられました。こうした「疾患や状態」に応じて、「高齢者の大腿骨骨折救急なら、まずは協立病院へ」といった民間病院それぞれの強みを活かした優先ルールを作れば、市全体の救急はもっと 合理的にスムーズに回るはずです。とは、言っても、その強みはいつかは消えるものですから、常に情報交換、役割の交代が欠かせません。

第二に、私たちが直面している「人材紹介業者への高い手数料問題」です。
民間の紹介会社に多額の費用が流出する構造は、地域の医療機関の経営を著しく圧迫しています。
これは今年3月に日本医師会も発表していますが、山口県のような立場の県ではその影響はより深刻です。紹介業者によって、資金とともに人材も大都市圏に吸い上げられてしまいます。
ここは山口県や市と連携し、紹介業者に依存しない、公共の「地域医療人材プラットフォーム」を構築し、地域の自律的なガバナンスを取り戻すべきです。
この情報プラットフォーム作りはICTを活用する「宇部版の医療介護連携システム」、その現れは医療介護連携サマリーになると思いますが、その構築とも同時に進められます。

さらに書面には、北部中山間地域の医療格差を埋める「医師会立オンライン診療所」の構想も盛り込んでおります。

こうした「救急」「情報連携」「人材確保」「過疎地対策」を一体となって進める強力な受け皿として、将来的には、行政・医師会・民間病院が共同出資する「地域医療連携推進法人」の設立も視野に入れるべきだと考えています。

民間病院や開業医の先生方がそれぞれの強みを持ち寄り、力を合わせることで、言ってみれば、今は存在しない「医師会病院」や「市立病院」のような機能を、私たちが共同で作り出していく、そんな、行政・医師会・民間病院の「三位一体」となった宇部市の未来を、ぜひ先生方と一緒に作っていきたいと考えております。
よろしくご検討お願いします。

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2026年6月11日 (木)

男系男子

「男系男子」の伝統に固執するあまり、皇室が存続の危機に瀕するのを静観すればよいという冷ややかな見方もあるが、現実には象徴天皇制の維持を望む声は根強い。この複雑で矛盾も孕む「天皇」という問題に真摯に向き合うには、どのような姿勢が必要なのだろうか。
かつての天皇機関説が示したように、天皇が憲法の下に位置する存在であるという前提に立てば、重要なのは憲法の他条項との整合性である。皇室のあり方を巡る議論が起きるたびに、私たちは憲法の根幹にある精神に立ち返り、それに則った解決を模索していくほかない。
極端な仮定をすれば、もし天皇が特定の政治勢力と結びついて政治的行動を起こすようなことがあれば、それは当然、憲法違反として司法の判断や、天皇条項そのものの見直し(改憲)も含めた議論に発展するのが立憲主義の本来の姿である。
その意味で、現代において「男系男子」の絶対化にこだわり、政治的な主張を展開する動きは、上記に類似するような憲法が定める象徴のあり方との相反である。
国会全体がそうした特定の硬直した理念に流されてしまうのだとしたら、それこそが多数派による立憲主義の軽視と言わざるを得ない。

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TVドラマ「銀河の一票」

TVドラマ「銀河の一票」があと2話で終わるのが惜しい感じ。大ヒットした「エルピス」の続編のようなものだったから。

聞くところによると、登場人物の名前は岩手県の地名だったり、宮沢賢治の作品由来だそうだ。
確かに「侍タイムスリッパー」で注目された人が演じる代議士秘書役の役名は「雫石」(しずくいし)だが、これは1971年だったか162人が実に悲惨に死んだ飛行機事故があった岩手県の地名である。自衛隊機が民間旅客機を墜落させた最悪の事故だった。

主人公の「星野まつり」は過労死した高橋まつりさんによるのかと想像していたが、放送時期が彼女の死のちょうど10年後に当たることからそれも否定できないが、直接は宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の星祭である「ケンタウルまつり」によるらしい。しかし、これもカンパネルラの死の物語である。

それにカンパネルラの死を招く死んだザネリの名前も「楢ノ木医科大学 新座値利学部長」のなかに見えることは第一話で明かされている。

こうしてみると、この作品にはなにか死の影が濃く落ちている。そのあたりが視聴率が伸びない原因なのだろう。視聴者の無意識はそれを鋭く感じるのである。

https://www.asahi.com/articles/ASV682HF7V68UCVL01TM.html?utm_id=97758_v0_s00_e0_tv2_a1demonyvwzjss&fbclid=IwY2xjawSXUR5leHRuA2FlbQIxMABicmlkETFJaFVUNEs3UUt3WEtESFBpc3J0YwZhcHBfaWQQMjIyMDM5MTc4ODIwMDg5MgABHqay0Mq1G0O4DEV5l9AIr71rp2McIlfPzXU0a0T8qc1OJAufzGwrwTX7s4GG_aem_PKsb-Ap1_Qj8roPt1EVx9Q

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2026年6月 9日 (火)

医師紹介業者を検体としてレント資本主義を理解する

手数料を該当医師年俸の4割払う病院には優先的に医師を紹介するという業者の話を聞いていると、情報プラットフォームをいち早く構築し、医師と病院のマッチングを独占する業者の推進しているレント資本主義の果たす役割が見えて来る。紹介業者は超過利潤のあるところに群がるだけで、彼らが日本の医療をどこに向かわせようかと考えてはいるわけではない。しかし、その活動は自ずと新しい資本主義の本質を形にして見せる。

一つは医師不足に喘いでいる人口過疎地域から余分な資金を巻き上げ東京に流す、地方衰退の推進者。
東京に金を吸い上げるのは、東京や海外に本社を置く大企業と共通しているが、それらと違うのは、医師不足という弱みにつけ込む鼻の効いた悪どさである。例えばコンビニの商品価格は全国共通だろう。
つまり、レント資本主義は先行する商業資本、産業資本、金融資本主義をも配下に従えるような強さを持っている。それも瞬間的な情報独占の結果である。


もう一つは医療理念や医師の志を根本から損壊するイデオロギーの普及者。
彼らが説くのは、保険診療より自由診療が、地方に定着するより地位を求めて自分を売りに飛び回る方が、病院のあり方、医師の生き方として正しいというイデオロギーである。
「医師の肖像」という医師のサクセス・ストーリーが売りの無料雑誌がばらまかれているのもそういうイデオロギーの普及のためだろう。

では、そうやって周縁部から中枢に集中された富や医師は、中枢で潤うのかというと、そこでは労働者は厳しく何重にもランク付けされ、分断され、より手の込んだ方法で支配と収奪と搾取が貫徹される。その突破は周縁に比べてはるかに難しいものになっている筈だ。

だからこそ、衰退して展望も何もないように見えても、地方に、周縁にこそ希望はあるのである。

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レント資本主義の中のエッセンシャルワーク

AIの発達で生産性が上がり労働力を吸収するのは情報独占による利益増大が期待できる分野。たとえばレント産業。そこでの労働は、人間の生存には不要有害なブルシット・ジョブである。
そのあおりをくらって極端な人手不足に陥るのは医療・介護・清掃などの、エッセンシャル・ワークからなるケア産業である。
エッセンシャルワーカーの調達にもレント産業は販路を見出すが、エッセンシャルワークの条件改善には関心を示すことはなく、レント産業の介入によって雇用主の利益が横取りされるので、エッセンシャルワーカーの賃金は下がり、サービス利用者負担も増える。
この構造を人為的に逆転できれば、社会は自殺的な歩みから離脱できる。

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資本論1巻と3巻の関係を整理

おそらくこういうことなのだろう。
資本論1巻は、産業資本主義という場で、商品・貨幣・資本がなぜ人間を支配する怪物的権力となるのかを説明し、それに対抗するものとして労働者が「階級」として立ち上がることを示した。
資本論第3巻は産業資本主義に寄生しおこぼれを受け取っているだけのものに過ぎない金融資本主義、レント資本主義がなぜ前者を遥かに凌駕する怪物的権力を獲得し、産業資本主義も再編成してしまうかを説明する。
それは世界をごく短時間に把握してしまう情報の独占によるのである。
搾取ではない収奪の果たす役割もここでは格段に大きくなる。
その時それに対抗するものとして何が立ち上がってくるのかは、産業資本主義を従えた金融資本主義やレント資本主義が、世界の何を不可逆的に破壊してしまうかによるのである。

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2026年6月 8日 (月)

2026.6.7に亡くなられたウ先生のご冥福を祈ります

2026.6.7に亡くなられたウ先生のご冥福を祈ります。


記録を探すと、ウ・ソッキュン先生を宇部に招いたのは2014年のことだった。
その時は講演会を市民向けと医学生向け別々に開いた。
以下はその学生部分の報告。

「2014年5月31日(土)~6月1日(日) 山口県 山口大学で開催

◆テーマ◆ TPPって知っちょる? ~命も取り引きされる時代がやってくる!?~
・1日目
◆講師◆ ウ・ソッキュン医師(健康権実現のための保健医療団体連合政策委員長)
     ビョン・ヒェジン氏(健康権実現のための保健医療団体連合企画室長)
TPPにより医療のビジネス化が進んでいくと、利益追求型病院、薬価高騰、国民皆保険制度の崩壊を招く危険があることを韓国のFTAの教訓からお話していただきました。
・2日目
◆講師◆ 野田浩夫医師(全日本民医連副会長 医療生協健文会理事長)

社会的経済格差が健康格差に直接結びつき、社会的弱者の方々や私たち一般市民の健康が脅かされることを実際に得られたデータや事例をもとにお話していただきました」

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2026年5月28日 (木)

レント資本主義と医療の関わり

レント資本主義と医療の関わりは、現代医療が直面している最も深刻な課題の一つである。

ここでいう「レント」とは、何か新しい商品を生産・交換して得る利益ではなく、「特許・データなどの情報、不動産・インフラなどを独占することで他者から吸い上げる利益」を指す。

レント資本主義は、産業資本主義の衰退、金融資本主義の腐食のあと、人々の監視・内面誘導を強化しながら、ある程度生産現場の生産性を上げて労働力不足を補い消費も喚起することができるので、産業構造を再編し資本主義の延命を図る主役となりつつある。SDGsなどのイデオロギーも内部に繰り込むことができ社会運動の圧力をかわすこともできる能力も持っている。

しかし、レント資本主義は医療も含む生活全体を資本のために再編し、生活を荒廃させてしまうもので、それによる資本主義の延命は気候崩壊への対策を決定的に損壊するもので、人類絶滅の近道を作り出す。


そのとき、地域医療あたりのレベルから開始するレント資本主義への抵抗や離脱が、数少ない有効な対策になる可能性がある。レント資本主義と医療の関わりを論じる意義はそこにある。

                                                                      
まず、医療がレント資本主義に組み込まれると、どのような荒廃が起きるのか、以下に4例を示す。

1.
医薬品の特許独占(パテント・レント)
巨大な公的資金(税金)を投入した基礎研究から生まれた革新的な治療薬を、製薬企業が特許で独占し、数千万円から数億円という超高額な価格を設定する。
困窮層は手が届かず、公的医療財政が圧迫される。

2.
医療・健康データの独占(データ・レント)
電カル、AI診断、ウェアラブル・デバイスなどの普及に伴い、医療機関や医師や患者が日々生み出す医療データが一方的に取得されメガデータになる。
特定の巨大テック企業や医療機器メーカーが、これを独占的しプラットフォームを構築する。
本来は患者や社会全体のコモンであるはずなのに研究機関や病院がそのデータを利用する際に高額な使用料(レント)を請求される。

3.
民間投資ファンドによる医療機関・介護施設の買収(金融レント)
買収後は経営効率化を名目に人件費や設備投資を徹底的に削減。診療内容を転換して診療単価を引き上げ。直後に高値で転売する。
これは医療の質や安全性を損ない地域の医療アクセスを脅かす。医療での利益が現場の医療従事者や患者に還元されず投資家に流出する。

4. PFI
・公設民営化による医療インフラの破壊(インフラ・レント)
公立病院の建て替えや運営を、民間の資金とノウハウを活用するPFIPrivate Finance Initiative)方式で行なう。
病院の建物や維持管理の権利を民間コンソーシアムが握り、自治体や病院側が毎年多額の「利用料・管理料」を長期にわたって支払い続ける。一見、自治体の初期投資は抑えられるように見えるが、長期的には高額の支払いとなり、いずれは廃止への道をたどる。

しかし、今回論じるのは 上記のことではなく、医師(看護師)紹介ビジネスというレント資本主義の一形態についてである。

病院が紹介会社経由で常勤・非常勤の医師を採用する際、医師の想定年収の2030%にのぼる高額な「紹介手数料」や、スポット派遣ごとのマージンが発生する。その総額は800億円と報道されている。
ここに現代医療の危機が構造的に現れている。
医師派遣ビジネスにおいて、人材紹介会社が行っているのは、医師や看護師を育成することでも、病院を発展させることでも、患者によいケアを提供することでもない。
執拗に探る医師の個人的情報と病院の経営情報を収集することにより利益を引き出すことだけが目的である。
問題は情報の集中から業者の権力が生まれることである。

その権力のもとで、医師の偏在や絶対的不足がなければビジネスが成り立たないので、その構造的改善が阻止されるよう政治工作が続けられる。
また医師の流動化が進まなければ紹介業が成り立たないので、大学医局の支配や1つの病院に定着する生き方が倫理的に非難される気風が作られる。スポットを渡り歩く働き方が進むほど、紹介業者の権力も強化される。

医師派遣の常態化は、地域医療の基盤である「継続的なケア」や「チーム医療」を内側から崩壊させる。
医師の労働は一コマいくらという市場で取引可能な商品に変えてしまうから、スポット・派遣の医師は、当直や外来のコマ埋めをこなすだけで患者の生活背景(Social Determinants of Health: 健康の社会的決定要因)まで深く把握したり、地域の多職種(看護師、介護職、ケアマネジャーなど)と長期的な信頼関係(チーム)を築いたりすることはしない。
病院組織の管理業務、地域住民との継続的な関わり、夜間の突発的な対応などは、その病院に残り続ける常勤医に重くのしかかり、スポット・派遣医と常勤医の連帯も不可能となる。
結果として、病院内のコミュニティや地域の医療連携といった「見えない共有資産」が摩耗していくことになる。

この医療人材派遣というレント資本主義の一形態の意義を強調するのは、レント資本主義という資本主義延命の現在の切り札を突き崩す最初の小さな穴がここで開けられるからではないかと思うからである。

医師派遣ビジネスへの対抗軸として重要なのは、人材の調整を民間業者だけに委ねるのではなく、地域や公的なセクターが「医師の配置や融通の仕組み」のプラットフォームを自ら形成し、コモンズ(共有財)として取り戻すことである。

例えば、地域医療連携推進法人などを通じて、地域の複数病院が「医師をプールし、互いに融通し合う仕組み」を公的に構築できれば、外部のプラットフォームにレントを支払う必要はなくなりる。
そこから信頼感界の上に立つ地域医療の再構築が始まるのである。
医療を市場の論理から外していくことが実際に可能となる。

そこから地域のネットワークを編み直し、公的・自律的な調整機能を回復させることができれば、レント資本主義の不条理からケアを切り離す大事業が動き始める。

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レント資本主義を打破する鎖は医療領域ではないのか?

オンラインで参加した会議、参加できなかった会議の議事録を読むと、いかに僕の言葉は参加者に伝わりにくいか痛感する。

以下は非営利・協同総合研究所「いのちとくらし」の事務局に宛てたメールである。
忿懣が滲んでいなければいいけど。:

〇〇様

お世話になります。
先日の「民医連のなかの非営利・協同」の打ち合わせ会議のまとめを見ると
「レント資本主義と医療の関係を考えているのは京都のY 先生」
とみなさんが発言されていますが、いまその問題に注目しているのは私ですので
改めて、参考になる文献を皆さんにご紹介願いたいと思い、ご連絡しました。

レント資本主義について正確な発言をしていると思えるのは立教大学の佐々木隆治教授です。
会議で法政大学といってしまったので、皆さんに伝わらなかったのかもしれません。
マルチェル・ムスト編の「マルクス・リバイバル」の訳者(斎藤幸平と共訳)でもあります。

レント資本主義を医療と関連付けた文章を三つあげておきます。

①雑誌「世界」2022年6月号p144-155新しい「資本主義」とはなにか レント資本主義と資本論の射程

②季刊「経済理論」2025年4月第62巻第1号『「プラットフォーム資本主義」は現代世界をいかに変えるか』25-36 『なぜ「レント資本主義」なのか ー資本論第3部草稿の視覚から』

③角川選書『マルクス 「資本論第3巻」』の「はじめに」P6-10

③が最もわかりやすいと思いますが、どれかのコピーを付けて担当の理事の皆さんに配布していただけると
私の発言の意味が伝わりやすいと思います。
よろしくお願いします。

野田浩夫

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2026年5月25日 (月)

僕などもここに登録させてもらうと仕事にあぶれない

圏域内の病院を統合する地域医療連携推進法人内に、人材情報のプラットフォームを作るアイデア

復職希望の看護師や、病院を退職した医師などもここの登録してもらう。

僕などもここに登録させてもらうと仕事にあぶれない。

「圏域内の各病院の医師・看護師派遣業者への依存が高いのは地域医療の公共性安全性への問題があるので、公共性の高い医師・看護師情報ブラットフォームを作ろうと思いますが、アイデアはありますか?」

圏域内における民間の人材派遣・紹介業者への過度な依存は、多額の手数料(紹介料)による医療機関の財政圧迫だけでなく、地域の医療提供体制の持続可能性(公共性)や、スタッフの定着率低下による医療の質・安全性の担保という観点から、非常に深刻な課題です。
これに対抗し、地域主導で「公共性の高い医師・看護師情報プラットフォーム」を構築・運営するためのアイデアを、機能、運営体制、持続可能性の3つの切り口から提案します。

1. プラットフォームの核となる機能アイデア
単なる「求人情報の羅列」では民間の大手に勝てません。**「地域医療のネットワーク化」と「顔の見える関係性」**を価値に転換する機能が必要です。
① 「顔の見える」ローテーション・スポット支援機能
相互互助型スポットマッチング: 「当直の穴を埋めたい」「急な欠員が出た」という急性期病院や、在宅医療・看取りのバックアップが欲しい地域密着型病院(コミュニティホスピタル等)の間で、圏域内の医師・看護師が「公的な兼業・副業」として機動的に動けるマッチングシステム。
身分の一元化・研修連携: 「地域医療連携推進法人」などを活用し、医師・看護師を圏域で一括採用、または主たる病院に籍を置きつつ、プラットフォームを通じて他院へシームレスに派遣・出向できる仕組み(手続きの簡素化)。

② 「ライフステージ」に寄り添う vernacular(地域密着型)キャリア支援
潜在看護師・シニア医師の復職特化: 結婚・育児・介護で離職した地域の潜在看護師に対し、民間業者を介さずに「週2日、午前中のみ」「残業なしの慢性期病棟」といった柔軟な求人を地域公認で提供。
地域一体型のリスキリング・復職研修の連動: プラットフォーム上で復職希望者を募り、圏域内の基幹病院が合同で「復職支援技術研修」を実施。研修修了者をそのままプラットフォーム内でマッチングすることで、安全性を担保します。

③ 医療・ケアの「哲学」と「文脈」のマッチング
理念ベースの求職: 給与条件だけでなく、各病院が掲げる「まちづくり」「総合診療」「ケアの倫理(Care Ethics)」「地域包括ケア」への取り組みを深く発信。
「地域医療を学ぶ」教育的価値の提示: 若手医師や看護師に対し、単なる労働力の提供ではなく、「地域医療の動向や多職種連携を体系的に学べる場」としてのキャリアパスを提示。

2. 公共性と安全性を担保する「運営体制」
民間業者との最大の違いは、「利益最大化」ではなく「地域医療の最適化」を目的とする点です。
① 運営主体の公的インフラ化
地域医療連携推進法人、または医師会・自治体の共同運営:
プラットフォームの運営を、地域の病院集団(地域医療連携推進法人など)や、医師会・看護協会、自治体(県・市町)が参画するコンソーシアムが行います。これにより、データの一元化と信頼性が一気に高まります。
手数料の「実費程度」への抑制:
民間が取る「年収の20〜35%」という高額な紹介料を排し、システム維持費・事務局人件費としての「最低限の手数料(または定額会費制)」に設定。浮いた財源を医療従事者の処遇改善や地域医療の設備投資に回せます。
② 安全性(医療の質)のスクリーニング機制
圏域内での「顔の見える」リファラル(紹介)制度:
プラットフォーム登録者のスキルや資質について、圏域内の医療従事者同士が保証・推薦できる仕組み。
共通の安全基準・オリエンテーション:
プラットフォームを通じて派遣・勤務する共通のルール(電子カルテの基本操作、地域固有の連携パスなど)のeラーニングや事前研修をプラットフォーム側で一括提供し、現場投入時のインシデントリスクを低減します。

3. 実現に向けた段階的アプローチ(ロードマップ)
いきなり巨大なシステムを作るのではなく、まずは関係者の合意形成と小さな成功事例(PoC)が必要です。

成功への鍵(壁をどう乗り越えるか)
民間派遣会社は「圧倒的な営業力とマッチングの手軽さ」で勝負してきます。これに対抗するためには、
1 「手続きが極めてシンプルであること(UXの重視)」
2 「地元の自治体や基幹病院が『このプラットフォームをファーストチョイスにする』と強くコミットすること」
の2点が不可欠です。「地域の医療資源(人財)は、地域のみんなで育て、分かち合う」というコモンズ(共有財)の思想を、システムとして具体化する試みと言えます。

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